大画面テレビは「次世代液晶搭載」&「チューナーレス」に注目【令和の新殿堂入り傑作モノ】

【令和の新殿堂入り傑作モノ】

「美しく鮮明な映像を大画面で楽しめる」よう、これまでも各社しのぎを削ってきた大画面テレビ。果たして次なるトレンドは? 現在、注目されているキーワードをAV評論家の折原一也さんがピックアップ。新たな定番となりそうなモデルを紹介してもらった。

*  *  *

折原さんは、「大画面テレビのハイエンドは有機EL搭載モデルが主流ですが、液晶ディスプレイの新技術として、昨年からmini LEDディスプレイが登場。今年は多くのメーカーからmini LED液晶テレビが発売されました。まさに、液晶テレビの逆襲が始まったという感じです」と話す。

mini LEDは0.1ミリ以下の極小LEDを、液晶を照らすバックライトとして敷き詰めているイメージだ。大型テレビに限らず、PCモニターやモバイル機器でも注目されている。

「ポイントは明るさ。LEDバックライトのひとつひとつのサイズが小さいので、細かい制御が可能です。今までの液晶テレビではできなかった高輝度なテレビが作れます。液晶テレビが苦手とする黒の表現力も高まり、液晶テレビのポテンシャルが上がったといえるでしょう」

価格は有機ELよりも抑えられているものの、まだまだ高価。今後の展開として、ハイエンドに関してはmini LEDと有機ELが共存していくことが予想される。

「色の鮮やかさという意味ではmini LEDが優れているのですが、色の表現の正確さやコントラストは有機ELの方が上。一長一短の部分がありますが、そこまでいくと好みやこだわりの世界なので、mini LEDについては技術トレンドとして今後も注目してください」

もうひとつ着目したいのがチューナーレステレビだ。ネーミングが示す通り、テレビチューナーが内蔵されていないテレビを指し、地上波放送やBS・CS放送は視聴できない。その代わりにAndroid TVなどを搭載し、ネット環境があれば、さまざまな動画を視聴できる。

「テレビ放送を視聴しない人が増えている中で、YouTubeやサブスク動画配信を観たい人向けに、お手頃な価格の製品が登場しています」

5万円前後の手頃な値段で大画面テレビを楽しめるため、ネットコンテンツやゲームを楽しみたい人を中心に需要は増えそうだ。

AV評論家 折原一也さん
PC系出版社の編集職を経て独立。オーディオ・ビジュアル専門誌やWeb媒体、商品情報誌などで、トレンド解説や商品レビューなど多彩な記事を執筆している。2009年よりVGP(ビジュアルグランプリ)の審査員も務める

 

【新潮流①】
<mini LED> 細かい制御可能な注目の液晶新技術

■有機ELと液晶の良いとこどり

日本メーカーでの先駆者。65DP1では8000個のmini LED使用と凄い数。55インチを推すのは買いやすさからです(折原さん)

シャープ
「AQUOS XLED 4T-C55DP1」(実勢価格:36万3000円前後)

mini LEDバックライトと量子ドット技術を組み合わせた、XLED技術搭載の4Kテレビ。従来製品に比べ72倍もの高密度に敷き詰めたmini LEDにより、コントラストや色の再現性、動画応答性が向上。大画面ならではの躍動感を味わえる。

▲高密度に敷き詰めたmini LEDバックライトをエリア毎に映像と連動させて分割駆動。光のまぶしさや引き締まった黒を実現

▲映像を解析して明暗差を伸長させるフレアブライトネス解析回路により局所的なコントラストを高められて明暗を豊かに再現する

 

■圧倒的な高輝度と今までにない色を再現

有機ELと同じ最上位の高画質エンジンを積み、高ビット精度の信号処理と最新の超解像技術を実現しています(折原さん)

TVS REGZA
「タイムシフトマシン4K Mini LED液晶レグザ 65Z875L」(実勢価格:36万5000円前後)

“誕生、ふたつのレグザの最高峰”というコンセプトで発表されたひとつ。新開発の映像エンジン「レグザエンジンZRα」を活用し、高輝度と漆黒の闇のような黒を再現。今までの液晶テレビでは得られない映像美を体感できる。

▲mini LED広色域量子ドット液晶パネル。緻密にLEDを配置して高輝度かつ色鮮やかな高画質を実現

▲AI技術で画面部分毎に分析。被写体と背景を識別して、それぞれに最適な超解像処理を行う。立体感とリアルさが実感できる

 

■ハイセンスの本気を感じる驚きの画質美

実は海外メーカーの方がmini LEDと大画面には積極的。そういう意味ではグローバルトレンドとして注目です(折原さん)

ハイセンス
「Mini LED ULED 4K 65U9H」(実勢価格:24万8000円前後)

2010年から日本市場に参入した海外メーカーのハイセンス。TVS REGZAと共同開発したAI活用エンジン「NEOエンジンPro」を搭載し、映像美でのポテンシャルの高さを実感。まさにフラグシップモデルにふさわしい商品だ。

▲「NEOエンジンPro」の高精度なAI技術により、圧倒的に情報量が多い4K映像の映像処理を最適かつ高速で行う

▲mini LEDバックライトと量子ドット採用により、従来の液晶テレビよりも純度の高い三原色を作る。画像を見比べてもその差は明確

 

【新潮流②】
<チューナーレス> 手軽&お手頃価格でネット動画を楽しみ放題

■火付け役となった機種の4K対応版

チューナーレステレビの火付け役。予想以上の大ヒットとなった機種の4K版としてスタンダードな機種です(折原さん)

ドン・キホーテ
「43型4K対応チューナーレス スマートテレビ」(3万8280円)

昨年末に登場し、1万5000台以上売れたドン・キホーテのチューナーレステレビ。多くの要望に応えて4K高画質が登場した。リモコンひとつで配信動画を楽しみ放題。Chromecast機能でスマホ画面をテレビの大画面に映すこともできる。

 

■さまざまな高画質・高音質機能を搭載

この市場はプライベートブランドが主流だったのに、オリオンというナショナルブランドが参入したのが凄い!(折原さん)

ORION
「AndroidTV搭載チューナーレス スマートテレビ 50v型 SAUD501」(5万4800円)

4K HDR信号に対応し、さまざまな画質補整機能を搭載。16GBストレージと2GBのDDRにより操作性も快適だ。NetflixやYouTubeなどプレインストールアプリのダイレクトボタン付きで、手軽に映像コンテンツを堪能できる。

▲Dolby Vision形式のHDRに対応。驚くほどの高輝度と印象的なコントラスト、鮮明な色彩を実現。ドラマチックな映像を楽しめる

▲フレーム補整技術(MEMC)により、前後のフレームから補間映像を作成。速い動きの映像も残像感が少なくクリアだ

>> 特集【令和の新殿堂入り傑作モノ】

※2022年10月6日発売「GoodsPress」11月号24-25ページの記事をもとに構成しています

<取材・文/黒川秀紀>

 

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