オンライン会議や動画視聴、ゲームなど、いまや使用シーンは音楽だけにとどまらない完全ワイヤレスイヤホン。とはいえ、やはりまだまだ音楽を聴くために使うことがメインという人も多いのでは。音楽を軸にイヤホンを選ぶ際、ポイントとなるのが音質です。そこで、オーディオビジュアルライターの折原一也さんに、高価格だからこそ失敗したくない3万円以上のハイエンドモデルから、よく聴く音楽ジャンルから考えるおすすめイヤホンをピックアップしてもらいました。[機能編はこちら]
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完全ワイヤレスイヤホンを選ぶなら、音楽リスニングの音質こそが重要という人も多いはず。激戦3万円クラスとなると音質面ではハイレベルな機種揃いですが、聴きたい音源、音楽にマッチするかどうかは吟味の余地があります。3万円クラスの完全ワイヤレスイヤホンから、音楽や音源の7ジャンルから、じっくりテストした必聴モデルをセレクトしました。
■ハイレゾ音源を聴くなら?
Androidスマホならハイレゾ音源をLDACコーデックでワイヤレス伝送できるようになった今、ハイレゾ音源のリスニング目当てに推したい機種がソニー「WF-1000XM4」です。2021年6月発売の機種ですが、ハイレゾ音源の再現性はとても優秀です。
▲ソニー「WF-1000XM4」(実勢価格:2万9370円前後)
特に、歌声の余韻の消え入る様まで聴かせる、ナチュラルかつ繊細な音作りは絶品。音楽に包み込まれる臨場感、純度の高い楽器の再現も優秀。ハイレゾ対応の本領発揮はLDACコーデックで接続可能なAndroidユーザーのみですが、環境が揃うなら音質重視でもトップ級の完成度です。
■ボーカル重視なら?
iPhoneユーザーが普通に音楽を聴く上で、最高音質イヤホンの候補となるモデルがフランスの超高級オーディオメーカーDEVIALET(デビアレ)による「Gemini」です。特にボーカル重視の楽曲におすすめです。
▲DEVIALET「Gemini」(実勢価格:2万9800円前後)
一人ひとりの耳の形状に合わせて1/10000秒で音質を最適化する“Ear Active Matching”が強力。歌声がズバ抜けて鮮明に聴けるサウンドで、声のニュアンスや繊細さも再現。ステージの真っ只中で聴くような臨場感と、自然と空間に広がる楽器の鳴り、付帯音がなく情報量志向の低音と、まさに完璧にコントロールされたサウンド。iPhoneでもこの高音質が聴けるとは、デビアレ恐るべし。
■ライブ感あるサウンドなら?
LDACコーデック対応の高音質完全ワイヤレスイヤホンで、特にJ-POPなどのサウンドのライブ感ある音源を聴くために推奨したい機種がテクニクスの「EAH-AZ60」です。
▲テクニクス「EAH-AZ60」(実勢価格:2万8000円前後)
解像度志向で、音空間に存在する音を分離して聴かせるサウンドです。ボーカルの声をライブ感たっぷりに聴かせる情熱的な鳴り、高域まで伸びやかであると同時に引き締まった低音も優秀。この「EAH-AZ60」も、最高のサウンドを楽しめるのはLDACコーデックで接続可能なAndroidスマホユーザーのみですが、一度体験すべきサウンドであることは間違いナシです。
■クラブ系ミュージックを聴くなら?
音楽に求めるのは重低音の再現性という人には、やっぱりBoseが9月29日に発売した最新モデル「QuietComfort Earbuds II」がオススメ。
▲Bose「QuietComfort Earbuds II」(実勢価格:3万6300円前後)
Boseの特徴は、とにかく深みのある超重低音サウンド。そしてリズムの刻みもディープ。音空間を積極的に拡張するような立体感もクラブ・ミュージック向きです。最新モデルである「QuietComfort Earbuds II」は、“CustomTuneテクノロジー”で耳の内部の音響を測定しているので、無闇に低音を強く出すのではなく、狙いすまし制御された超重低音を聴かせてくれます。Boseサウンドの進化も感じられますよ。
■クラシックを聴くなら?
完全ワイヤレスイヤホンによる音楽リスニングのなかでも、オーケストラ演奏によるクラシック・ミュージックは高難易度な音源。そんなクラシック向きとして推せるイヤホンがデンマークの高級オーディオブランドB&O(Bang & Olufsen)の「Beoplay EX」です。
▲B&O「Beoplay EX」(実勢価格:3万9900円前後)
最大の特徴は、美音と呼びたくなる伸びやかで繊細な高域の再現性。弦楽器の音をここまで丁寧に再現できる完全ワイヤレスイヤホンは貴重で、音分離が良くステージ上の楽器の位置関係も把握できます。ボーカルモノで美しく心地良い音を求めたい楽曲にもマッチしますよ。
■ジャズを聴くなら?
アコースティックな楽器によるジャズで、ゆったりと音楽に浸りたい。そんな音楽ファンに向けてオススメしたい完全ワイヤレスイヤホンが、オーディオテクニカ「ATH-TWX9」です。aptX Adaptiveコーデック対応モデルで、最高音質で聴くためには対応Androidスマホの使用を推奨です。
▲オーディオテクニカ「ATH-TWX9」(実勢価格:3万3000円前後)
サウンドの特徴は、柔らかくて情報量豊富という独特の立ち位置。ジャズを聴くと、例えばアコースティックギターの音は生々しく響き音が拡散していくし、楽器と歌声が共存する空間再現も情感たっぷり。ドラムの音が空間で鳴る様さえも、その響きを把握できます。派手さはない音ですが、高域も伸びやかで心地良く、他に似た機種のない高音質モデルです。
■ピアノ曲を聴くなら?
アコースティックな楽器の再現、中でもピアノの音色重視でオススメしたい完全ワイヤレスイヤホンがドイツメーカー、ゼンハイザーの「MOMENTUM True Wireless 3」です。aptX Adaptiveコーデックに対応しています。
▲ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 3」(実勢価格:3万9930円前後)
音空間が広く、美しい音色のサウンドとして定番の機種ですが、特筆したいのがピアノの音色。透き通るような音に、個々の音からの響きまでも美しく広がっていきます。アコースティックな楽器全般が得意で、特にホールで音楽が流れる様の再現がいいんですよね。歌声も優しいニュアンスで、低音も引き締まって深いサウンド。ピアノの含まれる楽曲なら何を聞いても実力を実感できる機種ですね。
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<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube「オリチャンネル」
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- Original:https://www.goodspress.jp/columns/487474/
- Source:&GP
- Author:&GP
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