Googleが10月13日に最新スマートフォン「Google Pixel 7」と「Google Pixel 7 Pro」を発売しました。自社開発のプロセッサー「Tensor G2」を搭載するハイエンドモデルで、高性能カメラや賢いAI機能もセールスポイントにしています。
Googleの公式オンラインストア「Google Store」での価格は、Pixel 7が8万2500円(128GB)〜で、Pixel 7 Proが12万4300円(128GB)〜。auとソフトバンクも取り扱っています。
比較的コンパクトで安いPixel 7にするか、大画面で高性能のPixel 7 Proにするかを迷っている人も多いのでは? そこで、両モデルに焦点を当てて、レビューしていきたいと思います。
まずは2モデルの主なスペックを比べておきましょう。
▼Google Pixel 7/7 Pro (※上が7、下が7 Pro)
【プロセッサー】
Google Tensor G2
Google Tensor G2
【RAM/ROM】
8GB/128GB、256GB
12GB/128GB、256GB
【ディスプレイ】
6.3インチ(1080×2400)
6.7インチ(1440×3120)
【リフレッシュレート】
最大90Hz
最大120Hz
【背面カメラ】
広角(50メガピクセル)+超広角(12メガピクセル)
広角(50メガピクセル)+超広角(12メガピクセル)+望遠(48メガピクセル)
【前面カメラ】
10.8メガピクセル
10.8メガピクセル
【バッテリー容量】
4355mAh
5000mAh
【5Gの対応周波数帯】
Sub6
Sub6、ミリ波
【SIM】
nanoSIM + eSIM
nanoSIM + eSIM
【サイズ/重さ】
155.6×73.2×8.7mm/197g
162.9×76.6×8.9mm/212g
【価格】
128GB 8万2500円、256GB 9万7900円
128GB 12万4300円、256GB 13万9700円
▲左がGoogle Pixel 7、右がGoogle Pixel 7 Pro
ディスプレイやカメラ、RAM(メモリ)の容量、5Gミリ波の対応など、Pixel 7 ProはPixel 7を上回るスペックを備えています。ただし、両モデルには4万1800円という価格差があります。これを高いと思うか、妥当と思うかで選択が分かれそうです。
■持ちやすさではPixel 7が若干有利
まずは持ちやすさを比べてみました。Pixel 7のディスプレイが6.3インチなのに対して、Pixel 7 Proはひと回り大きい6.7インチを搭載しています。Pixel 7のほうが「横幅が細くて持ちやすい」と言いたいところですが、Pixel 7はベゼル(画面縁)が太めで、横幅はそこそこあります。重さも197gあり、ケースに入れると200gを超えます。決して「軽くてコンパクト」とは言えません。
▲Pixel 7はPixel 7 Proに比べるとベゼルが太く、6.3インチ画面の端末のわりには大きいと感じる
一方、Pixel 7 Proは、ベゼルが細く、フロントパネルの左右が曲面になっていることが特徴。画面の端に指先が触れて誤反応しそうに思う人もいるでしょうが、筆者が1か月ほど使った範囲では、そんなことはなく、快適に使えました。
▲Pixel 7 Proのフロントパネルはエッジにカーブが施されている
とはいえ、片手での操作性はPixel 7が有利。Pixel 7/7 Proの指紋センサーはディスプレイ内に搭載されていますが、手が小さい人は、大画面のPixel 7 Proでは片手でのロック解除がしづらいでしょう。ただし、Pixel 7/7 Proは新たにフロントカメラによる顔認証も追加されています。マスク着用時には認識されませんが、顔全体が見える状態では、さほど近づけなくてもスピーディにロックが解除されます。
▲どちらのモデルもディスプレイ内に指紋センサーを搭載。横幅が細いPixel 7のほうが片手持ちでも触れやすい
▲新たに顔認証にも対応。認証されるとレンズの円周が光る
■Pixel 7 Proの超解像ズームは日常的に使える
Pixelは従来からカメラの性能に定評があります。Pixel 7/7 Proも非常にきれいな画質で撮影できます。
Pixel 7は広角(50メガピクセル)+超広角(12メガピクセル)のデュアルカメラ、Pixel 7 Proは広角(50メガピクセル)+超広角(12メガピクセル)+望遠(48メガピクセル)のトリプルカメラを搭載。
メインの広角カメラのスペックは共通していますが、Pixel 7 Proの超広角カメラはオートフォーカス機能を備え、マクロ撮影にも使えるという優位性があります。また、Pixel 7 Proだけに搭載されている望遠カメラは光学5倍、デジタルズームを併用する「超解像ズーム」で最大30倍で撮影できます。
▲Pixel 7(左)はデュアルカメラ、Pixel 7 Pro(右)はトリプルカメラを搭載
デジタルズームは倍率を上げるほど画質は粗くなりますが、Pixel 7 Proでは最大の30倍ズームにしても、さほど画質は粗くなりません。スマホの画面に表示させて見る分には気にならない程度。Pixel 7でも最大8倍の超解像ズームで撮影できますが、ズームを使うことが多い人には圧倒的にPixel 7 Proがオススメ。普段、デジカメを使っている人は「もはやデジカメは要らない」と思うかもしれません。
▲Pixel 7 Proの超広角(0.5×)で撮影
▲Pixel 7 Proの広角(1×)で撮影
▲Pixel 7 Proの2倍(2×)で撮影。2倍にはワンタッチで切り替えられる
▲Pixel 7 Proの5倍(5×)で撮影。光学ズームなので精細な画質で写る
▲Pixel 7 Proの30倍(30×)で撮影。超解像ズームによって、ここまでくっきりと写る
▲Pixel 7の「夜景モード」で撮影。夜景はどちらの機種でもきれいに撮れる
なお、Pixel 7/7 Proはどちらも、主要被写体にピントを合わせて背景をぼかして動画を撮影できる「シネマティックぼかし」も楽しめます。
▲「シネマティックぼかし」は、Pixel 7/7 Proどちらにも対応
「フォト」の編集機能も進化しています。前モデルのPixel 6/6 Proでは、写り込んだ不要な人や物を消せる「消しゴムマジック」という機能が注目されましたが、Pixel 7/7 Proには、さらに、ピンボケの写真を補正する「ボケ補正」という新機能が追加されました。「Googleフォト」に保存した全ての写真が対象なので、ピントが甘い古い写真を明瞭な画質に甦らせることも可能。筆者も実際に試してみましたが、予想以上の仕上がりに驚くこと請け合いです。
▲前モデルから引き続き、意図せず写り込んだ人や物を消せる「消しゴムマジック」を搭載。不要な物が自動で認識されるが、なぞって指定することもできる
▲ピントが合わなかった失敗写真がここまで鮮明な写真に補正された
■リアルタイム翻訳や文字起こしの使い勝手は互角
AIを用いた「リアルタイム翻訳」を利用できることも大きなメリット。外国人と話すときに通訳機として使えたり、外国語のメッセージを瞬時に日本語に翻訳できたり、逆に、日本語で入力したメッセージを外国語に翻訳できたりする機能です。前モデルのPixel 6/6 Proでも使える機能ですが、Pixel 7/7 Proには最新のプロセッサーが搭載されているので、翻訳に要する時間がスピーディになっているかもしれません。ただし、筆者は体感できませんでした。
▲Googleアシスタントに「通訳して」と話して起動できる「通訳モード」は世界の主要な言語に対応。メッセージやSNSのコメントを入力する際に、瞬時に翻訳することも可能
プリインストールされている「レコーダー」アプリは文字起こし機能を備えています。日本語、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語に対応し、録音とほぼ同時にテキスト化することもでき、録音後に再生しながらテキストを読むこともできます。この文字起こしも、従来モデルでも使える機能ですが、Pixel 7/7 Proでは、カナダのフランス語やアメリカのスペイン語など、対応言語が増えて、録音したデータの共有機能も強化されたようです。
▲文字起こしは英語だけでも6地域の英語に対応。録音データでテロップ付きの動画クリップを作成できたり、Googleドキュメントにアップロードして、他のデバイスと共有したりもできる
こららの便利機能については、どちらのモデルを買っても同じように使えるはずです。
■どちらもストレスなく快適に操作できる
Pixel 7/7 Proはどちらもグーグルが独自に開発した「Tensor G2」というプロセッサーを搭載しています。前モデルのPixel 6/6 Proに初搭載された「Tensor」の2世代目のチップです。
実際の使用感としては、2モデルのパフォーマンスは互角。複数のアプリを起動している状態でのアプリの切り替えや、「カメラ」起動時の撮影モードの切り替え、画像編集など、やや負荷が大きいと思われる作業もキビキビとスピーディーにこなせます。他社のハイエンドスマホと同等の操作感と言っていいでしょう。
処理速度を比較するためにベンチマークも測定してみましたが、両モデルのスコアはほぼ同じ。ちなみに、前モデルのPixel 6 Proのスコアより、わずかに高い程度でした。
▲「Geekbench 5」というアプリでベンチマークを測定した結果。左がPixel 7、右がPixel 7 Pro。ほぼ同じスコアだった
■電池持ちは前モデルから大きく改善
バッテリー容量はPixel 7が4355mAh、Pixel 7 Proは5000mAh。どちらも5Gスマホとして十分な容量で、とくにPixel 7 Proのバッテリーは「大容量」と言っていいでしょう。スペック上のバッテリー駆動時間はどちらも「24時間以上」。Pixel 7のほうがディスプレイが小さいので電池消費が少なめで、電池持ちとしては同等ということでしょう。実際の使用感としても、電池持ちは互角で、1日は余裕で持つように感じました。
▲Pixel 7 Proの「設定」→「バッテリー」の画面。電池持ちは良く、「スーパーバッテリーセーバー」という強力な省電力モードも備えている
実は前モデルのPixel 6/6 Proもバッテリー容量は同等でしたが、電池持ちに不満を感じたユーザーが少なくないようです。筆者自身も、Pixel 6 Proを使っていて、電池が1日持たなかったり、たいして使っていないのに電池が減ってしまったりと、不便を感じることがありました。新しい「Tensor G2」によって、電力消費の効率が向上したのでしょうか、Pixel 7/7 Proの電池持ちは、一般的なスマホと同じようになったと評価できそうです。
30Wの急速充電に対応し、約30分で最大50%まで充電できること、ワイヤレス充電や、ワイヤレス充電対応のデバイスに給電できる「バッテリーシェア」機能を備えていることもメリットです。
■Pixel 7、Pixel 7 Pro、それぞれに適しているユーザーは?
Pixel 7とPixel 7 Proの日常使いでの留意すべき差分は、ディスプレイとカメラでしょう。6.3インチ画面でも困ることはないでしょうが、ウェブや動画の見やすさを重視するならPixel 7 Proを選ぶのが賢明。カメラは、最大30倍で撮れる望遠カメラを生かせるかどうかを検討すべきです。個人的には、Pixel 7 Proは “全部入り” の満足感があり、Pixel 7との価格差の価値はあると感じています。
▲左がPixel 7、右がPixel 7 Pro。ウェブの視認性ではPixel 7 Proに軍配が上がる
画面の大きさより持ちやすさを重視する人や、望遠カメラはそんなに使わないかも…という人は、Pixel 7を選ぶのが得策。カメラを除けば、機能面でPixel 7 Proに劣ることはほとんどなく、決して格下のモデルではありません。なのに、4万1800円も安いので、得した気分も味わえるはずです。
▲価格を重視するなら、ひと回り小さくて機能は必要十分なPixel 7(手前)がおすすめ。ホーム画面をデザインを簡単にカスタマイズできることもPixel 7/7 Proの利点
>> Google Store
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/489883/
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