【アウトドア銘品図鑑】
モンベルより半自立型タープ「マルチシェード」が発売されました。
モンベルには「ムーンライトテント」という不朽の名作がありますが、「マルチシェード」はA型フレームなど、その技術をふんだんに取り入れたことで軽く、設営しやすくてタフ。それに、A型フレームがタープのメインポールと梁を担うことで、だれもが簡単にたてられるタープになっているんですね。
そんな「マルチシェード」は“タープ”カテゴリーでの登場ですが、武骨キャンプ好きの&GP的には、タープというよりも全閉してシェルターになる点に注目。
ソロキャンプのメイン幕として、どう使えるのか見ていきましょう。
■Sはバイクやカヌーツーリングにいいかも
「マルチシェード」は3サイズあり、どれもサイズの割りに軽いのですが、徒歩キャンプやバイク、カヌーでのツーリングに持って行くなら「マルチシェード S」(3万4980円)一択でしょう。
▲収納サイズは40×20×H15cm、ポールφ12×50cm。本体重量3.3kg
「マルチシェード S」は、アルミニウム合金のフレームとキャノピーポール、幕、フロアテープ、ペグ、張り綱、ポール補修用パイプのセット。応急補修用パイプが付属しているのがモンベルらしいですね。
フロアテープを地面に広げ、組み立てたAフレームをテープのグロメットに通すスタイル。
写真はテープがわかりやすいようにペグでとめていますが、風が吹いていないなら、この段階では固定しなくて大丈夫。
フレームは旧型「ムーンライトテント」と同じ組み立て方。メインポールとなるフレームには、短いジョイント用パイプが付いています。これに梁を通すというモンベル伝統のアレ。現行「ムーンライトテント」はソケットになったのに、こんなところで見るとは。
ちなみに、ポールの端に幕のフックを引っかけるのも旧型と同じです。
フロアテープにフレームを通すと、こんな風に自立します。フレームのポールエンドは、モンベルの現行テントに多く取り入れられている“マッシュルーム型エンドチップ”で外れにくくなっています。ひとりでもイラッとすることがなく、片手でフレームを持って簡単に移動できるのがいいんです。
幕の四隅にはフックが付いています。これをフロアテープに取り付けるわけですが、ここでちょっぴり注意が必要です。フックが2つ、フレームにも伸縮性のない細いロープが2本付いていて、うっかりこのロープに取り付けたくなりますが、これは間違い。
微妙にこのロープが短く、1カ所は引っかけられても、別のところはギリギリフックがかかりません。ロープがもっと短いか、明らかに長い、またはフック側と別の色になっているといいんですが。
フロアテープのゴム製ロープに引っかけるのが正解。「ムーンライトテント」と同じ方式なので、モンベルファンならすぐにたどり着くでしょう。
▲220×150×H130cm
幕をフレームに固定して各所をペグダウンすれば完成。キャノピーポールも付属していますよ。
■細かな気配りはさすが
「マルチシェード」の基本構造はどのサイズも同じですが、「マルチシェード S」は上部にベンチレーターが装備されていて、よりシェルターとして使いやすくなっています。
「マルチシェード S」のベンチレーターは、外側がメッシュで閉じられるのがポイント。
シェルターとして就寝するときはメッシュにして換気、別にテントを用意して荷物置き場とする際は閉じておくなんて具合に調整できるんです。
また、ベンチレーターの“かぶせ”部分もしっかりコシがあり、雨や風でペタンと閉じづらくなっています。
ファスナーで四面を閉じるとこんな感じ。
「ムーンライトテント 2」のインナーが150×220×H110cmですから、フロアサイズは同じ。「マルチシェード S」はシングルウォールなので結露が心配ですが、「ムーンライトテント2」より20cmも背が高く、小型テントにありがちな圧迫感を低減していてなかなかいい感じになっています。
両側を張り綱で引っ張るので、ずいぶん広く感じます。それに幕がガバッと開くから、コットみたいな大きなものだって無理なく収められるんですね。
チェアやテーブルを組み立てたまま入れるほどの余裕はありませんが、そもそも徒歩キャンプやバイクツーリングだったら大型テーブルを持っていきませんし。着替えやヘルメットを置くには十分な広さです。
ロゴが描かれた大パネルは張り上げられ、ロゴなしの三角パネルは片側に巻いて開放できます。風向きやフリーサイトの混雑具合によって出入り口を変えられるのが便利。
前方を跳ね上げれば、その下に大型ファーニチャーが収まります。ポール2本で幕を突き上げる軍幕に似ていますが、Aフレームだからレイアウトしやすいんですね。
今回、サンプルを取り寄せていませんが、一回り大きな「マルチシェード M」(4万2240円)は、「マルチシェード S」よりも幅が120cm広がるため、就寝時に小型テーブルやチェアをシェルター内に収められます。クルマ利用のソロキャンなら、「マルチシェード M」のほうが使いやすそうです。
パップ型ってカッコいいけど重いから…と諦めていた人も、モンベルが生んだ新幕「マルチシェード」は軽くて設営の苦労なんてありません。
▲左は「マルチシェード L」で右が「マルチシェード S」
ちなみに、いちばん大きな「マルチシェード L」(5万9400円)は、「マルチシェード S」のほぼ倍。1〜2人用テントがすっぽり入るので、カンガルースタイルであたたかく眠れます。
軽快さ第一なら「マルチシェード S」ですが、クルマ利用の快適ソロキャンを目指すなら、ソロであっても「マルチシェード M」や「マルチシェード L」も候補になるというわけ。
* * *
今回は徒歩やバイク目線で「マルチシェード S」を取り上げましたが、ひとくちにソロキャンプっていっても人それぞれにスタイルがあるわけで、「マルチシェード」は多彩なソロキャンプにあわせて幕サイズを選べます。しかも、どのサイズも軽い。「モンベル、わかってるなぁ」と膝を打つシリーズです。
>> モンベル
<取材・文/大森弘恵>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/504961/
- Source:&GP
- Author:&GP
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