NFTが高価で取引されるニュースが珍しくなくなってきている近年。そんな中、NFTが話題を集めている領域があります。それは「地方創生」です。
最近は、自治体等がNFTを扱うことで、地域活性化に繋がる複数の事例が出ているといいます。そこで今回は、ふるさと納税等におけるNFT活用を進める株式会社あるやうむのCCO(Chief Communication Officer)である稲荷田和也氏に、NFTの地域経済への波及効果について、事例と共に解説していただきました。
投機商品として台頭したNFTに、変化が訪れた2022年
2021年頃から、「BeepleのNFTが、約6935万ドル(約75億円)で落札された」、「ツイッター創業者、ジャック・ドーシー氏の史上初のツイートのNFTが、291万5835ドル(約3億1640万円)で落札された」といった高額NFTに関するニュースが話題を集めてきました。
NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)とは、ブロックチェーン技術によって裏づけされた、希少性の高いデジタルデータのことです。
実質的に改ざんや複製が不可能で、所有者情報が追跡可能であることから、その価値が証明されます。海外を中心に話題になったNFTは、2021年頃から日本でも徐々に広がり始め、2022年には多くのビジネス書籍が出版されました。
NFTの話題がメディアに取り上げられる際は、冒頭に記載したような「高価格での取引」つまり、「投機性」に重点が置かれたものがほとんどでした。
NFTは、仮想通貨(暗号資産)にも使われるブロックチェーン技術を用いて作成されるデジタルデータであることに加えて、元来、投機性の高いアート作品に使用されることが多いため、投機性を帯びることは当然です。むしろ、NFTは投機性があったからこそ、社会に広がったともいえます。
しかし、ブロックチェーン技術が使われるのは、金融領域だけではありません。
例えば、食品業界では、食品に関する品質の管理や、健康被害発生時の原因究明を目的に、商品に関わった業者の情報の追跡をブロックチェーン上で行っています。
つまり、「ブロックチェーン=投機」とは限らないのです。NFTも同様に、「誰が」「どのように」使うか、それ次第で様々な使い方をすることができます。
2022年に、NFTが話題を集めた領域として「地方創生」が挙げられます。自治体等がNFTを扱うことで、地域活性化に繋がる複数の事例が出てきました。
北海道北広島市が「現地でしか手に入らないNFT」を提供
団欒トラベルノート北広島市~旧島松駅逓~/Happy Travel Notes Kitahiroshima City ~Former Shimamatsu Station
2022年1月、一般社団法人 北海道きたひろ観光協会は、国の史跡に指定されている旧島松駅逓所をモチーフにしたNFTを作成しました。そのNFTは、北広島市の駅ホームに掲示された2次元バーコードを読み取り、抽選に参加することで販売されました。
現地に行く必要があり、現地に行っても必ず手に入れられるとは限らないにも関わらず、17名もの方が抽選に参加しました。中には、6時間ほどの移動時間を費やして抽選に参加した方もいました。
この実証実験から、「NFTには人を物理的に動かす力がある」ということが証明されました。人が動くということは、公共交通機関の利用や宿泊、観光等により、地域経済が活性化することに繋がるため、非常に大きな示唆が得られる結果といえます。
北海道余市町が、ふるさと納税の返礼品にNFTを採用
「Yoichi Mini Collectible Collection No.1」#1、#26
2022年5月には、北海道余市町がふるさと納税の返礼品にNFTを採用しました。ふるさと納税の返礼品として、お米やフルーツ等が送られてくるのと同様に、NFTアートが送られてくるという取り組みです。
余市町の特産品であるワインをモチーフにしたNFTを、それぞれ絵柄の異なる一点ものの作品を54種類、120,000円/種類の寄付額で提供しました。画期的な取り組みに反響が集まり、ふるさと納税ポータルサイトに返礼品が掲載されてから、約3時間後には全ての返礼品に対して寄付が集まりました。
寄付者は、受け取ったNFTをSNSのアイコンに設定したり、バーチャル空間にNFTを飾ったりする等、楽しんでいます。それだけではなく、本NFTには保有者特典がついており、通常、入手困難な余市産のワインの優先購入権の抽選権利がついていることも話題になりました。
余市町の事例を皮切りに、現在では多くの自治体がふるさと納税NFTに挑戦し始めています。
リリースからたった3分で全ての返礼品に対して寄付が集まる事例も
左「太子町ふるさとCNP2022」、右「長岡京市ふるさとCNP2022」
ふるさと納税の返礼品にNFTを活用することの成功事例は、余市町の件だけではありません。
2022年11月には、大阪府太子町、京都府長岡京市がふるさと納税の返礼品にNFTを採用。222種類の一点ものNFTを寄付金額3万円/種類で用意し、NFTに特化したふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税NFT β版」上で提供しました。
国内最大級のNFTプロジェクト「CryptoNinja Partners」とコラボした返礼品だったこと、現地を訪れることで絵柄が変化する仕掛けが施されていた等の理由から、企画発表直後から多くの反響を集めました。
その結果、NFTに熱狂している方、地域の新しい挑戦に感銘を受けた方等、幅広い層から注目を集め、ポータルサイトに返礼品が掲載されてから「たった3分」で全ての返礼品に対して寄付が集まりました。
本企画「ふるさとCNP」シリーズは、他自治体でも展開されており、全ての地域において10分未満で全ての返礼品に対して寄付が集まっていることから、一過性のブームではないといえます(2023年1月現在)。
2023年はNFTの可能性がさらに拡張し、広く認められる存在へ
2022年は、複数の自治体がNFTを取り入れたことにより、投機的な側面以外でもNFTが活用できることを証明しました。具体的には、シティプロモーションの推進、関係人口の増大、観光客の誘致に繋げることができます。
2023年は、この流れがさらに普及し、よりユニークな取り組みが増えることでしょう。
株式会社あるやうむ(本社:北海道札幌市、代表取締役:畠中博晶)は、「NFTによる地方創生を推進する」をミッションとし、全国の自治体へNFTの技術提供を行うことで、この動きを加速させていきます。
具体的には、ふるさと納税の返礼品にNFTを活用するための企画提案から返礼品NFTの作成、カスタマーサポートまで一気通貫で行います。また、北広島市の事例のように、ふるさと納税のスキームを活用しない観光NFTの取り組みも提案させていただいております。
ふるさと納税での活用に留まらず、NFTを活用した観光への挑戦等にも取り組んでいきますので、ご一緒いただける自治体様、観光業者様はぜひ一度お声かけください。NFTを活用することで地域の魅力を最大限発揮させ、地域経済を活性化させていきましょう。
<著者プロフィール>
稲荷田和也
株式会社あるやうむ
CCO新卒でSansan株式会社に入社。インサイドセールスを経て、史上最年少でエンタープライズセールスに着任。官公庁開拓の戦略立案と実行を担う。SaaSや官公庁営業の知見を活かして独立後、double jump.tokyo株式会社、株式会社あるやうむに参画。あるやうむでは、営業責任者として初期の営業活動を担った後に、広報室を立ち上げ。広報室長として、PRや渉外活動をリードする。 2022年12月より、CCO(Chief Communication Officer)に就任。
- Original:https://techable.jp/archives/195234
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:Techable編集部
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