太いトルクの6.2リッターV8 OHVエンジン!シボレー「カマロSS」に感じるクルマの魅力の奥深さ

クルマは“進化”しているといわれています。デザインも、ときとして技術の進歩とともに変化することも。でも、米シボレーのカマロは数少ない(いい)例外かも。

ここで紹介するのは、大排気量のマルチシリンダーエンジン搭載「カマロSS」。日本で売られるカマロシリーズのトップモデルです。

走りも個性があって、クルマ好きなら、けっこう惹かれるものがあるのでは。23年2月に日本自動車輸入組合が開催した試乗会で、ドライブする機会をもらいました。

これまで2リッター4気筒の「カマロLT RS」には何度も乗ったことがありました。今回のモデルは初めて。期待を裏切らない、独特のテイストで楽しませてくれました。

■スタイリッシュな第6世代カマロ

スペシャルティクーペとジャンル分けされることもあるカマロ。初代は1966年に発表されました。現在は第6世代。これがスタイリッシュなのです。

1970年発表の第2世代や、日本でもっとも有名な第3世代(82年)のカマロはマッシブな印象のスタイル。

7年間のブランクを経て2009年に発表された第5世代から、路線がまた大きく修正され、初代のイメージにたちかえった感があります。

いまの第6世代カマロは2016年に登場。先代のいいイメージを継承した、魅力的なデザインをもっています。

長いフード、低く構えたノーズ、コンパクトなキャビン、抑揚のついたキャラクターライン……どれもクルマ好きならシビれます。

 

■他では得難い太いトルクの気持ちよさ! バルブ駆動のOHVエンジン

カマロSSは、6.2リッターV8エンジンで後輪を駆動。SSとはスーパースポーツの頭文字で、要するにスポーティなモデルです。

カマロSSがユニークなのは、スポーティの名のとおり、かためられたサスペンション設定と、クイックなステアリングとともに、大トルクであること。

OHVという、1980年代以降は珍しくなったバルブ駆動方式を採用。いま主流のDOHCエンジンは、混合気をシリンダーに送りこむバルブを、シリンダーの上に配置されたカムシャフトで駆動します。

それに対してOHVは、バルブこそシリンダーの上に配されているものの、カムシャフトはエンジンブロックの横。カムシャフトとバルブの開閉機構のあいだにプッシュロッドが設けられています。

効率でいえば、オーバーヘッドカムシャフト(SOHCとかDOHC)が上ですが、大きな排気量で、低回転域から大トルクが出ればよし、としている米のメーカーはOHVを捨てていません。

ドロドロドロ~と音声化されることもある、独特のサウンドとともに、1500rpmも回っていれば、かなりの迫力の加速を体験させてくれるOHVエンジン。

カマロSSに乗ると、太いトルクで走る気持ちよさに、クルマの魅力の奥深さをあらためて感じるほどです。

シャーンッという感じで一気呵成に、6000、7000、そしてその上の回転域までも吹け上がるDOHCも、それはそれで快感です。が、カマロSSの走行感覚にはほかで得がたいものがあります。

いってみれば、気持ちよさ。快感といったほうがいいかもしれません。路面をぐっと掴んで、どーんっと強い力で蹴っていく。同時に太いエンジンの吸気音と、頭の後ろからいさましい排気音。

■向上したインテリアに気分もアガる

いまのカマロがデビューしたとき、ダッシュボードの造型感覚がちょっとプラスチックっぽくて、大人にはどうかなと思いました。いまは、質感向上しています。

乗ったクルマはブラックの塗色で、大きめのドアを開けると、シートの中央部に使われたあざやかな赤色が目にとびこんできます。なかなか気分がアガります。

べつに速度を出していなくても、古着のレザージャックとか着て、サイドウィンドウを降ろして走ってみたくなる。乗っていると、クルマにはこういう楽しみかたがあるのだなあと、楽しくなるのです。

【Specifications】
Chevrolet Camaro SS
全長×全幅×全高 4785x1900x1345mm
ホイールベース 2810mm
車重 1710kg
6168cc V型8気筒OHV  後輪駆動
出力 333kW@5700rpm
トルク 617Nm@4600rpm
変速機 10段オートマチック
価格 848万円

>> ゼネラルモーターズ・ジャパン シボレー カマロ

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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