男カワサキがぶち上げた“ヨンヒャク”復権の狼煙【最旬!バイクライフ】

【最旬!バイクライフ】

バイク人気が高まっているだけに、この春はメーカーも数多くのバイクをリリース。先月開催されたモーターサイクルショーに出展された最新モデルを中心に、注目のマシンを紹介。

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カワサキがヨンヒャクのニューモデルを連発し、バイクファンから熱視線を浴びている。

400ccは普通自動二輪免許で乗れる最大排気量で、車体サイズやパワーが日本の道路環境に“ちょうどいい”とライダーたちを魅了し続け、ジャパニーズ・スタンダードとも呼ばれたクラス。しかし、大型二輪免許が教習所でも取得できるようになったことや、400ccという排気量区分が日本の免許制度に合わせた特有なものであったことなどが影響し、気がつけばラインナップは激減しており、絶滅危惧種になっていたのだ。

そんなところに、完全新作の4発スーパースポーツが登場したのだからファンは歓喜。それもニンジャZX-4RR! フルカウルは見かけ倒しではなく、ヨンヒャク史上最強スペックの持ち主で、最高出力は80PSを発揮するのだから驚きを隠せない!! これはベテランライダーなら分かるだろうが、正直腰を抜かす数値。というのも、過激と言われたレーサーレプリカが全盛だった’80〜’90年代でさえ、400ccクラスの上限は59PSで、それを遥かに凌いでいる。

環境規制が厳格化された現代では奇跡的とも言え、メーカーの威信をかけた新作なのだ。

水冷並列4気筒DOHCエンジンは16000rpmでレッドゾーンを迎える超高回転型で、低中域からよどみなく回り、4発ならではの胸のすく加速が味わえるのだからたまらない。また、ニンジャZX-25Rと比較し、全長で10mm、幅とシート高も15mmしか増やしていないコンパクト設計も舌を巻くところ。バイク業界では早くも今年の顔との呼び声が高い。

さらにカワサキはエリミネーター/SEまで被せて発表してきた。’80年代に初代が登場したオトコ・カワサキらしい不良テイストあふれるストリートドラッガーだが、コイツもヨンヒャクで復活! 低中速トルクが太く扱いやすいパラレルツインエンジンを心臓部とし、上級仕様のSEはドラレコ付きであることも業界を激震させている。

ヤマハSRやホンダCB400スーパーフォアらが生産終了となり、かつては名車揃いだったと衰退ムードで語られることが多くなってしまったヨンヒャクに、カワサキが強烈すぎる隠し玉を2発も打ち込み、クラスが一気に活性化することは間違いない。中免(普通二輪免許)ライダーはもちろん、ビッグバイクユーザーやまだバイクの免許を持っていない人にとっても目が離せないカテゴリーとなったぞ!!

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオさん
バイク専門誌編集部員を経て二輪ジャーナリストに転身。世界各国を飛び回り、メーカー・タイプ問わずあらゆるバイクに精通。詳しくない人にも分かりやすい文章に定評がある

 

<KAWASAKI>

■250cc並の軽量コンパクトさで、80PSもの大パワー!!

Kawasaki
「Ninja ZX-4R/RR」(価格未定)

車体を見る限り、スーパーバイク世界選手権のZX-10RRの設計思想が惜しげなく注入され、戦闘力抜群なのは間違いなし!!

軽量なトレリスフレームなど、シャシーの基本構成はZX-25Rに近く、車体重量も5kgしか増えていない。3つのグレードが設定されるものの、大阪&東京のモーターサイクルショーに展示されたのは、レーシンググラフィックスを身にまといクイックシフターなどを装備し、フルアジャスタブルリヤショック付きの最上級仕様「RR」のみ。いずれも価格は未定で、今秋発売予定となっている。

▲ラムエア加圧時のピークパワーが80PSにも達する新開発の4発ヨンヒャク。’99年が最終型だったZXR400が59PSだったことを考えれば強烈!

▲LEDヘッドライトをデュアル装備した戦闘的なフロントマスク。そのど真ん中に大きく開くのが、走行風を直に取り込むラムエアダクトだ

▲インストゥルメントパネルは4.3インチのフルデジタルカラー液晶スクリーン。専用アプリを介してスマートフォンに接続することもできる。

 

■SEにはドラレコなどが標準装備!

Kawasaki
「ELIMINATOR/SE」(75万9000円/85万8000円)

万一のことを考えれば二輪車にこそドラレコは必要。取り付けの手間などを考えれば、新車時から備わるSEがオススメ!!

エリミネーターの名が4月25日にいよいよ復活! 日本のライダーのためにつくられた、日本メーカーによるモデルであることが分かり嬉しいかぎり。先代はオトコ・カワサキと言わんばかりの武骨なスタイルで硬派なバイク乗りに根強い人気を誇ったが、735mmの低シート高や低速域でコントロール性の高いツインエンジンはビギナーや女性たちも含め、幅広い層にも受け入れられそうだ。

▲ダウンドラフトインテークを採用した並列2気筒エンジンは、水冷ながらパイプ類の露出を最小限に抑え、見た目にもスッキリし力強い

▲丸いメーターは正統派スタイルだが、オールデジタルでスマートフォンとのBluetooth接続も実現。専用アプリで詳細な走行ログも記録できる

▲先端を絞りこんだ形状としつつ、適度なホールド感と乗り心地の良さを両立したシート。不快な振動を抑えるゴムダンパーも備える

 

■ホンダ、ヤマハ、スズキも注目モデル目白押し!

今春のニューモデルはカワサキのパンチが強烈だったが、ホンダやヤマハ、スズキといった国内メーカー勢も黙っていない。個性派揃いの新車を数多く発表するなど、凄まじい盛り上がりを見せている。

*  *  *

カワサキがヨンヒャクを活性化させたように、ヤマハは125ccクラスで反撃に!

国内ラインナップで絶版となっていたギヤ付きを復活させ、新機種を3連発で投入。昔ながらのスタイルを最新のバイクで表現する「ネオクラシック」はトレンドになっているが、シーンを牽引するXSRシリーズの末っ子を日本向けに送り込む。

これまで海外使用が存在し、国内発売も待望されていたが、ついに需要に応えたカタチだ。同様に欧州・アジア圏で販売されていた「YZF-R125/R15」や「MT-125」も足並みを揃えている。

ホンダの新型「XL750 トランザルプ」は、日常使いから世界一周までを叶えるオールラウンダー。ダートの走破力もあり、アップマフラーやセミブロックパターンのタイヤを備える「CL250」といい、ホンダは休日の冒険に付き合ってくれる頼もしい相棒を提案してきた。

スズキは新開発のエンジンとフレームレイアウトで、アグレッシブなストリートファイター「GSX-8G」を新発売。クランク軸に対して、1次バランサーを2軸で90度配置する量産二輪車初の技術を用い、スムーズな走行とコンパクト・軽量化を実現している。国内4メーカーが個性を光らせた新車ラッシュに、バイクファンよ大いに悩め!!

 

<YAMAHA>

■これを待っていた!RZにもあった125版

YAMAHA
「XSR125」(価格未定)

欧州仕様にはよりレトロなスポークホイールバージョンも存在! 国内でも販売されることを願います

伝統的なデザインを現代風のテイストで表現するのが「スポーツヘリテージ」と呼ばれる新ジャンルで、欧州で火がつき日本でも人気急上昇中! ヤマハXSRシリーズはその代表格で、’80年代のRZだっりTZRのゴロワーズなど往年のカラーを900や700で復活させ、ファンを虜に。その末弟となる125cc版が新登場し、ついに国内導入か!?

 

■ヤマハ自慢のスーパースポーツYZF-Rより選びやすく!

YAMAHA
「YZF-R125/R15」(価格未定)

欧州版ではクイックシフターがオプション設定されるなど仕向地によって装備が異なります。国内仕様の詳細はまだ未定

フルカウルで、しかも兄貴分たちと共通イメージでエッジのしっかりと効いた本格派スタイルが小排気量モデルで欲しい! そんな要望に応え、国内向けに登場してくるのが「R125&R15」だ。モノアイのヘッドライトで、「R7」に似たフロントマスクとなった。高速道路も走行したいのならR15がオススメ!

 

■ヨーロッパで人気を博した実力者が満を持して国内へ!

YAMAHA
「MT-125」(価格未定)

欧州仕様はトラクションコントロールを搭載するなどクラスを超えた装備。日本向けも豪華かもしれませんよ!!

筋肉隆々のマッチョなスタイルで、力強い走りを見た目でもアピール。湧き上がるトルクや俊敏さが持ち味のMTシリーズの末っ子は、初代が2014年に発表され入門モデルとして欧州で販売されてきたが、待望の日本デビュー。ツインアイの最新式はスマートフォンと連動するなど装備が充実している。

<HONDA>

■ダートの匂い漂わせストリートバイクブーム再燃させる

Honda
「CL250」(62万1500円)

アップハンドルや低回転域でトルクフルな単気筒エンジンは街乗りで扱いやすく、ストバイとして大ヒットの予感!

アップタイプのマフラー、セミブロックパターンのタイヤなど’60年代に流行したスクランブラースタイルを現代風にアレンジ。オフロード専用車がまだなかった時代、ダートを駆け抜けるための工夫が際立つ個性となってよみがえった。フラットシートやタンクパッドなどトラディショナルな装いで、タフでレトロなスタイルに。

 

■親しみやすく頼れるタフネスデザインは空力にも優れる

Honda
「XL750 TRANSALP」(126万5000円)

突起や段差のない滑らかなボディラインは高速巡航も得意。実力はオールラウンダーを求めるアナタにオススメです

1987年から2002年までに4モデルが製造販売されていた懐かしのブランドが復活。今では大人気となっているアドベンチャーやデュアルパーパスの元祖で、欧州で人気を博した。もしも、’91年の国内専用車「トランザルプ400V」を知っているならアナタはツウすぎる。再評価され、並列2気筒の754ccパラツイン搭載で新登場だ!

<SUZUKI>

■ワンランク上のラグジュアリースクーター

SUZUKI
「BURGMAN STREET 125 EX」(31万7900円)

エンジンは500万台の実績があるSEPを進化させたSEP-α。アイドリングストップを備え、燃費と静粛性も高次元で両立!!

流麗なラインと豊かなボディワークによって、クラスを超えたボリューム感と上質さを演出。ロングホイールベースと前後12インチのアルミ製ホイールで直進安定性や乗り心地にも優れ、卓越したトータルバランスを実現している。フル液晶の多機能ディスプレイやUSB電源、容量21.5Lのシート下トランクなど日々の使い勝手にも配慮している。

 

■技量を問わず日々のライディングを存分に楽しめる

SUZUKI
「GSX-8S」(106万7000円)

扱いやすいパワーと軽快な走りは上級者を唸らせるとともに、大型入門機をしても最適。長く付き合える相棒になるはず

新開発の775ccパラレルツインエンジンを高剛性スチールフレームに搭載。縦2灯LEDライトやタンク周りのボリューム感、ウエスト&リヤの引き締まったラインのコントラストはストリートファイター「GSX-S」シリーズに共通するもので、トラクションコントロールやクイックシフター、イージースタートシステムなど電子制御も先進的。

※2023年4月6日発売「GoodsPress」5月号94-97ページの記事をもとに構成しています

>> 特集【最旬!バイクライフ】

<文/青木タカオ>

 

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