2023年完全ワイヤレスイヤホン最強候補、テクニクス「EAH-AZ80」レビュー。アップル、BOSE、ソニーと比較も

テクニクスの完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ80」が6月15日に登場します。テクニクスとしては2020年発売の「EAH-AZ70W」以来のハイエンド機更新となり、音質、ノイズキャンセル、通話品質のすべてで2023年のトップを目指す注目モデルです。もちろん“LDACコーデック”にも対応するほか、業界初の“3台マルチポイント接続”という新機軸の機能も。

▲テクニクス「EAH-AZ80」。想定価格は3万6600円

業界内を見渡すと、ここ2年くらいで完全ワイヤレスイヤホンで有力なライバル機が増えているのも事実。Apple「AirPods Pro (第2世代)」、BOSE「Bose QuietComfort Earbuds II 」(以下「QC Earbuds II」)、ソニー「WF-1000XM4」あたりが定番モデルですよね。

▲(上)ソニー「WF-1000XM4」、(左下)Apple「AirPods Pro (第2世代)」、(右下)BOSE「Bose QuietComfort Earbuds II 」

そこで、最新のテクニクス「EAH-AZ80」をレビューしつつ、BOSE、アップル、ソニーのライバルモデルとノイキャン性能、通話性能、音質などを比較していきます。

 

■音質、ノイズキャンセル、通話品質すべてが優秀

テクニクス「EAH-AZ80」の実機をチェックしつつ、ライバル機種と比較していきます。

▲テクニクス「EAH-AZ80」のイヤホン本体。シルバーのテクニクスらしいデザイン

▲付属充電ケースもコンパクト。再生時間は本体のみ7時間、ケース込みで24時間

技術的な注目ポイントは多数あり、順次紹介していきますが、まず語りたいのは装着感の良さ。10ミリドライバーながら比較的コンパクトな筐体で、“コンチャフィット形状”と呼ばれる耳甲介(耳穴の外にある窪み)に収まる形状で、快適かつ安定してフィットします。

▲イヤホンにある膨らみ部分が耳の窪みにフィットする形状

そして注目機能は、やはりノイズキャンセル。騒音低減処理の遅延に配慮し、内側マイクにアナログ、外側マイクにデジタル処理を用いた“デュアルハイブリッドノイズキャンセル”仕様。

▲ノイズキャンセルは100段階で調整可能。アンビエント(外音取り込み)モードも対応

なお「Techinics Audio Connect」アプリからノイズキャセルの事前調整、そして100段階で外音コントロールによるカスタマイズも可能です。

▲路上や電車内でノイズキャンセル性能をテスト

屋外に持ち出してノイズキャンセル性能をテストしてみたところ、ノイキャン効果は非常に強力でした。路上で騒音として聞こえる低音側はほぼ消えて、クルマが通る際の中高域が残る程度。電車内の検証ではガタガタとした中域をよく抑えていました。ノイキャンによる違和感もありませんでした。

ライバル機と比較すると、ソニー「WF-1000XM4」、アップル「AirPods Pro (第2世代)」よりも、テクニクス「EAH-AZ80」の方が騒音低減は優秀。ただ、ノイズキャンセル最強のBOSE「QC Earbuds II」は、さすが全帯域の騒音を上手く抑えています。テクニクス「EAH-AZ80」はBOSEに迫る性能といったところでしょうか。

そしてテクニクス「EAH-AZ80」は、通話マイクにも独自技術を投入しています。左右合計8つのマイク内蔵と“JustMyVoice”テクノロジーというビームフォーミングと発話音声分析技術を搭載。

MacBookとペアリングしてビデオ会議で通話音質をテストしてみると、マイク音質の良さで広く高音質で音を拾うタイプ。人の声のみをクッキリするようなデジタル的な加工は感じられません。騒音下で通話をしていても、JustMyVoiceのおかげでゴーと響くような雑音を拾わず、話者の声が若干音質劣化する程度。ただ騒音に含まれる人の声は若干拾うようです。

ライバル機の通話性能も併せてチェック。アップル「AirPods Pro (第2世代)」は人の声をクリアにする方向性で聞き取りやすさはトップ。騒音は小さく拾い、話者も若干の音質劣化がある程度。BOSE「QC Earbuds II」はマイクが拾う音は軽めですが、騒音に対するノイズキャンセルが優秀で、音質も若干劣化する程度。ソニー「WF-1000XM4」は無音状態でも若干デジタルのような音質劣化があり、騒音下では話者の声にも雑音が入ります。

通話性能は条件次第ではありますが、テクニクス「EAH-AZ80」はアップル、BOSEと並ぶトップの一角ですね。

そしてやっぱり気になるサウンドをチェック。

テクニクス「EAH-AZ80」の高音質技術は、10mmのアルミドライバー搭載に加えて、デジタルの情報欠落を回避する“ダイレクトモード”搭載の高音質設計。Bluetoothワイヤレス部は“LDACコーデック”対応なので96kHz/24bitのハイレゾ高音質にも対応しています。

Xperia1ⅣとペアリングしてLDACコーデック音質優先の設定でチェックすると…パワフルかつ硬解像度志向のモニター系のサウンド。

宇多田ヒカル『あなた』を聞くと、歌声に適度に“硬さ”と厚みを出した上で徹底的に情報量志向。ベースやウッドベースも硬質で存在感を発揮しています。ピアノの余韻の再現も優秀でした。BTS『Dynamite』もハイキーな歌声を空間に響くさまを精密描写するようで、引き締まったビートもグイグイ迫ります。情報量の多さもさることながら、全帯域が均等にパワフルで歪みない所もポイント。

ライバル機種と比べると、アップルより高解像、BOSEよりモニター系、ソニーをよりパワフルにしたサウンド。個人的にはテクニクス「EAH-AZ80」がイチ押しです。

他にも業界初の“3台マルチポイント接続”があったり、アプリからタッチセンサーボタンのカスタマイズができたり、音途切れと遅延に関する設定が3パターンから選べたり、もちろんEQによる音質調整、カスタムイコライザも利用可能と、とにかく多機能。

▲とにかく多機能な「Techinics Audio Connect」アプリ

▲操作のカスタマイズも対応

▲カスタマイズも可能なイコライザー

音質、ノイズキャンセル、通話品質と全方位に独自技術満載でトップクラスに優秀なテクニクス「EAH-AZ80」。近頃は完全ワイヤレスイヤホンも値上がり傾向にあるのですが想定価格3万6600円と3万円台に収まっているところもポイント。

これ、2023年の最優秀完全ワイヤレスイヤホン筆頭候補間違いナシです。今、完全ワイヤレスイヤホンを探している人は必ずチェックすべきモデルですよ!

>> テクニクス「EAH-AZ80」

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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