AppleのVision Proは2024年前半にアメリカで発売されますが、3,499ドル(約50万円)という価格もあり、簡単に購入できる製品ではありません。米メディア9to5Macの編集者が、Vision Proは誰に有益なのか、どんな使い方に向いているのかを考察しているのでご紹介します。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. 約50万円と高価なAppleのVision Proは誰のための製品かを考察。
2. ビジネス用途では、工業デザインや建築デザイン、家具販売など。
3. 個人向けには、旅行、思い出の記録、ゲームなどが有力。
Vision Proは何に使えそう?
Appleが「空間コンピュータ」として発表したVision Proを試したジャーナリストらは、高い解像度やスムーズな動作を賞賛していますが、3,499ドル(2023年7月2日の為替レートで約50万円)からという価格もあり、誰もが購入できる製品でありません。
米メディア9to5Macの編集者であるベン・ラブジョイ氏が、Varjoの業務用ヘッドマウントディスプレイXR-3の使用体験をもとに、Vision Proの活用が期待される10の分野をまとめているのでご紹介します。
1. 工業デザインの補助的デバイス
製品デザインに専用ソフトウェアを使用している大手企業が、Vision Proに乗り換える可能性は低いだろう、とラブジョイ氏は指摘しています。
しかし、多くのプロユーザーを抱えるPhotoshopやFinal Cut Proが、iPad向けアプリを提供しているように、一部の機能を絞ったVision Pro向けアプリが提供されれば、Vision Proを活用できそうです。
2. 小規模な建築事務所
Vision Proは既存のiPhoneアプリをベースにしたVision Pro用アプリが提供可能です。
高価な業務用ヘッドセットと対応システムを導入する予算のない小規模な建築事務所やフリーの建築デザイナーでも、Vision Proで3Dモデルの構築が可能です。
3. 家具・インテリア販売
家具店でVision Proを装着し、歩き回りながら実物大の家具の素材やカラーを切り替えたり、他の家具に入れ替えてチェックできると、買い物の体験が格段に向上しそうです。
ユーザーがiPhoneアプリでリビングルームの3Dモデルを作っておき、インテリアショップのVision ProにAirDropで転送するといった活用方法も考えられます。
4. バーチャル会議(主にビジネス向け)
AppleはVision Proを発表した際のデモで、FaceTimeでの活用例を示しましたが、平らなタイルの中に人々がいる様子はラブジョイ氏にとって期待外れだったそうです。
しかし、没入感のあるバーチャルな部屋でプレゼンテーションを見ながら議論するビジネスミーティングのような企業向け用途は実現の可能性が高そうです。
Vision Proの価格を考慮すると、祖父母が孫と交流するような家庭での活用が実現するのはだいぶ先のことになりそうですが、長期的には活用への期待が持てそうです。
5. 救急医療
救急隊員の頭部に取り付けたカメラから送信された映像を病院にいる医師のiPadなどに送信し、応急処置について助言する遠隔医療はすでに実例があります。
より没入感のあるVision Proを装着すれば、医師がより集中して遠隔医療にあたることができるでしょう。
Vision Proを使った手術の可能性に、現役の外科医も期待を寄せています。
このほか、戦場のような救急医療の現場で、熟練した外科医が若手をサポートする場合にも、Vision Proを使ってアドバイスすれば有効と思われます。
6. 飛行機などの操縦訓練
1台数億円する業務用フライトシミュレーターを置き換えることはできなくても、ヘッドセットデバイスが自家用操縦ライセンス取得のための訓練に有益であることは間違いないでしょう。
飛行機以外でも、船舶、トラック、バスなどの操縦訓練にも仮想現実(VR)ヘッドセットが活用されていることから、Vision Proも有益と思われます。
訓練以外にも、Microsoft Flight SimulatorやX-Planeのようなフライトシミュレーターは、娯楽としても人気があり、Vision Proで利用できれば話題になりそうです。
7. バーチャル旅行
Google Earthやストリートビューのように、実際に出かけずに世界各地を旅行できる体験は、多くの人を魅了しました。
ヘッドセットで見る360度ビデオは非常に没入感があり、高解像度のディスプレイを搭載するVision Proならその体験は素晴らしいものになるでしょう。
ヘッドセットの価格が実際の旅行よりも割高だとバーチャル旅行は普及しないものの、エベレスト登頂や海底に沈むタイタニック号を見に行くなど、現地に行くリスクが大きい場合は有益です。
8. 思い出の追体験
Appleは世界開発者会議(WWDC23)でVision Proを発表した際、父親が子供の誕生日をVision Proで録画するでも映像を公開しました。ラブジョイ氏は、誕生日を生で体験しないその様子を「ぞっとした」とコメントしつつも、Vision Proは旅行などの思い出を記録するのに有用だ、と期待を示しています。
360度カメラで撮影した映像を、没入感の得られるヘッドセットで視聴できるのは優れた組み合わせだ、と語るラブジョイ氏は、今後の旅行では360度カメラで撮影するつもりだそうです。
以下の動画は、ラブジョイ氏がアイスランドでスノーモービルに乗りながらInsta360 ONEで撮影し、Final Cut Pro Xで編集した360度動画です。
9. ゲーム
お気に入りのゲームの世界に入り込むことができるのは、間違いなく魅力的です。Vision ProはMetaのQuestよりもはるかに高い解像度を誇るため、高い没入感が得られるでしょう。
10. Macの代替
Macに複数の高解像度ディスプレイを接続せずに、Vision Proで操作できれば、場所の制約もなく生産性の向上が期待できます。
現在のVision Proを長時間装着して仕事するのは難しいかもしれませんが、将来的に軽量で発熱の少ないモデルが登場すれば実現するかもしれません。
アメリカでは2024年前半に発売
Appleは、Vision Proを2024年前半にアメリカで、日本を含むその他の地域では2024年後半に発売すると発表しています。
アメリカでの販売価格は3,499ドルからと案内されていますが、日本での販売価格も公開されていません。
Source:9to5Mac
Photo:Apple, Microsoft Flight Simulator/YouTube
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/vision_pro-543623/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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