知っておきたい!タフウォッチ6つの基礎知識【タフウォッチ大図鑑】

【タフウォッチ大図鑑】

タフウォッチは複雑時計と並んで、時計の世界のひとつの究極、“夢の時計”のひとつだ。そもそも時計は精密機械。機械式でもクォーツでも、本当はとても繊細で壊れやすいもの。ところが20世紀からこの21世紀にかけて時計技術者たちは知恵を絞って、この「壊れやすい」という課題を克服してしまった。

18世紀から19世紀にかけて活躍した史上最高の天才時計師アブラアン‐ルイ・ブレゲが現代のタフウォッチを見たら、さぞ驚くに違いない。タフウォッチは苛酷な環境でも安心して安全に使える。正確な時を示すことで、着けている人の生命や安全を守ってくれる。

そしてタフウォッチを着けると、普通の時計よりも元気で強い気持ちになれる。だからあなたもぜひ、最新のタフウォッチを手に入れよう。タフウォッチは今も日々進化している。すでに持っているあなたも、ぜひ新しいタフウォッチで、これからの季節を元気に過ごそう。

 

ROLEX
「OYSTER PERPETUAL DEEPSEA CHALLENGE」(参考商品)

ケース径50mm。自動巻き。ケースとブレスレットは、ロレックスがこのモデルのために採用したグレード5チタン合金「RLXチタン」製。飽和潜水に対応するヘリウムエ スケープバルブや耐蝕性や耐傷性に優れたセラミック製の回転ベゼルを搭載する。

いま世界中でいちばん注目されているタフウォッチといえば、ロレックスが2022年11月に発表したこのダイバーズウォッチ。1967年発表の610m防水の「シードゥエラー」(現在は1220m防水)、2008年発表の3900m防水の「ロレックス ディープシー」に続いて登場した究極のダイバーズ「ロレックス オイスタ ー パーペチュアル ディープシー チャレンジ」だ。

その防水性能は史上最強の1万1000m防水。このモデルは2012年3月26日に探検家で映画監督としても名高いジェームズ·キャメロンが行った、マリアナ海溝の水深1万908mの単独潜航のために開発された試作モデルを進化させたもの。フリーダイビングからプロダイバーが行う大深度の飽和潜水まで、あらゆるダイビングに対応できる。

 

■知っておきたい!タフウォッチ6つの基礎知識

1. G-SHOCK

タフウォッチの代名詞といえば、「アブソルート・タフネス(究極のタフネス)」をブランドコンセプトに掲げる「G-SHOCK」。

カシオのデザイナー、伊部菊雄さんの「落としても壊れない丈夫な時計」というたった1行の企画書から「電池寿命10年、10気圧防水、10mの高さからの自由落下に耐える時計」を目標に1981年に開発が始まり、1983年4月に初代モデル「DW-5000C-1A」が発売された。当時の価格は1万1400円。なお、現在の防水性は20気圧。

 

2. 衝撃吸収構造

▲デジタルクォーツのG-SHOCKも、ムーブメントを浮かせた中空構造になっている

時計のムーブメントは衝撃に弱い。機械式時計の場合、特に弱いのが心臓部にある脱進調速機の、高速で往復回転運動している「天芯」と呼ばれるてんぷの軸。時計に強い衝撃が加わるとここが折れて壊れてしまう。そのためこの軸をルビーの軸受ごとバネで浮かせて支えて衝撃を減らす機構が必ず搭載されている。また、クォーツではムーブメント全体をケースの中でゴムのような素材で挟んで保護する構造や、ケース内で浮かせる「中空構造」が採用される。

 

3. 防水防塵構造

▲G-SHOCKマッドレジストテスト。泥の中でボタン操作を行うという、より過酷な環境を機械で再現している

粉塵(砂やホコリ)、水や水蒸気は時計の天敵。そこでタフウォッチに不可欠なのがケースの中に粉塵や水や水蒸気が入らない防塵防水構造。そしてこの性能を表す国際規格がIP(アイピー)コード。IPとは規格を定めた国際電気標準会議のこと。「IP68」の場合は6が防塵、8が防水の等級を示す。防水性は別の規格があるので時計でよく使われるのは防塵のみの「IP◯X」という表記。「IP6X」とは粉塵が入らない完全防塵構造のことだ。

 

4. ISO6425

▲水中でのインデックスや針の視認性もこの規格が求める性能のひとつ

スキューバダイビングやプロダイバーが使う潜水用時計(ダイバーズ)では、ケース内への水の侵入や機能不全は即、ダイバーの生命の危機を招く。そこで潜水用に使う時計の条件を定めた国際規格でいちばん有名なのが、国際標準化機構(ISO)が定めたISO6425。単に水中で時計の中に水が入らないだけではなくて、水中での文字盤の視認性や、潜水時間の記録に役立つ回転ベゼルを備えることなども細かく規定されている。

 

5. 非磁性素材

▲ムーブメントの耐磁性で最も厳しい品質基準を設けているのが、スイス連邦計量・認定局(METAS)が認定する「マスター クロノメーター」規格。この規格をクリアした時計は、現在もっとも耐磁性が高い時計だ。写真はそのテスト風景

強い磁気も時計の大きな故障の原因になる時計の天敵。強い磁気にさらされるとケースやムーブメントの部品が磁気を帯びて、部品の動きがその影響でおかしくなり、時計が止まったり精度が損なわれたりする。そこでタフウォッチも含めて最新の時計は、時計の心臓部に使う部品をはじめムーブメントのほとんどの部品を、磁気の影響を受けない非磁性のものを使ったり、ムーブメント全体を磁気から守る素材でカバーしたりしてある。

 

6. 904L

▲ボールウォッチも904Lをケースやブレスレットに採用する数少ないブランドのひとつ。(写真は新作「エンジニアIIIアウトライアー」)

時計のケースにいちばん多く使われているのが、鉄にニッケルやクロムを混ぜて作った合金である。その中でも時計マニアの間でとくに有名なのが「904L(キューマルヨンエル)」と呼ばれるステンレス素材。広く時計に使われている「304」や、それより耐蝕性に優れた「316L」というSSよりさらに耐蝕性が高い。だがその分、加工が難しいのでコストがかかる。ロレックスや一部の時計メーカーがこの素材を使っている。

※2023年6月6日発売「GoodsPress」7月号122-123ページの記事をもとに構成しています

>> 特集【タフウォッチ大図鑑】

<取材・セレクト・文/渋谷ヤスヒト>

 

【関連記事】

◆ガーミンから都会顔なGPSウォッチが登場!最大約31日間稼働し続けるタフなバッテリーが魅力!
◆Sinnの新作ダイバーズウォッチに鋼鉄Uボート・スチールをケースに使ったタフなモデルが登場!
◆タフさが自慢のリトアニアウォッチにブレスレットモデルが追加!


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA