iSurgery株式会社は、山梨県厚生連健康管理センターおよび甲府市医師会健診・検査センターと連携し、企業健診受診者に胸部X線写真による骨評価AI検査を提供する実証実験を、2023年7月より開始しました。
また、同実験の学術的な評価と進展の記録を残すために、山梨大学との共同研究契約を締結しています。
なお同実験は、山梨県が推進する「第4期TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」の一環です。
骨粗しょう症検診の現状
日本では、加齢に伴う骨粗しょう症患者が1300万人に上る一方で、骨粗しょう症検診受診率は約5%と低水準。その結果、骨粗しょう症患者のうち約80%は治療介入ができておらず、骨折や要介護状態につながりやすく、これらによる医療・介護総費用は約1兆円に上るようです。
骨粗しょう症検診の課題として、検診に特殊な検査機器を用いるため多くの被検者を対象にできないこと、被検者側の受診の動機づけが難しいことが挙げられます。
胸部X線写真から骨を解析するAI医療機器
そこで、整形外科領域のAI医療機器の開発および販売を手掛けるスタートアップ企業のiSurgery株式会社は、深層学習による画像解析技術を応用し、一般的かつ撮影頻度が高い検査である胸部X線写真から骨を解析するAI医療機器を開発しています。
このAI医療機器は、X線撮影装置があればどこでも導入できること、既存の画像ビューアーを用いてワンクリックかつ5秒で解析できること、人的コストをかけずに検査数を大幅に増やせることが特徴です。
同AI医療機器の社会実装の方法のひとつが、受診率が高く、胸部X線写真を撮影する企業健診との連携。企業健診で撮影された胸部X線写真を骨の評価にも活用することで、効率的な骨粗しょう症リスクのある患者の発見を目指します。
実証実験の流れ
今回は、山梨県厚生連健康管理センターおよび甲府市医師会健診・検査センターにおいて、2023年7月〜9月の期間で実証実験を実施します。
期間中、2023年4月18日に薬事認可を受けたプログラム医療機器「医用画像解析ソフトウェア Chest Bone Indicator」を健診施設に導入。企業健診受診者は希望に応じて、法定健診で撮影した胸部X線写真を二次利用し、自身の骨の状態を評価することが可能です。
骨の状態が低下していると判断された場合、受診者は整形外科などの専門外来を受診し、骨粗しょう症の評価や必要に応じた治療介入を受けることができます。
同実験の検証項目は、検査選択率や要精査率、精密検査結果に基づく有病率、これらをもとに試算される将来的な医療費削減効果。検証結果は学術的な記録としてまとめられ、学会発表や論文発表を通じて全世界に向けて発信される予定です。
「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」について
山梨県では、リニア開業を機に、国内外の人々に目的地として選ばれるために策定した「リニアやまなしビジョン」で目指す姿として、テストベッドを突破口に最先端技術で未来を創るオープンプラットフォーム山梨を掲げました。
その実現に向け、「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」を推進中。最先端技術やサービスを有するスタートアップ企業などに対し、全国トップレベルとなる補助率3/4、最大750万円の経費を支援するとともに、山梨県全域を実証実験のフィールドとして、産学官金連携のオール山梨体制で伴走支援しています。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000061960.html
iSurgery株式会社 公式サイト:https://www.isurgery.tech/
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/215278
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口千穂
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