iPhoneの容量がいっぱい! データのバックアップはGoogleドライブとiCloudのどっちが良い?

【iPhoneでGoogleドライブ活用術】

iPhoneのOSを更新したり、新しいアプリを使ったりしたかったのに、ストレージ(容量)が足りない。不要なアプリは削除したものの、写真や動画、書類のデータなどがたくさんあって手詰まり——。

この記事を開いた皆さんは、きっとそんな状況を打破するための手段として、「クラウドストレージ」の利用を検討しているタイミングかもしれません。

そんな際、Appleが提供する「iCloud」が真っ先に候補が上がります。しかし、それ以外の候補も比較検討したくなるものでしょう。とはいえ、そうした情報を自力でリサーチし、整理するのは大変です。

そこで、今回はiPhoneでも比較的使いやすいiCloudの競合サービスとして、「Googleドライブ」をピックアップして概要をチェック。比較検討のためのとっかかりを作っていきましょう。

 

■そもそも「Googleドライブ」とは

Googleが提供するWebサービスやアプリは、俗に「Googleサービス」のように呼ばれています。このGoogleサービスの大部分は、無料で取得できる個人向けのGoogleアカウントがあれば、無料で利用できるのが特徴です。

「Googleドライブ」とは、このGoogleサービス群における「クラウドストレージ」に当たるサービスです。スマートフォンやタブレット、パソコンなど、デバイスを問わずにアクセスができ、ファイルやフォルダを保存したり、共有したりできます。もちろん、iPhoneやiPad、Macでも利用可能です。

「Googleドライブ」 ▲App Store上で提供されている「Googleドライブ」アプリは、iOS/iPadOS向けだ

例えば、フリーメールサービス「Gmail」のメールアドレス(〜@gmail.com)を取得しているのであれば、このGoogleアカウントは既に取得できています。これは、Gmailの作成手順に、Googleアカウントの作成が含まれており、Gmailのアドレスとパスワードが、GoogleアカウントのID・パスワードを兼ねているからです。

 

■それぞれの料金と保存容量などを比較

では、「個人がiPhone内の写真や動画、書類などのデータをバックアップする」という運用を想定して、iCloudとGoogleドライブの主な仕様を比較してみます。

iOSデバイスにおける「iCloud+」と「Google One」の料金表 ▲iOSデバイスにおける「iCloud+」と「Google One」の主な料金を比較。同容量ならばGoogle Oneの年額支払いの方がやや安価になる

まず、「iCloud」には、アカウントを持っているだけで無料で利用できるストレージが5GB用意されています。ただし、この「ストレージ」は、バックアップする写真や動画ファイルだけで使えるわけではありません。iCloud経由でデバイス間の共有が行われる「メール」や「書類」関連のデータなどでも消費されます。

そのため、iCloudを写真や動画のバックアップ先として活用したい場合には、有料プランの「iCloud+」を契約して、利用できるストレージを増やすのが現実的です。

23年9月上旬現在では、ストレージを拡張できる「iCloud+」のプランとして、50GB(月額130円)、200GB(月額400円)、2TB(月額1300円)の3プランが提供されています。

 

一方、「Googleドライブ」には、無料で利用できるストレージが15GB用意されています。なお、この容量も「Gmail」や「Googleドライブ」「Googleフォト」などで共用となる点に、留意が必要です。

Googleドライブでも使われる共用ストレージを拡張するためには、有料プラン「Google One」の購読が必要です。iOSアプリから購読する場合には、100GB(月額250円または年額2500円)、200GB(月額380円または年額3300円)、2TB(月額1300円または年額1万3000円)などを選択できます。

 

■それぞれのメリットとデメリットは?

iCloudを利用するメリットとしては、Apple IDを作成していれば、簡単に使えるということが挙げられます。有料プランへ移行する場合にも、別途アプリをインストールする必要はありません。

また、iCloudには、iPhoneのデータをまるごとバックアップしておけることもポイントです。容量の大きいプランを購読し、Wi-Fi経由で端末のバックアップを行えば、万が一の紛失や故障への備えにもなります。

デメリットとしては、保存したデータの管理・挙動がわかりづらいことが挙げられます。例えば、「iCloud写真」という機能がありますが、こちらは「iPhoneで撮影した写真・ビデオを自動でiCloudを介して複数機器間で同期できる」という機能です。そのため「iCloud上に保存されているから大丈夫」と思って、どこかのデバイスの「写真」アプリからデータを削除すると、全てのデバイスからもデータが削除されてしまいます。バックアップはバックアップで別途行うことが推奨されており、初心者には混乱を招きがちです。

iCloudとGoogleドライブの主な特徴比較 ▲iCloudとGoogleドライブの主な特徴比較

一方のGoogleドライブを使うメリットとしては、無料でも15GB(複数サービスで共用)の容量を利用できることが挙げられます。有料プランについても、年額支払いを選択すれば、より安価に運用することも可能です。例えば、200GBプランは、iCloud+だと月額400円(=12ヶ月で4800円)、Google Oneだと年額3300円となります。

また、「Googleドライブ」へのデータのアップロードは、基本的には手動で行うことになります。iOS標準の「写真」アプリに表示されるデータと、「Googleドライブ」アプリで表示されるデータは完全に分かれていますので、端末上の挙動で混乱することも少ないでしょう。

しかも、「ファイル」アプリ上でのドラッグ&ドロップ操作なども対応しますし、MacやPCのブラウザ上から管理することもできるので、もし大量のデータをアップロードするとしても、保存場所をフォルダで整理しやすいでしょう。

一方、Googleドライブ(Google One)を使う場合には、iPhoneのデータをまるごとバックアップすることはできません。写真や動画は「Googleフォト」、連絡先は「Googleコンタクト」、カレンダーの予定は「Googleカレンダー」のように、バラバラにデータをバックアップすることはできても、万が一のiPhoneの紛失・故障などに備えるバックアップとして使うには、やや不向きです。

 

■「Googleフォト」は何が違う?

先述した通り、Googleサービスには、写真・動画の保存や編集作業に特化して設計された「Googleフォト」もあります。

Googleフォトには、スマートフォンで撮影した写真や動画データを、普段から自動的にバックアップできる機能があります。日常的なデータの管理作業が面倒だというズボラな人には向いているサービスかもしれません。

ただし、かつてのGoogleフォトは容量を気にせずにデータを保存することができたため、写真の自動バックアップ先としては定番でしたが、2021年6月1日からは一部の例外を除き、基本的にGoogle Oneのストレージを消費するようになっています。Googleフォトを使って、なんでもかんでも自動でバックアップする設定にしておくと、クラウドストレージの容量を圧迫しがち。結局「Googleフォトにアップロードしたものの、不要な写真を消す」という作業が発生すると面倒です。

とはいえ、Googleフォトでも、自動でのアップロード機能をオフしておけば、Googleドライブの場合と同じく、手動で選択したデータのみをアップロードすることができます。

iPhoneのストレージを圧迫しがちな写真・動画をメインで管理するならば、「Googleドライブ」よりも、編集機能なども備えた「Googleフォト」の方が適しているかもしれません。どのタイミングで手間が発生するのかだけ理解しておけば、自動バックアップも心強い機能です。

*  *  *

例えば、(1)iCloud+の月額400円(12ヶ月で4800円)の200GBプランを購読し、紛失や故障に備えたiPhone全体のバックアップを作成し続ける。(2)Google Oneの年額2500円の100GBプランを購読して、Googleドライブに大事な写真と書類だけ定期的に手動アップロードしておく、(3)Google Oneの年額2500円の100GBプランを購読して、Googleフォトに大事な写真だけ手動バックアップしておく——などなど。

もし、なるべく節約を意識しながら、クラウドストレージを活用するならば、上記のような選択肢を基準にしながら、個人の利用状況に応じた最適化や比較検討をしてみると良いかもしれません。

>> iPhoneでGoogleドライブ活用術

<文/井上 晃

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X(旧Twitter)

 

 

 

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