サーフボードを載せて「ジープ ウィリスMB サーファー仕様」のビネット完成!【達人のプラモ術<ジープ ウィリスMB>】

【達人のプラモ術】
イタレリ
「1/4トン 4WDオフロードトラック」
04/04

ウェザリング塗装で、いい感じに使い込まれたジープに仕上がりました。くすんだライトブルーの塗装も気に入っています。

今では、普通に街中でも見かけるジープですが、実のところはサーファーに人気のクルマだそうです。もちろん今回製作した、軍の払い下げ中古車といったものではなく、現在のJeepラングラーが多いようです。走破性が高く海岸などの砂地でもスムーズな走行が可能で、穴場の海岸などにクルマでそのまま乗り入れるというサーファーにとっても便利だし、サーフボードや荷物がたくさん積めるというクルマということでサーファーには人気が高いそうです。

今回の製作にあたり調べてみたら、2015年以降、Jeepはサーフィン業界と深い繋がりを持っているのだそうです(知らんかった…)。サーフィンの世界大会ツアーであるWSLとのパートナーシップを結んで、ツアー中トップの成績のサーファー1名にはJeep公認のゼッケンジャージが与えられ、また年間のチャンピオンにはJeepからクルマも贈られるとのこと。

さて、ミリタリービークルの味を残しつつ、サーファー御用達のクルマの原点、という設定で製作した1/24ウィリスMBサーファー仕様。完成品となる今回はロングボードを乗せて、60sテイスト溢れるビネットに仕上げてみました。(全4回の最終回/1回目2回目3回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
でもレビューを配信中。

 

■ロングボードの製作と塗装

さてサーフボードの製作をおこないます。とは言ってもパーツはふたつ(ボード本体とフィンのみ)。なので塗装にこだわってみました。

サーフィンのことはズブの素人、マリンスポーツとは縁のない人生を過ごしてきたので、ロングボードと言われても「長いサーフボードなんですよねぇ…」程度のことしか言えません。

え~とですね、調べましたところ、ロングボードとは一般的には9フィート(約275cm)以上のサーフボードを指すそうでして。 ノーズと呼ばれるボードの先端は丸いものが多く、全体的に厚みと幅があるボードだそうです。

ボードの塗装は、当時の写真などを参考に、ジープとのバランスを考えてシンプルなデザインとしました。

まずグレーフェイサーで下地を整え、ボード全体は白をベースに僅かにイエローを加えて調色したアイボリーに。両サイドとフィンは、赤と茶色を1対1で調色し、明度を抑えた赤で塗装。センターラインにはフィニッシュシートの黒を細くカットして貼っています。

全体をセミグロスクリアーでオーバーコート塗装したあと、スミ入れ塗料のブラウンでウォッシング、使い込んだ感じを出しています。

ボードは当初、映画『地獄の黙示録』に登場するキルゴア中佐(ロバート・デュバル)風に第1騎兵師団のマークを描くつもりでしたが、ミリタリー色が強くなりすぎるので、ベーシックなデザインに変更しました。

▲第1騎兵師団のマーク。ベトナム戦争ではヘリによる空中機動師団として派遣されている

▲キットに付属しているロングボード。長さは約12センチ。付属のキャリは使用しない

▲グレーサフで下地を整えたあと、調色したアイボリー色をエアブラシで塗装

▲続いてボードをマスキングして両サイドを調色したやや暗い赤で塗装

▲中央部分はアイボリー色に

▲黒のピンストライプはフィニッシュシートを0.5ミリ幅にカットして貼って再現。最後にセミグロスクリアーオーバーコートしてツヤを整えている

▲ジープにサーフボードを積んだアメリカのティントイ(ブリキのミニカー 画像上)とミニカー(画像下)。イメージはアメリカ西海岸

▲塗装を乾燥させたのち、スミ入れ塗料のブラウンでボードをウォッシングして拭き取り。使い込んだ感じを再現

▲ジープにボードを載せてみる

▲いろいろ配置を試したが、助手席に乗せるのが自然な感じだ

 

■ビネットベースを製作

ジープとサーフボードが無事完成。このままでも雰囲気はアリなのだが、ちょっと物足りない。やはりベースが欲しくなりますよね。模型店でも展示用の木製ベースは販売していますが、種類が限られているのと、価格もそれなりに高価だったりします。

今回使用したオーバル型の展示ベースは、実は100円ショップ(ダイソー)で販売している木製トレーを裏返して使用したものです。100円ショップには木製のまな板やお盆(パイン材が多い)など、ちょっと手を加えるだけで模型の展示ベースに使えるものが揃っていて、コスパが良い。使わない手はありません。

表面は鉄道模型のジオラマで使われるカラーのグリーンとブラウンのパウダーを木工用ボンドで定着させただけ。ベースの縁部分は木工で使われている水性ステイン(着色剤)のウォルナット色を塗って磨いて仕上げています。

これに完成したジープウィリスMBサーファー仕様を載せれば、立派なビネットになります。欲を言えばフィギュアが欲しいですけどね。

▲100円ショップで販売している木製のトレーを裏返して使用。展示台となる部分には鉄道模型用パウダーを使用した

▲裏側を見れば、パイン材を使った木製トレーだとひと目でわかる

▲フチの部分は木工用塗料の水性ステイン(ウォルナット)で木の質感を活かしてビネットベースとして仕上げている

▲水性ステイン塗料は塗って乾かしを繰り返して、乾燥後に柔らかい布で磨くことで色の深みが出てくる

▲使用したロックペイント製水性ステイン塗料。マホガニーやメープルなど色も揃っており木の塗装に最適。ホームセンター等で扱っている。価格540円(100ml)

 

▼作例ギャラリー

▲ディスプレイ台に乗せたことで、ぐっと見栄えがよくなったジープウィリスMB。サイズもバッチリだ

▲助手席に無造作に詰まれたロングボードがよく映える

▲これで辻堂あたりの海沿いを走ったら目立つこと間違いなし

▲ジープはフロントウインドが可倒式になっている。ウインドを倒すことで見た目のイメージが変わって面白い

▲以前軍用ブルドーザーのジオラマを製作した際に石こうで作ったコンクリート製クルマ止めをおいてみた。ビネットでもこういうアクセサリーが効いてくる。いい感じだ

 

■工夫とアイデアで魅せる模型

今回は軍用ソフトスキンの代表ともいえるジープウィリスMBの塗装を変えて、さらにサーフボードを積むことで、60年代サーファー御用達のクルマに。ミリタリーモデルでも型にはまらない見せ方があるという事を教えてくれました、そして工夫ひとつで木製のトレーがディスプレイベースになる。こうした自由な発想がプラモデルを何倍も楽しくしてくれるんですね。

実のところ今回アトリエで製作中に「こんなプラモデルがあるんですか?」と興味津々で声をかけてくるが多かった作品でした。と言うわけで1/24ジープウィリスMB・サーファー仕様の完成です! さて次回は何を作りましょうか?

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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