【新作完全ワイヤレス一気聴き】
音楽リスニングの定番アイテムである完全ワイヤレスイヤホン。アップル、ソニー、ボーズなど大手ブランドによる数万円クラスの完全ワイヤレスイヤホンに注目が集まりがちですが、2023年現在、より低価格な製品、さらなる高音質を目指したモデルなど、さまざまなブランドからも特色のあるモデルが多数発売されています。
そんな大激戦となっている完全ワイヤレスイヤホンから、直近数ヶ月に発売された新作モデルを、オーディオ・ビジュアルライターの折原一也氏がまとめて実機テスト。
今回はオーディオテクニカ「ATH-TWX7」、Devialet「Gemini II」、Edifier「NeoBuds Pro 2」、HUAWEI「FreeBuds SE 2」の4モデルをテストしていきます。
■オーディオテクニカ「ATH-TWX7」
日本の老舗イヤホン・ヘッドホンブランド、オーディオテクニカから登場した「ATH-TWX7」。国内メーカーらしく、製品の信頼性と毎日を豊かにする機能性を打ち出したライフスタイル指向のモデル。ノイズキャンセル対応、そしてハイレゾワイヤレスのLDACコーデック搭載、またヒアスルーやトークスルーといった日常使いの便利をテーマにしています。
手にしてみると、単に小型というだけでなく、耳にピッタリと収まる筐体デザインによる装着感の良さを実感。ノイズキャンセルはすべての帯域をバランス良く聴かせるし、ヒアスルー機能による周囲の音の取り込みも自然。なお、専用アプリ「Connect」からは、周囲の音の取り込み度合いの調整も可能です。
音質はというと、ボリューミーな重低音と、弾けるようなリズムの刻みが飛び込んできます。歌声もやや鮮やで高域もがメリハリ重視のサウンドと思いきや、アコギの音のニュアンス再現もしっかりとカバー。臨場感とパワフルな低音の若干派手な味付けではありますが、同時に音源のすべての音を余すことなく表現するリッチ指向なサウンドも目指してあるようです。
▼ここが○
・耳にしっかりフィットする装着感が優秀
・2万円台の価格でトレンドの機能をカバー
・バランス良く整えたサウンド
▼ここが×
・ノイズキャンセルも音質もバランス型
・あと一歩、強烈な個性が欲しくなる
オーディオテクニカ「ATH-TWX7」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):7.5時間(NCオフ)
最大再生時間(ケース込み):24時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:-
低遅延モード:◯
防水:IPX4
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:2万2000円
■Devialet「Gemini II」
高級オーディオからポータブルオーディオへと参入し、瞬く間に高音質ファンからの支持を獲得した仏Devialet(デビアレ)の第2世代モデル「Gemini II」。6万4800円という完全ワイヤレスイヤホン屈指の高級機となり、一部採用技術を変更した上で、新たに最大40dBのノイズを低減する「Devialet Adaptive Noise Cancellation」を搭載しています。
デザインはラグジュアリー指向。イヤホン本体は耳にはすっぽり収まるエルゴミクス形状で、装着感は軽やか。しかし、この形でひとりひとりの耳の形状に動的に適応する技術が働いていて、「Devialet Adaptive Noise Cancellation」によるノイズキャンセルは強力。特に電車の騒音のような重低音の騒音を大幅に低減してくれました。
音質の良さも特筆モノ。高解像なサウンドで、特にボーカルは淀みなくとてもクリア。音源に入っている音の一つひとつを鮮明に描き分けるような音分離が強烈です。低音は量感こそ強くないものの、バスドラムの音が空間に拡散するサマまで克明に見通せるような情報量指向。6万4800円というワイヤレスイヤホン屈指の高価格も納得の超高音質モデルです。
▼ここが○
・完全ワイヤレスイヤホンとして最上級の高音質
・軽やかな装着感が快適
・ノイズキャンセル性能も優秀
▼ここが×
・ワイヤレスイヤホンに6万4800円も出せるかどうか…
・ラグジュアリーなデザインのケースは指紋が付きがち
・ワイヤレス接続途切れがやや気になる
Devialet「Gemini II」
対応コーデック:SBC、AAC、aptX
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):5時間
最大再生時間(ケース込み):22.5時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:-
低遅延モード:-
防水:IPX4
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:6万4800円
■Edifier「NeoBuds Pro 2」
日本でも知名度拡大中の中国のオーディオブランド、Edifier(エディファイア)が発売する完全ワイヤレスイヤホンの次世代モデル「NeoBuds Pro 2」。最大の特徴は最大50dB低減するという「ワイドバンドマルチチャネルANC」。さらに装着するだけで音質を最適化するマルチモード自己適応システムや、ハイレゾワイヤレスのLDAC、LDHC方式や、ヘッドトラッキング搭載の空間オーディオ対応。とトレンド機能全部入りです。
丸みを帯びたボディが耳に収まるような形状で、僕は上手くフィットしました。ノイズキャンセルは高/中/低と切り替えられますが、単純な強弱よりも騒音の種類によって効き方が変わる面白い挙動。これらカスタマイズも含めて「Edifier」アプリの導入は必須でしょう。
音質は、BA+ダイナミックドライバーでハイエンド。LDACコーデックで、ハキハキと主張する高域と、厚みある中低域による臨場感指向。歌声もクリアですが、ややデジタルな加工感があるかもしれません。一方、標準コーデックのみで使える「空間オーディオ」が面白く、空間上に音の出所が浮かび、頭を上下左右に動かすとトラッキング。他社ハイエンドの手掛ける新たな音楽リスニングをいち早く取り入れています。
▼ここが○
・LDACコーデックでの音質が◯
・強度調整でき強力なノイズキャンセル
・1万円台でも空間オーディオで遊べる
▼ここが×
・デジタル加工を感じるサウンド
・空間オーディオはLDACコーデックと排他利用
・マルチポイント接続には非対応
Edifier「NeoBuds Pro 2」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC、LHDC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):5.5時間(NCオフ)
最大再生時間(ケース込み):22時間
マルチポイント接続:-
3Dオーディオ:◯
低遅延モード:-
防水:IP54
ワイヤレス充電:-
実勢価格:1万8830円
■HUAWEI「FreeBuds SE 2」
2023年は、5000円以下の超低価格完全ワイヤレスイヤホンも市場を賑わしてくれました。HUAWEI(ファーウェイ)が手掛ける「FreeBuds SE 2」は、公式サイトで4980円という激安プライスのモデル。小型フォルムと充電ケースと合わせて合計40時間再生のバッテリー性能を備えています。
構造はイヤーピースのないオープン型で、耳の下にアンテナが伸びるスマホ系メーカーとしては定番デザイン。イヤホン本体が約3.8gと軽いことも特徴で、耳に乗せるように装着できます。なお、IP54の防塵防水にも対応しています。
音質は、耳を塞がない割には低音側のパワーがしっかりと出ています。歌声もある程度シャープに聞こえていますが、音のレンジが狭いのか楽器の音などの表現力に物足りなさを感じてしまうのは許容すべきところか。音質重視の音楽リスニングではなく、あくまで手軽に使えるワイヤレスイヤホンといったところでしょうか。
▼ここが○
・充電ケース含めて小型軽量が優秀
・軽やかな装着感はとても快適
▼ここが×
・付加価値ほとんどなしは残念
・サウンドは価格に対して十分程度
HUAWEI「FreeBuds SE 2」
対応コーデック:SBC、AAC
アクティブノイズキャンセル:-
外音取り込み:オープン型
最大再生時間(イヤホン単体):9時間
最大再生時間(ケース込み):40時間
マルチポイント接続:-
3Dオーディオ:-
低遅延モード:◯
防水:IP54
ワイヤレス充電:-
実勢価格:4980円
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/570810/
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- Author:&GP
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