謎多きブランドが手掛ける高性能LEDランタンの先駆者「ルーメナー2」誕生秘話

【The ORIGIN of the CAMP GEAR】

スタイリッシュなデザインに加えて、高輝度・大容量・軽量コンパクト・耐候性と機能面においても評価されるLEDランタン「ルーメナー2」(1万6280円)。2018年に発売されて以来、高性能LEDランタンとして人気を博しています。

2019年にはその機能面を追求した仕上がりが評価され、グッドデザイン賞を受賞。警察や科捜研で使用する機材に選ばれたことも。

日本での輸入販売元である株式会社KMコーポレーション(埼玉県)の宋さんは「日本のアウトドアユーザーの声で生まれたのが『ルーメナー2』なんです」と話します。

ルーメナーの最初のプロダクトは「ルーメナー7」(1万2100円)になります。日本では2017年にクラウドファンディングを通して販売開始されたLEDランタンで、元々は防災グッズとして企画された商品でした。

コンパクトで軽量ながらも、リチャージ可能かつ大容量。普段はモバイルバッテリー、有事の際は明かりとして使用可能なLEDランタンとして、クラウドファンディングで一躍注目の的に。

▲ソロキャンプではメインランタン+モバイルバッテリーとしてフル活用

しかしこの時点では、キャンプギアというよりも、あくまで防災グッズとしての注目度が高かったといいます。それでもクラファンでの達成率は1594%と驚異的な数字ではありますが。

そんな中、「ルーメナー7」を購入した一部のアウトドアユーザーから「落下させてしまってハンドルが壊れてしまった」「屋外でも気にせず使えるように防水や衝撃に強い仕様にしてほしい」などの声が寄せられるように。

「そういった日本のアウトドア愛好家たちの声をもとに、新規に設計・開発をしたのが『ルーメナー2』なんです」と宋さんは言います。

「ルーメナー2」は、「ルーメナー7」とは異なり災害対策だけでなくアウトドアシーンでの使用を想定したモデルで、耐候性や耐衝撃性能に加え、容量も強化。加えて、デザインやハンドル部などディテールにもアップデートが施されました。その結果、デザイン性の高さもあり、クラウドファンディングに出るやいなや達成率7000%超の爆発的ヒット。

▲ハンドル内側には凹凸があり、カラビナやフックにかける際にズレにくい仕様

「『ルーメナー7』への日本のキャンパーの声があったからこそ『ルーメナー2』が生まれました。元より想定していた防災グッズとしても合理的な仕様へブラッシュアップできましたので、日本のキャンパーさんには頭が上がりません」と宋さんは話します。

 

■謎に包まれたブランド「ルーメナー」の正体とは?

そんな「ルーメナー2」ですが、巷では『韓国のブランド「NNINE」「N9」の商品』だったり、『韓国のルーメナー社の商品が輸入されて日本で販売されている』だったりと、その正体についてはさまざまな情報が飛び交っており、正直「良い製品なんだけど、どこのどんな商品なの?」と若干の怪しさを感じずにはいられません。

▲側面にはPSEなどの安全規格や輸入販売元といった記載が。製造年月までしっかりと明記されている

韓国発のブランドだと思われがちですが、「ルーメナーは単なる韓国ブランドの輸入商品ではなく、日本で企画・立案された商品なんです」と宋さんは教えてくれました。

ルーメナーシリーズ、実は日本の企業であるKMコーポーレーションの宋さんが企画立案したものなんです。それを協力会社であるルーメナー社(旧オナンコリア社)が設計、開発を行い、協力工場にて生産をしています。

その経緯もあり、韓国を中心にアジア各国やオーストラリア、アメリカではルーメナー社が販売し、日本ではKMコーポレーションが輸入代理店としてルーメナーシリーズの販売を行っているというわけです。

▲専用ケースには付属品を収納できる十分なスペースも

つまり、「ルーメナー2」は一介の『韓国ブランド』ではなく、『日本企画のキャンプギア』でもあるんです。

ちなみに、ルーメナーについて調べているとたまに見かける「NNINE」あるいは「N9」とは、韓国国内での販売ブランド名。日本で販売されている「ルーメナー7」は、韓国では「オナンコリア社」の「NEW-N9」として販売されていました。

しかし、オナンコリア社は日本でのルーメナー人気を受けて、2020年に社名を「ルーメナー」に変更。それに併せて、商品名も日本と同じ「ルーメナー」に統一したという経緯があるそうです。

▲LEDランタン特有の強い明かりが苦手な方には光を拡散し和らげてくれる専用シェードも(別売:1980円)

少々ややこしいですが、2023年現在では、日本国内で販売されているルーメナーは「韓国ルーメナー社」の「ルーメナー」であり、それを企画し、さらに日本国内で輸入・販売しているのがKMコーポレーションということになります。また、日本国内におけるLUMENAの商標はKMコーポレーションが管理しています。

 

■LEDランタンの常識を変えるほどの当時最強のスペック

「ルーメナー2」最大の特徴は、携帯性能の高さに加えて、高輝度かつ大容量というスペックの高さになります。

最大光量1500lmかつ調光・調色機能付き。電池式ではなく充電式で、最長約100時間点灯可能な大容量10,000mAhバッテリーなど、当時のLEDランタン市場にはなかった高い機能性を誇ります。にも関わらず280gと軽量で、サイズも幅12.9mm×奥行き7.5cm×高さ2.27cmとコンパクト。

▲本体下部には雲台に取り付けられるジョイントも。カメラに取り付けて撮影時のライティングにも使用可能だ

私も初めて見たときは、それまでのLEDランタンへのイメージを一新するほどの衝撃を受けた覚えがあります。キャンパー特有の「人気が出たものはなんとなく買いにくい」という謎現象から、発売当時、手を出せませんでしたが…。

最大光量で使用した場合でも8時間は使えるので、ソロデュオキャンプのメインランタンとしては十分。少し光量を落とせばランタンとして使用した後にスマホの充電も可能です。グループではサブランタンとしても使えます。

さらに耐衝撃性能を強化し、屋外での不意の落下にも耐えられるようにアップデート。雨天時や水たまりへの落下に備えて、IP65規格の防水・防塵機能も追加されました。

▲背面に取り付けられたハンドル。しっかりとした角度調節が可能

また、「ルーメナー7」では本体外側に配置されていた大型ハンドルを、メタル素材に変更して本体背面に。落下時に破損がしにくい仕様です。

磁石フックを取り付けることで、テントやタープなどの布地に挟み込んで設置・使用することも可能になるなど、アウトドアシーンでの使い勝手はもちろん、有事の際に考えられるさまざまな事態にも対応できるようになっています。

▲付属の磁石フックを使用することで、ランタンスタンド無しで周囲を照らすことができる

このように圧倒的とも言える高いスペックを備える「ルーメナー2」ですが、一方で、発売当時から現在に至るまで「LEDランタンにしては価格が高すぎる」といった声も聞こえてきます。私もそう思っていました。

▲専用ケースとUSB-Cケーブル、磁石フックにカラビナと付属品も充実

今でこそ、高価で高機能なLEDランタンが当たり前になってきていますが、当時の市場を考えれば、確かにLEDランタンで1万円オーバーはなかなか手を出しにくいもの。
なぜこのような価格設定になったのか。

ここには、“なぜルーメナーを開発したのか”が深く関係しています。

 

■価格よりも安心かつ安全に使える機能性を追求

「ルーメナー2」の価格について、宋さんは「有事の際に必要なことは、価格よりも安心と安全、性能だからです」と言います。

「災害時に使用することを考えた時に、日頃から持ち歩いておく必要がありますが、そのためには安全な商品でなければいけません。モバイルバッテリーが爆発する事故が度々話題になりますが、そんな危険な製品では、安心して持ち歩くことはできません。また、使いたい時に容量が足りなくて使えない、LEDチップの不良で点灯できない、となったら本末転倒ですよね」

▲「緊急時に電池が手に入らなかったら意味がありません」

「安く作る方法はいくらでもあります。ですが、私たちが求めるのは、どんな環境下でも安心してしっかり機能するアイテム。そのためには、世界的にも先進的で、高品質なパーツを用いて構成する必要があったんです」

「ルーメナー2」には、バッテリー・LEDチップともに、国際的にも評価されているLG社のハイクラスかつ、中でも最も高品質なものだけが採用されています。

▲「発売当時の最高スペックのパーツで構成しました」

その結果、一般的なLEDランタンに比べて高価な商品になったわけです。

「ただ、先程も話したとおり、災害時にしっかりと機能を発揮できないといけませんし、安全に持ち運べなければいけません。ですから、市場から大きく外れた価格設定になったとしても、この機能性の高さだけは絶対に譲れませんでした」

▲付属のカラビナを使用すれば、テント内のフックにも吊り下げられる

価格よりも“安全で、いま不安を感じている誰かを助けられる性能”を目指したからこその価格設定だったんです。

*  *  *

現在では「ルーメナー2」のように、高価格で高機能なLEDランタンが当たり前のように販売されるようになりました。

ですが、「ルーメナー2」発売以前のLEDランタンといえば、燃料系ランタンには到底およばない光量、電池式で重量もサイズも手軽さとはほど遠い。あくまでサブランタンとしてのイメージが強く、低価格なアイテムという印象がありました。

▲「ルーメナー2」以外にも、簡易ランタンにもなるヘッドライトなどもラインナップ。使い勝手もいい

そのため、高価格なLEDランタンは理解されにくく、ユーザーの反応も未知数。取り扱うアウトドアショップもなかったといいます。

しかし、クラウドファンディングで一躍注目を集め、その後も、性能の高さと使い勝手の良さが徐々に市場で評価されるようになり、今ではおしゃれで高性能なランタンとして定番ギアに数えられるようになりました。

高性能コンパクトLEDランタンの王道ギア「ルーメナー2」は新しい市場、価値観、アイテムカテゴリーを生み出したギアと言えるのではないでしょうか。

>> LUMENA

>> [連載]The ORIGIN of the CAMP GEAR

<取材・文/山口健壱

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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