円安不況時代の賢いスマホ購入 5つのポイント&注目ハイコスパスマホ5選

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製造コストの急騰や円安の影響により、昨年来、スマホの端末価格が上昇しています。売れ筋のミッドレンジは、かつては3〜5万円台が主流でしたが、いまや5万円超が当たり前。最先端のスペックを備えたハイエンドモデルは軒並み10万円超で、20万円前後のモデルも珍しくなくなりました。今年は「買いたい機種があったけど見送った」という人が少なくないのでは? 1台のスマホを長く使いつづける傾向はさらに強まりそうです。

購入費をできるだけ抑えて、長く使い続けられる機種を選ぶにはどうすればいいのか? この時代ならではのスマホ選びの5つのポイントを紹介します。

 

Point 1:ハイエンドに近い性能を備えた「ミドルハイ」が狙い目

スマホの性能は、大きく「ハイエンド」「ミドルクラス(ミッドレンジ)」「エントリー」に分けられます。スマホが広く普及した現在、エントリーは少数派で、ミドルクラスが増えています。中にはハイエンドに近い性能を持つ機種もあり、「ミドルハイ(ミッドハイ)」と呼ばれたりしています。

iPhoneではiPhone 15 Proが「ハイエンド」で、iPhone 15は「ミドルハイ」と認識してもいいでしょう。iPhone 15 Proが15万9800円(128GB/アップルストア価格)〜なのに対して、iPhone 15は12万4800円(128GB/アップルストア価格)〜と、3万5000円の差があります。しかし、iPhone 15も十分すぎるほど高性能で、多くの人は満足できること請け合い。

▲チタンフレームを採用し、軽量化を実現したiPhone 15 Proは15万9800円(128GB)〜23万4800円(1TB)と高額

Androidでは、各社のフラッグシップではなく、ひとつ下のモデルに値頃感があります。例えば、12月に発売されたXiaomi 13T Proは10万9800円(シャオミ公式オンラインストア価格)で、ハイエンドとしては安いですが、CPUやメモリのスペックを少し下げたミドルハイのXiaomi 13Tなら7万4800円(auオンラインショップ価格)で買えます。

▲ハイエンドもXiaomi 13T ProとミドルハイのXiaomi 13Tは同じ外観で、同じスペックを3眼カメラを搭載している

ミドルハイのスマホは、ディスプレイやカメラの性能はハイエンドと比べて遜色がないか、あってもわずか。大きさな差分はプロセッサーにありますが、ミドルハイでも基本アプリの操作には全く支障はなく、ゲームも快適にプレイできます。

 

Point 2:1〜2世代前のモデルやメーカー整備品、中古品にも注目!

すでに数年前からスマホの進化は小幅になっています。なので、今年発売された機種と昨年発売された機種では性能にほとんど差がないこともあります。例えば、2022年6月に発売されたOPPO Reno7 Aと2023年6月に発売されたOPPO Reno9 Aはプロセッサーもカメラも同じで、最大の違いが背面パネルの素材だったりしました。4〜5年使ってから機種変更する場合は、まだ売っていれば1〜2年前に発売された機種も選択肢に加えるのが賢明です。

2023年9月に発売された最新のiPhone 15は12万4800円〜(アップルストア価格)ですが、販売が継続されている2世代前のiPhone 13なら9万5800円〜(アップルストア価格)と、2万9000円も安く買えます。サムスン製の折りたたみモデル、Galaxy Z Fold/Z Flipシリーズも、新機種が発売されると、旧機種の価格が見直され、大幅な割引キャンペーンが実施されることも。

▲左が2023年9月に発売されたGalaxy Z Flip 5(ドコモオンラインショップ価格:16万820円)、右が2022年9月に発売されたGalaxy Z Flip 4(ドコモオンラインショップ価格:15万9500円)。本来の価格に大差はないが、最新のZ Flip 5が1万5400円の割引が適用されるの対して、旧モデルのZ Flip 4は5万1700円割引されて、10万7800円で購入できる

価格を最重視するなら、メーカー認定の整備が行われたリファービッシュ品や中古品の価格も要チェック。ただし、新品のようには長く使えず、バッテリー交換などの必要が生じる可能性があることは承知しておきましょう。

▲アップルは2023年12月現在、iPhone 12 Proの整備済製品を販売。1年間の保証も付いている。大手キャリアもそれぞれ認定中古品を取り扱っている

 

Point 3:キャリアの端末購入プログラムを利用する

通信事業者各社は、端末購入の実質負担金を軽減する施策を導入しています。ドコモは「いつでもカエドキプログラム」、auは「スマホトクするプログラム」、ソフトバンクは「新トクするサポート」という名称。それぞれ内容は微妙に異なりますが、端末を分割払いで購入し、一定期間使ってから返却すると、残債が免除される仕組みは同じです。

スマホの端末価格の割引には法的な規制があります。キャリアが販売する端末は、これまでは回線契約を伴う場合の割引は2万円が上限でした。なお、2023年12月27日以降、法改正によって、割引上限額は4万円に引き上げられます。と聞くと、割引が緩和されるように思いがちですが、これからは回線契約を伴わない場合も割引の対象となるので、いわゆる「1円スマホ」のような投げ売りはできなくなります。

そこでキャリアは、割引の代わりに端末購入プログラムを強化すると予測されます。例えば、ソフトバンクは2023年12月に発売したmotorola razr 40s(12万1680円)が「新トクするサポート」適用で実質3万1824円に、同じく12月に発売したXiaomi 13T Pro(11万4480円)が実質2万2008円になるという大胆な価格設定を行っています。

▲ソフトバンクショップでXiaomi 13T Proを購入する場合の価格

ただし、各社の端末購入プログラムは約2年使う場合に最大限に得する仕組みで、それ以上使うとお得感が薄まり、4年使うと負担額は本来の端末価格となるので注意が必要です。

 

Point 4:アップデート保証期間にも注目!

1台のスマホを長く使う傾向があるので、OSやセキュリティのアップデート期間も要チェックです。2023年10月に発売されたGoogle Pixel 8/8 Proは、発売後7年間のアップデート保証を打ち出し、業界に衝撃を与えました。

▲左がGoogle Pixel 8、右がGoogle Pixel 8 Pro。Pixelは2023年、日本でのシェアを大きく伸ばした

アップルはアップデート期間を明言していません。しかし、2023年9月から提供されたiOS 17は、2017年9月発売のiPhone 8と2017年11月発売のiPhone Xがアップデート対象外となりました。よって、アップデートの対象となるのは約5年とみていいでしょう。それでもスマホ全体では長いほうです。

ほかに、サムソンは2023年4月発売のGalaxy S23シリーズが4世代のアップデート保証を謳っています。シャープは2023年11月に発売したAQUOS sense8について3回のOSアップデートと5年のセキュリティアップデートを保証しています。

▲シャープは最大3回のOSアップデートを保証。メディア向けの説明会でもアピールされた

 

Point 5:次の機種変更時の下取り額も考慮に入れよう

機種変更の際に、それまで使っていた端末を下取りに出すことも一般化してきました。新しい機種を購入する際に、その機種を何年使って、いくらくらいで下取りしてもらえるかを考慮して、予算を決めてもいいでしょう。

とくにiPhoneはアップルでの下取り価格が高く、例えば、2021年9月に発売されたiPhone 13 Pro(128GB:12万2800円)の2023年12月現在の下取り価格は最大9万0000円。それを最新機種の購入に当てることができます。

▲アップルの下取りサービス「Apple Trade In」の下取り価格の例

グーグルも下取りを強化しているようで、2021年10月に発売されたGoogle Pixel 6(128GB:8万5680円)の現在の下取り額は最大3万円となっています。

下取りされたスマホは、再利用またはリサイクルされるので、エコロジーにも貢献できます。下取りに出すことを想定して、端末になるべく傷を付けないように使うことも大切です。

 

■筆者が独断で選ぶ、2023年ハイコスパスマホ5選

これから4年間使う前提で、コストパフォーマンスファ高いと思われる5機種を選んでみた。価格が安いものから紹介します。

 

▼AQUOS sense8(シャープ公式オンラインストア価格:5万6980円)

▲ボディはアルミ製で軽いことが特徴。カラバリは3色から選べる

Snapdragon 6 Gen 1を搭載するミッドレンジモデル。約6.1インチのディスプレイを搭載しつつ、横幅が約71mmとスリムで片手での操作がしやすい。約159gという軽さも大きな魅力です。

シャープは上位モデルのAQUOS R8 pro/R8にライカ監修のカメラを搭載し、このsense8にはライカのロゴはありません。しかし、広角(約5030万画素)+超広角(約800万画素)のデュアルカメラの画質は良好。防水・防塵に加えて、耐衝撃性能もあり、安心して長く使えること請け合いです。

 

▼Google Pixel 7a(グーグルストア価格:5万9800円)

▲このモデルからドコモがPixelの取り扱いを再開し、大手3キャリアが取り扱うようになた。キャリアでは端末購入プログラムを利用して、実質負担金を抑えることができる

2023年10月に発売された最新のGoogle Pixel 8は11万2900円ですが、5月に発売されたPixel 7aは前世代の廉価版とあり、半額程度で購入できます。されど普段使いには十分なミドルハイ仕様で、約6.1インチのディスプレイ、広角(64メガピクセル)+超広角(13メガピクセル)のデュアルカメラを搭載。多彩なAI機能も楽しめます。

Pixel 8のアップデート保証が7年であるのに対して、Pixel 7aは5年ですが、これから4年間使うのであえば、それで十分ですよね。

 

▼Xiaomi 13T(auオンラインショップ価格:7万4800円)

▲Xiaomi 13Tと上位モデルのXiaomi 13T Proはデザインが共通。グローバル版はライカのブランドを冠しているが、日本版にはライカブランドはない。しかし、ハードウェアのスペックは共通で、高いカメラ性能を期待できる

シャオミはXiaomi 13Tシリーズとして、ベーシックモデルのXiaomi 13Tをau、UQ mobileから、上位モデルのXiaomi 13T Proをソフトバンクおよび直販にて販売しています。どちらもコスパは高いのですが、できるだけ購入費を抑えたいなら、Xiaomi 13Tを選ぶのが得策。約6.7インチのディスプレイ、約5000万画素をメインとする3眼カメラなど仕様の多くは共通。デザインも同じです。

上位モデルのXiaomi 13T Proがハイエンド向けの「Dimensity 9200+」というプロセッサーを搭載しているの対して、Xiaomi 13Tはミドルハイ向けの「Dimensity 8200-Ultra」を採用しています。そこが最大の差分ですが、ヘビーユーザーを除けば、体感的な違いはほとんどないはずです。

 

▼motorola razr 40s(ソフトバンクオンラインショップ価格:12万1680円)

▲8月に発売されたmotorola razr 40 ultraは閉じた状態でも大画面を利用できるが、12月に発売されたrazr 40/40sは外側に小さいディスプレイを搭載。ガラケーのような感覚で使えるので、こちらを好む人も少なくなさそうだ。このサマーライラックはソフトバンク版の40sのみの色

2023年に日本市場向けに積極的に新製品をリリースしたモトローラ。8月にmotorola razr 40 ultraというハイエンドの折りたたみモデルをリリースしましたが、12月に発売したミドルハイのmotorola razr 40のほうが安くて、おサイフケータイにも対応しています。

motorola razr 40は直販モデルが12万5800円で、ソフトバンク版のmotorola razr 40sは12万1680円。ハードウェアは共通で、ソフトバンク版はカラバリが1色多く、サマーライラックという色を選べることも魅力。さらに、「新トクするサポート」を利用することで実質負担額を3万1824円まで抑えられます。「折りたたみスマホに興味があって、試してみたい」という人には格好のモデルとしておすすめします。

 

▼iPhone 15(アップルストア価格:12万4800円〜)

▲左が6.7インチ画面のiPhone 15 Plus(13万9800円〜)、右がiPhone 15。チップ、カメラ、オーディオ性能など、基本的な仕様は共通している

アップルでは2021年9月に発売されたiPhone 13(9万5800円〜)や、2022年3月に発売されたiPhone SE(第3世代)(6万2800円〜)も購入できますが、どちらも、これから4年使い続けると、「古いiPhone」という印象が濃くなってきそうです。

iPhone 15は、上位モデルのiPhone 15 Proと同じDynamic Islandを搭載する新しいデザインになり、接続端子もLightningからUSB-Cに変更されました。長く使う上でも安心です。4年後に3万5000円で下取りしてもらえたとしたら、実質的には約9万円と捉えることもできます。

SoCは上位モデルがA17 Proチップで、iPhone 15がA16 Bionicチップという差分がありますが、ハイエンドと呼べる性能を備えています。もうひとつ大きな差分としてカメラが挙げられます。iPhone 15には望遠カメラが搭載されていません。しかし、使用する画素の切り替えで、光学2倍ズーム相当で撮影することができます。普段使いで不便を感じることはないでしょう。

機種選びの参考にしていただけると幸いです。

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<文/村元正剛(ゴーズ)

村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。

 

 

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