<不自由を自由にする野営スタイル>
こんにちは、「不自由は自由だ!」をモットーに、不便がいっぱいな自然の中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしているRYUです。
私はキャンプ歴15年以上、野営歴は10年以上になりますが、これまでほとんどのキャンプで焚き火をする際には天然素材のものを着火剤として使っています。
理由としては、キャンプを始めた理由が自分のサバイバルスキルの向上であったため、いつでもどこでも火起こしができるように日々キャンプスキルを磨いているというところにあります。天然素材で良い着火材になるものを知っていれば、登山で遭難してしまって止むを得ずビバークする際や、災害時に焚き火で暖や調理をする際に役に立つかもしれません。
今回は天然の着火剤にはどのようなものがあるのか、その素材ごとの特徴と、それぞれどのように着火したらいいかをまとめていきます。
紹介するのは樹皮、葉、松ぼっくり、きのこの4つの素材です。皆さんの万が一の時の備えに役立つことができれば幸いです。
初めに注意点をお伝えしますが、天然の着火剤は自然に生えているものですので、生きている状態のものは採取しないようにしましょう。
■樹皮
▲左から、白樺、杉、松の樹皮
樹皮では白樺、杉、松、桜の樹皮が優れた着火剤になります。
白樺の樹皮は特に優れた着火材で私が最もお気に入りの天然着火剤です。基本的には寒い地域に生息し、私が知る限りでは最も着火しやすく強い火力をある程度の時間維持することが可能なので、マッチやライター着火はもちろんのこと、ファイヤースチールや火打ち石からの着火も可能です。
他の樹皮と比較すると、ナイフなどで表面を擦ると細かく毛羽立ち着火を容易にしてくれる点が簡単な着火の要因だと思います。
次に、杉樹皮ですが、この樹皮は薄くて乾燥しているため、着火しやすいです。特に枯れた枝や幹から剥がれた樹皮が効果的です。ただし、しっかり乾燥していないと、ライターやマッチからの着火は可能ですが、ファイヤースチールや、火打ち石からの着火は、私の経験からですと、少し難しいと感じています。完全に乾燥する前のものを糸状にちぎり、手で揉んでおくと、麻紐のようにふさふさになります。そこまで事前に準備しておけば、かなり心強い着火剤となります。
杉と並んで日本では沢山生えている松樹皮ですが、 松の樹皮は特に樹脂が豊富で、乾燥していれば良い着火材になります。樹脂の含有量が多いため、燃焼時には炎が大きくなりやすいのが特徴。ただし、松の樹皮は表面が固いため、表面をナイフで擦っても細かい粒子状のものにはなりますが、毛羽立ちがしにくいです。従って、私の経験ではファイヤースチールや、火打ち石からの直接着火は非常に難しく、上記の白樺や、杉で着火した後に松の樹皮を入れて、さらに火を大きくするような使い方がいいかと思います。
樹皮ではありませんが、松、特に赤松の幹というか、コブ状になっているところにできる樹脂の塊があります。通称ファットウッドと呼ばれ、これは本当に優秀な着火材です。ナイフの背中で削れば細かい木屑ができて、その木屑にはファイヤースターター、火打ち石からの直接着火も可能で、強い炎を白樺と同様の時間継続することが可能です。
最後に桜樹皮ですが、私はこの桜樹皮を使ったことは無いですが、調べた限りでは桜の樹皮も乾燥していると着火しやすくなるそうです。
■葉
▲松の葉(写真のものはまだ緑色をしています。この状態では着火しませんので、乾燥させてから使用してください)
キンポウゲ科の植物、 たとえば、アネモネやランタナのような乾燥した葉は、軽くて空気を多く含んでいるため、火が付きやすいです。とはいえ、葉っぱ全体にいえることですが、着火はしやすいものの燃焼が早いため、着火したらすぐにある程度炎を保てる燃料、例えば良く乾燥した小枝や、上記の樹皮などを投入し、火を維持することが必要です。
イネ科の草、乾燥したイネ科の草(例えば、ススキやカヤなど)は、細く乾燥しており、燃えやすいです。
ヨモギやタンポポのような雑草は、乾燥していると非常に燃えやすくなります。
松の葉は特に乾燥していると、火がつきやすいです。松葉は油分を含んでいるため、燃焼が促進されます。
杉の葉、杉の葉は私も非常に良く使う着火材です。杉の樹林は日本では最も多いといっても過言ではないので収集が非常にしやすいのが特徴で、ある程度量を集めればかなり優秀な着火剤となります。大量に投入しすぎると、大きな炎をあげますので、注意してください。
カモガヤやヒメカモガヤ、これらの草も乾燥すると、素早く燃え上がる傾向があります。
■松ぼっくり
▲乾燥した松ぼっくりは良い着火材です。特に松の樹脂が含まれている部分は燃えやすいです
松ぼっくりは着火剤として非常に有名ですよね。ファットウッドや白樺の樹皮と同様に火がついてから炎を維持する時間が長いので優秀な着火剤といえます。
ただし、かなり細かく砕かないと、ファイヤースチールや火打ち石での直接着火は困難なので、着火した後に火を安定させるために使うので良いと思います。
■きのこ
▲猿の腰掛け
あまり知られてないかもしれませんが、乾燥させたきのこは優秀な着火材となります。
特に上の写真の猿の腰掛け、つまり「アマダイコクモ」や「ツリガネニガウリ」といった種類のきのこは湿気をあまり吸収しないため、濡れた環境でも火をつけやすいという特徴があります。また、キノコが乾燥していると、内部に空気を多く含むため、火花を受けやすく、燃焼を助ける特性があります。
ファイヤースチールや火打ち石での着火をする際には、白樺やファットウッドほど着火しやすくはないため、着火の段階から使用するのであれば、一度炭化させておくのも良いと思います。
▲猿の腰掛けを炭化させた状態
上の写真のように一度炭化させて置いて、火を消し、冷ましてから湿気がつかないように保存しておけば火花でも簡単に着火させられます。
キノコを着火剤として使用する場合は、そのキノコが保護種でないこと、また環境に悪影響を及ぼさないことを確認することが重要です。
* * *
いかがでしたでしょうか? 皆さんの身近にある素材もたくさんあったのではないでしょうか?
自然の着火剤を知っておくと、万が一の際に着火剤がなくても調理や暖、そして灯りのための焚き火をおこすことが可能です。実際にキャンプに行った時に試してみて、使用感を肌で感じておくのがいいかもしれません。
>> 連載
(文・写真/RYU)
RYU/「不自由は自由だ!」をモットーに、年間数十泊の野営を行っている。 経験、スタイルを問わず、少しでも参考になる情報を発信して行きたいと思います。Instsgramアカウント:@ryu chikazawa、YouTubeアカウント:Ryu outdoor ch #不自由は自由だ #アウトドアをこじ開けよう「初代 @sotoshiru アンバサダー」「@tobuy_official インフルエンサー」
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/578405/
- Source:&GP
- Author:&GP
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