冬キャンプのメイン暖房に薪ストーブや灯油ストーブを使用されるキャンパーも多いのではないでしょうか。
ストーブ類の使用にあたり、何よりも注意したいのが一酸化炭素中毒です。何が怖いって、一酸化炭素は強い毒性を持つにも関わらず、無色無臭で自分で気づくことが難しいということ。一説によれば、空気中の濃度がたった1%上昇するだけで命の危険があるといいます。
そんな一酸化炭素中毒のリスクを回避するための必須アイテムが、一酸化炭素チェッカー。一酸化炭素の濃度が上昇すると警報を鳴らしてくれるアイテムで、キャンプブームの影響もあり、現在では数多くのチェッカーが流通しています。
ですが、価格に大きく開きがあったり、あまり馴染みのない分野だからかどれが信頼できる商品なのか、とにかくわかりにくい。買ったは良いけど「本当に計測できるのか?」と不安に思う方も少なくないはず。
そこで今回は、家庭用ガス警報器メーカー・新コスモス電機の新製品、アウトドア用一酸化炭素アラーム「COALAN」(1万1880円)を試してみることに。
■創業60年以上のガス警報器メーカー製
「COALAN」はアウトドアでの使用を想定して開発した一酸化炭素アラームで、一酸化炭素濃度とその継続時間によって、2段階の警報が設定されています。
「一酸化炭素濃度が25ppm以上100ppm未満を検知かつ検知時間が15分未満」の場合は、黄色LEDが点滅。
「25ppm以上100ppm未満を検知かつ検知時間が15分以上」か「100ppm以上」を検知した場合、赤色LEDが点灯、アラームとともに日本語音声による警報がなります。
▲「COALAN」本体にカラビナ、点検用のスポイトとパイプが付属
アウトドア用とあって、IP54相当の防塵防滴構造を備え、同社の衝撃・振動試験をクリアしたタフな仕様。電池式で単4形アルカリ乾電池2本で稼働します。
今回使ってみて、何よりも安心感を感じたのが、機器点検が可能ということ。機器点検用スポイトが付属しており、取扱説明書には点検方法が詳細に記載されています。
まず手持ちのガスコンロを点火し、付属のスポイトで一酸化炭素を採取。上手に採取するコツは、スポイトを指でつまんで圧縮した状態から、火の高さの真ん中に先端を持っていき、指を離すこと。
なお、火傷にはくれぐれもご注意を。
▲スポイトの先は金属製。採取後すぐに触ると火傷の危険があるので注意
採取したら、電源をいれた「COALAN」のセンサー部分に吹きかけるだけ。一酸化炭素が無色透明なので、採取の塩梅がなかなかつかみにくい。数値が上がるまで何度かトライしましょう。
▲数値は147ppmで、即座にアラームと警告音が。これは危ない!と誰もが分かる
正しく一酸化炭素が採取できていれば、画面上の0の数値が上昇し、100ppmを越えると、アラームと日本語音声での注意が流れます。
実際に音を聞くとかなりびっくり。ちゃんと警告してくれるのが分かるのは安心ですよね。
■一酸化炭素チェッカー、どこに置くのが正解?
さて、そんな一酸化炭素チェッカー。テントのどこに置くとより安心でしょうか。
結論からいえば、まず「座っている付近かつ、頭の高さ」にひとつはほしいところです。さらに、可能であれば「テントの天井付近」にもひとつ取り付けられると最善手。
▲自分たちが過ごす場所の、頭の高さに設置し、すぐに数値をチェックできるようしておく
一酸化炭素が滞留して一番困るのは、テント内で過ごしている場所ですから、前者の「座っている付近かつ、頭の高さ」については、おおよそ想像がつくかと思います。
このとき、チェッカーの数値を常にチェックできる位置に取り付けるのが望ましいですし、こまめにチェックしておきましょう。
次に「テントの天井付近」というのにも理由があります。
一酸化炭素は二酸化炭素のように空気より重い、あるいは軽いといったことはなく、空気と同じ重さ。なので、どこに溜まりやすいかは風の流れによって変わると考えられます。
テント内でストーブを焚いていると、ストーブの熱によって上昇気流が発生して、テントの天井に向かう気流が生まれます。そしてその気流によって、空気と一緒に一酸化炭素が天井に向かって流れていくと想定できます。
だから、テントの天井付近に一酸化炭素が集まる可能性があるわけです。つまり、自分たちの座っている位置は一酸化炭素が検知されなくても、テントの中には既に充満しつつある、ということも考えられます。
そこで、天井付近にももう一台設置しておくことでより安心、といったリクツです。
ちなみに「COALAN」製品ページでは、一酸化炭素がどのように滞留していくかの実験結果を、シーン別かつ時系列でわかるように公開されています。
非常に興味深いので、ぜひチェックを。こりゃ本気でやってるわ。
また、一酸化炭素チェッカーがあるとしても、油断してはならないのはテントの換気。
寒い寒い冬ですから、テントの入口出口にベンチレーション(換気口)など閉められるものはすべて閉めたい!という気持ちは分かります。
ですが、相手は見えない悪魔。換気だけが我々キャンパーにできうる対抗策ですから、基本的にはテント上部のベンチレーションは必ず開けておき、入り口も少し開けておきましょう。30分から1時間に1度は10分程度の換気を行うというのも必要。
▲ストーブをインストールするなら、テント選びも重要。ベンチレーションが多く取り付けられているものを選ぼう
せっかくの楽しいキャンプに水を差すのもなんですが、常に危険と隣り合わせにあるんだ、という意識が重要です。
* * *
私もこれまで格安ノーブランドのものを使っていましたが、一酸化炭素が検知されていないから反応がないのか、そもそも不具合で反応がないのかが不安でした。その点「COALAN」は検査ができる状態でのパッケージ。この点は非常に安心です。
命に関わる話なので、大事な時にしっかり作動してくれる、信頼のおけるチェッカーを使って安全に冬キャンプを楽しみたいものです。
<取材・文/山口健壱 写真/逢坂聡 取材協力/新コスモス電機>
山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/578699/
- Source:&GP
- Author:&GP
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