シンガポールのネオバンク「Aspire」、中小企業支援の旗手として東南アジア全域へ

シンガポールに本拠を置くフィンテック企業Aspireは、中小企業向けのオールインワン金融エコシステムを構築し、創業以来急成長を遂げている。支払いサービスから財務管理ソフトウェアに至るまで幅広いサービスを単一のプラットフォームで提供し、中小企業のビジネスを支えてきた。

Aspire公式サイトより引用

1年前となる2023年2月には、シリーズCラウンドにて1億ドルの資金を調達。この時のラウンドにはLightspeed、Sequoia Capital SEA、Paypal Ventures、LGT Capital Partnersなど、世界トップクラスの VCが名を連ねている。同年第二四半期には年間取引額が150億ドルに達し、収益性を実現。多くの企業が経済環境の変動に苦しむ中で顕著な成果を見せてきた。

社名のとおり使命遂行を“志し”、進化し続けるAspireの金融サービス

中小企業の支援を使命に掲げ、2018年にたった2人からスタートしたAspire。創業当時は中小企業向けの運転資金融資を目的としていたが、すぐにマルチプロダクト戦略を採用。そこから2年とかけずにインドネシア、タイ、ベトナムでも事業を展開するに至った。

2023年8月に、インドネシアにおける中小企業のデジタルプレゼンスを高めるためMeta、Bank Aladinと提携を発表した。Aspire公式サイトNewsroomより引用

創業者の1人はAndrea Baronchelli氏。東南アジア最大級のEコマースプラットフォーム「Lazada」の取締役副社長にして創業メンバーの1人だった。銀行での長い待ち時間、煩雑な書類作業、ばかにならない手数料など、中小企業の経営者たちが直面する現実的な問題があることを、Lazada時代に目の当たりにしたBaronchelli氏。中小企業のための新時代の銀行を構築したいと志す。
従来の銀行サービスとソフトウェアの融合を目指す同社は、「金融オペレーティングシステム」として顧客のあらゆる金融ニーズに応えるワンストップのプラットフォームを構築している。このシステムにより、企業用の銀行口座、カード、自動請求書処理などが統合され、財務管理が容易になる。

アジア太平洋地域への拡大とフィンテックの未来への展望

現在は5か国に450人以上の従業員を擁し、世界のフィンテックスタートアップのトップ100入りを果たした同社。2023年11月末にはシンガポールの都心部に新本社を開設し、2025年までに国内の従業員数を300人に倍増させる計画を明らかにした。

2023年11月に、シンガポール新本社開設を発表した。Aspire公式サイトNewsroomより引用

フィンテックR&Dとイノベーションの推進に注力し、シンガポールのフィンテックエコシステムの発展に貢献したいとしている。また、AIやサイバーセキュリティなどフィンテック業界の中核となる戦略的テクノロジーにも投資していく構えだ。

オールインワン財務プラットフォームとして、アクセスしやすい国際決済・経費・債権・債務管理のためのソリューションをアジア全域にまたがる1万5000以上のビジネスクライアントへ提供するAspire。シンガポール企業向けの会社設立サービス「Aspire Kickstart」も運営し、中小企業の資金調達と運営の効率化を実現している。

アジア太平洋地域が2030年までに世界最大のフィンテック市場になると予測されるなかで、他社との差別化を成功させて顕著な成長を続け、スタートアップや中小企業の成長を支援する同社は、日本のビジネス界にとっても注目すべき事例だろう。

引用元:Aspire
Aspire global site
Aspire YouTubeチャンネル

(文・Techable編集部)


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