Apple Watchの心臓モニタリング技術をめぐるAliveCorとの法廷闘争で、Appleが勝利を収めたことが明らかとなりました。AliveCorは、Appleが心拍数アルゴリズムに変更を加えたことで、サードパーティーのアクセスを制限しており、これは反競争的な動きだと主張していました。
しかし、米連邦地方裁判所の判事は、Appleは裁判でこの訴訟に向き合う必要はないと述べ、同社に全面的に有利な判決を下しています。AliveCorは、控訴する予定だということです。
■3行で分かる、この記事のポイント
1.Apple Watchのアルゴリズム変更におけるAliveCorとの法廷紛争でApple勝利。
2.Appleは、watchOS 5において新しいアルゴリズムを採用していた。
3.AliveCorは新しいアルゴリズムへの変更を反競争的な動きだと主張していた。
Appleが勝利を収める
Appleの広報担当者は、9to5Macへの声明の中で次のように述べています。
Appleでは、健康、ウェルネス、救命機能によってユーザーを支援する製品やサービスを生み出すため、チームは常に革新に取り組んでいます。AliveCorの訴訟は、消費者と開発者が信頼するApple Watchの重要な機能を向上させるAppleの能力に異議を唱えたものであり、本日の結果は、それが反競争的なものではないことを裏付けるものです。私たちは裁判所が本件を慎重に検討してくれたことに感謝するとともに、私たちが顧客のために進めているイノベーションを実利のない主張から守り続けます。
この訴訟は、watchOS 5における心拍数データを収集するアルゴリズムのアップグレードに関するもので、Appleは「Heart Rate Path Optimizerアルゴリズム(HRPO)」から、「Heart Rate Neural Networkアルゴリズム(HRNN)」にアップグレードしています。AliveCorは、これらの変更により自社のwatchOSアプリで利用できる不整脈を警告する「SmartRhythm」が機能しなくなったと主張し、Appleに開発者が利用できるオリジナルのアルゴリズム(HRPO)を残すよう求めていました。
これに対しAppleは、新しいアルゴリズム(HRNN)がより正確であるとし、この要求を拒否したために訴訟に発展しています。
ジェフリー・ホワイト連邦地裁判事は、今回の訴訟でAppleに有利な略式判決を下しました。判決の詳細は守秘義務のため非公開ですが、Appleによるとパブリックバージョンが数週間以内に入手可能になるということです。
機能改善のためのアルゴリズムは当然のことでは?
Appleが行ったアルゴリズムの変更はApple Watchの機能を改善するためのものであり、決して競合他社を排除するものではないことは素人が見ても明らかです。Apple Watchのような電子機器は常に進化し続けるものであり、その進化に応じて使用するアルゴリズムが変更される事は当然のことでしょう。
ちなみに、AliveCorのApple Watch用の「Kardia Band」は、米国食品医薬品局(FDA)に認可されています。Kardia Bandと組み合わせて使えるSmartRhythmという機能を用いることで、活動レベルに見合わない形で脈が正常値からはみ出した場合、アルゴリズムがユーザーに対して警告を表示することができるようになります。
今回の訴訟では、このアルゴリズムの変更が焦点となっていましたが、最終的にAppleの主張が認められることとなりました。
Masimoとの特許紛争ではApple Watch Series 9などが販売停止に
なお、Apple Watchの心電図(ECG)技術に関するAppleとAliveCorの特許訴訟については現在も続いています。
AliveCorの特許紛争では、Apple Watchの販売停止に至っていませんが、血中酸素飽和度測定センサー関連の多数の特許を有する医療機器メーカーMasimoとの特許紛争では、Appleは米国のオンラインストアにおいてApple Watch Series 9およびApple Watch Ultra 2の販売を停止しています。ちなみに、AliveCorはこの販売停止措置を賞賛していました。
その後、一時的に販売が復活するも、今年1月には米国では再度、販売停止となっています。この紛争を回避するためAppleは2024年1月18日より、米国において血中酸素ウェルネスを無効化したApple Watch Ultra 2とApple Watch Series 9を発売しています。
Photo:Apple
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- Original:https://iphone-mania.jp/news-574684/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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