Boseからオープン型ワイヤレスイヤホン「Ultra Open Earbuds」が登場!快適&音質も優秀でした

ワイヤレスイヤホンの最新トレンドである、耳を塞がず周囲の音が聞こえる=“ながら聞き”ができるオープン型ワイヤレスイヤホン。2月16日にはBose(ボーズ)からも新機種「Ultra Open Earbuds(ウルトラオープンイヤーバッズ)」が発表されました。3月5日より3万9600円で発売されます。

前回もオープン型ワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeClip」をレビューしたばかりですが、Bose「Ultra Open Earbuds」のコンセプトも似ていて、イヤーカフのように耳に装着して、耳を塞がずに周囲の音を聞けるタイプです。

Boseの得意とする小型で重低音のサウンドを再生する技術や音漏れ防止技術、音楽リスニング向けの“BOSE Immersive Audio”による空間オーディオなど機能性盛りだくさんの新製品をレビューしていきます。

 

■オープン型と空間オーディオの相性は最高

完全ワイヤレスイヤホン・トップブランドの一角であるBose。ノイズキャンセル技術で知られる同社ですが、新製品の「Ultra Open Earbuds」は耳を塞がず周囲の音が聞こえるワイヤレスイヤホン。これまでとは真逆のコンセプトでの登場です。

▲装着した状態。イヤーカフのように耳の外から中に引っ掛けるような形

オープンイヤー型のポイントは装着時の快適さ。装着スタイルはイヤーカフ型で耳を挟む形状となっていて、耳を塞ぐような密着感はありません。イヤーピースがなく、耳穴には軽く触れる程度で、カナル型(耳栓型)イヤホンが苦手という人でも、これなら着けられるのでは。

本体重量は片側約7g。耳に装着した際に重さがかかる位置が通常のイヤホンと異なり、装着感は若干くすぐったい程度なので、長時間装着していてもラクです。

イヤホンの耳の内側と外側を繋ぐフレックスバンドという部分は柔らかく、耳に軽く引っ掛けて固定する形。耳の凸凹にフィットするので、すぐに片手で装着もできるようになりました。ちなみに、IPX4の防滴性能も備えています。

▲フレックスバンドが柔らかく自然と耳に固定できる

BluetoothはSnapdragon Sound仕様で、高音質のaptX Adaptiveコーデックの48kHz/24bit接続に対応。イコライザー設定可能なアプリ対応で、オートボリュームも搭載します。バッテリーは通常時で7.5時間、BOSE Immersive Audio有効時で4.5時間の再生が可能です。

▲持ち歩きの際には充電ケースに収めるスタンダードな使用感

そしてこの「Ultra Open Earbuds」は、小型筐体ながら重低音再生が可能な設計。音の指向性を高めたスピーカーを採用し、同時に音漏れ防止のために再生音を打ち消す音を流す機構となっています。

▲音楽を流すスピーカー(左)と音漏れを打ち消すスピーカー(右)。これらが両側に付いている

周囲の音の聞こえ具合は、完全に耳が開いているのでもちろんしっかり聞こえます。音漏れも確認してみると、比較的静かな室内でも、屋外テストで音量を上げても通常のリスニングでは気にならない程度。

▲周囲の音が聞こえるので屋外でも安全。室内でもインターホンの音は家族に声をかけられた際にも反応できる

周囲に音漏れするか(周囲の人が、音漏れの音を聞こえるか)は環境の騒音とリスニング音量との兼ね合いにはなりますが、装着している本人が周囲の音を十分聞こえる音量にしておけば、音漏れも聞こえない程度に収まります。

気になる音質もチェックしてみました。

▲aptX Adaptive対応のAndroidスマホで音質チェック

YOASOBI『アイドル』を聴いてみると…耳がオープンなので開放的な音を想像していると、正反対なほど密度感あるサウンド。重低音志向で音の厚みがあるし、歌声や中高域の音にもさほど誇張感がなく予想外にナチュラル。音量を上げすぎなければ周囲の音も自然に聞こえながら、耳を密閉するようなサウンドを楽しめます。

さらに効果的なのが“BOSE Immersive Audio”。

▲“BOSE Immersive Audio”はアプリやイヤホン本体のボタンのモード切り替えから有効にできる

音楽のなかの歌声や楽器の音が聞こえる位置が遠くなり、頭の外の前方や、上方向の空間に歌声や楽器の音が浮かびます。まるで自分の周囲で音楽が流れるような感覚ですね。特に音の定位の正面が顔の向きに追従する“移動”にしておくと、屋外でも常に音楽が流れる不思議な体験ができます。

ただしこの「Ultra Open Earbuds」、周囲の音が聞こえるがゆえの欠点も。路上や電車内など周囲の騒音が大きくなると、音楽の低音が打ち消され聴こえにくくなります。それを補うための重低音サウンドではあるのですが、それでも物足りないほど。

そう考えるとやはり、屋外で高音質で音楽を聴くワイヤレスイヤホンには成り得ません。音質面で考えると、カナル型(耳栓型)で密閉したり、ノイズキャンセルで周囲の騒音を低減したりするのは、音質重視の観点で理にかなっていたというわけです。

通話マイク音質もテストしてみました。

▲ZOOMのビデオ会議で通話マイクの音質をテスト

「Ultra Open Earbuds」は左右に2つずつ、4つの通話マイクを搭載しています。ビデオ会議で使ってみたんですが…周囲の騒音があまりなくてもデジタル処理のような音質劣化が目立ち、通話マイクの高音質化が進む昨今の基準でいくと、高音質とは呼べません。実用には耐える音質ですが、特に通話マイク重視という人にはオススメできませんね。

*  *  *

耳を塞がない周囲の音が聞こえるイヤホンの新製品であるBose「Ultra Open Earbuds」。前回レビューしたオープン型ワイヤレスイヤホンの「HUAWEI FreeClip」と比較すると、サイズこそ大きめですが装着感は十分快適で、音質や“BOSE Immersive Audio”の音楽リスニングの体験ではリード。オープン型ワイヤレスイヤホンで3万9600円という価格に納得できれば、満足度の高い逸品ですね。

>> Bose

<取材・文/折原一也 撮影協力/Bose>

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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