開発者とテック企業をマッチングする「OfferZen」、400万ユーロの資金調達

2023年には世界的な資金不足の影響がアフリカ大陸にもおよび、アフリカのテックスタートアップへの投資額も約28%減少。しかし年が明けた2024年1月、南アフリカの求人プラットフォーム運営企業「OfferZen」がプレシリーズBで400万ユーロの資金を調達した。

出資元はベンチャーキャピタルのInvenfinとAI Capital。今回の資金調達を機に、マーケティング担当副社長のMatt Beck氏が共同設立者Philip Joubert氏の後任としてCEOに就任、AIを導入した新しいマッチングシステムが開発される予定だ。

Image Credits:OfferZen

OfferZen社は同名の求人プラットフォームによって、仕事を探すテック系開発者と開発者を求める企業とを結びつけるスタートアップ。設立者はPhilip氏とMalan氏のJoubert兄弟で、ともに自身が開発者である。2人はアフリカで大きな成功を遂げた仮想通貨Lunoのローンチや「Root」、「JourneyApps」、「SnapScan」などの事業立ち上げに携わった人物だ。

設立者はPhilip氏とMalan氏のJoubert兄弟。Image Credits:OfferZen

設立当初から「開発者コミュニティファースト」を柱に、技術交流会の支援や開発者向けのビルドデー運営によって開発者のコンテンツ制作を支援してきた2人(かつ、“超オタクっぽい”Tシャツのデザインにも注力してきたとか)。

開発者が企業に応募するのではなく、企業から開発者に声をかけるというコンセプトによって、従来の採用アプローチを覆した。リモートにも対応していることや、オファー保証・長期雇用を推奨している点も同社の強みだ。

Image Credits:OfferZen

海外進出・サブスク導入などの変化を厭わず挑む姿勢で成長

当初はケープタウンを中心にサービスを展開していたが、「すべての開発者に素晴らしい未来とビジネスチャンスを与えること」という同社のミッションを他の地域でも遂行するべく海外進出を検討。時差が少なく英語も通用するヨーロッパを選択し、2020年にアムステルダムの求人サイト運営「TryCatch」社を買収する。

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同地に拠点を設置して以来、「中つ国」(※Joubert兄弟は“オタク”なのでGMT+2の国々のことをこう呼んでいる)でも開発者と企業を取り持つようになる。アムステルダムは世界有数の半導体関連企業ASMLをはじめハイテク企業が集積する都市で、開発者へのニーズも相応に高い。

2023年初頭には、成約ごとに紹介料が発生する従来のシステムにあわせて、サブスクリプションシステムを開始。固定料金で無制限に人材を採用できるようになった。同社としても大胆かつラディカルな決断だったが、相当数の顧客が定額サービスに移行するという結果が出た。今年1月の資金調達もこの結果を受けたもの。

自立型のブートストラップの精神が南アのハイテク産業を強靭に

現在のOfferZenは、アフリカとヨーロッパ・中東をメインに登録者10万人を超えるまでに成長した。スタートアップから大手系まで2000社以上が加盟し、毎週200人ペースで新規ユーザーが増えているという。

南アフリカのハイテク産業がコロナ禍にもダメージを避けられた理由として、同社は「南アフリカは欧米のように資金調達が容易ではない。資本が小さくとも自立型のブートストラップ・ビジネスの精神が旺盛になる」としている。この精神が南アフリカのハイテク産業をますます強靭にしていくのかもしれない。

1月の資金調達を受けて追加される新機能は、AIによるおすすめ求人を閲覧して開発者の側から積極的に企業に応募できるというもの。企業側もAI分析により応募者の適性を事前に把握することが可能だ。企業から開発者に声をかけるというシステムを特徴とするOfferZen最大のアップデートとなる。新機能は2024年第一四半期中にベータ版がローンチされる予定だ。

引用元:OfferZen 公式サイト

(文・Takasugi


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