初のピュアEVモデルもある新型「X2」はBMWらしいスタイルの“スポーツアクティビティクーペ”

BMWが「X2」をフルモデルチェンジ。SUVとクーペを合体させたようなスタイルで人気を呼んできた先代から変わった新型のデビューは、2023年10月のジャパンモビリティショーでした。

ジャーナリスト向け試乗会は、24年2月にポルトガルはリスボン近郊で開催。キープコンセプトながら、よりスポーティになったルックスと、“進化”したインフォテイメントシステム、それにピュアEVの設定と、ニュースがたくさんあります。

■BMWらしいスポーティでクーペライクな輪郭線

どこがいいかって、やっぱりスタイルでしょうか。そもそもスポーティなクーペ大好きなBMWらしく、すっと流れるような輪郭線をもったルーフラインといい、小さめなキャビンといい、それに大径タイヤ(21インチも設定されました)といい、SUVが欲しいけれど機能一辺倒ではつまらない、と思っているなら、ぴったりでは。

ボディサイズも、日本の市街地には向いています。従来型よりやや大ぶりになったとはいえ、全長は4555mm(プラス190mm強)に抑えられていて、ふだんは前席中心の使用、というユーザーにはとりわけ向いています(といっても後席も175cmがちゃんと座っていられる広さ)。

 

■試走したのは「X2」とX2初のピュアEV「iX2」

今回、ポルトガルの会場に用意されたのは、2つのモデル。2リッターガソリンエンジンに全輪駆動システムを組み合わせ、足まわりや内装などをスポーティに仕上げた「X2 M35i xDrive」と、64.7kWhの駆動用バッテリーで200kWのパワーを持つX2初のピュアEV「iX2 xDrive30」です。

サーファーのメッカともいえるカスカイス近辺の海岸通りで美しい景色を楽しんだあと、背後の山のなかに入り、山岳路のドライブを経験。上りと下りが多く、曲率が小さいカーブが多く出てくるところでは、さすがBMWともいいたくなる、操縦性能を味わいました。

操舵感覚は、X2もiX2(アイエックスツー)も似ていると感じられます。後者はバッテリーのぶん車重が2095kg(欧州値)に達しますが、トルクのたっぷりある電気モーターと、バッテリーによる低重心化のおかげもあり、320kgほど軽いM35iと遜色ない走りっぷりでした。

高速道路では、意外なほど静か。全長のわりに長い2690mmのホイールベースの恩恵もあるでしょうし、クッション性のいいシートにも助けられて、グランドツアラーとしてもよく出来ているなあと感じました。

 

■刷新されたインフォテイメントはアンドロイドベースのOSを採用

▲最近のBMWでは「My Mode」なるドライブモードが採用されていて「パーソナル」はコンフォート、「エフィシエント」はエコにあたる

それに今回、BMWではインフォテイメントを刷新。BMW OS9といって、初めてアンドロイドベースのOSを開発しました。最新の7シリーズや5シリーズは、リナックスベースのOS8.5です。

「ユーザーの使い勝手はそう違いませんが、今後、アプリケーションなどアンドロイドを使うサードパーティのものを搭載していくには、OS9のメリットは小さくありません」と、OS9開発担当者は語っています。

▲大きなカーブドディスプレイが採用されていて、アプリはウィジェット(ショートカット用アイコン)で簡単に呼び出せるし、スマホをコントーラーがわりにゲームが楽しめる

X2のことをBMWはSACなるカテゴリーに分類しています。スポーツアクティビティクーペ。新型は基本プラットフォームを、先発の「X1」と共用していますが、足まわりやステアリングは「よりスポーティな設定」とBMWの開発者は説明しています。

個人的には、どちらがいいか甲乙つけがたい印象。価格は戦略的です。M35iは810万円で、iX2 30 Mスポーツは742万円。iX2は環境対応車の補助金の対象になるので、もう1モデル、150kWとパワーはやや控えめながら、価格競争力の高いX2 xDrive 20i(628万円)を競合とみることができるかもしれません。

あとは充電設備など日常的な使い勝手で決めることになるでしょう。2023年の欧州市場では、販売されるBMWのうち、6台に1台はピュアEVの「i」モデルだったそう。iX2の走行可能距離は最大449km(欧州)されているので、たしかに利便性も悪くない。ここでも悩みそうです。

【Specifications】
BMW X2 M35i xDrive(カッコ内は、iX2 30 xDrive)
全長×全幅×全高:4555×1845×1575(1560)mm
ホイールベース:2690mm
車重:1770kg
エンジン:1998cc4気筒
駆動:全輪駆動(モーター2基)
最高出力:233kW@4500~6500rpm(200kW)
最大トルク:400Nm@2000~4500rpm(494Nm)
価格:810万円(742万円)

>> BMWジャパン

 

<文/小川フミオ、取材協力/日本自動車輸入組合(JAIA)>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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