サードパーティーアプリストア「AltStore PAL」がEU域内で利用可能に

満を持してApp Storeに登場したゲームエミュレータアプリ「Delta」は、欧州連合(EU)域内では新たに開設されたサードパーティーアプリストア「AltStore PAL」を介してのみダウンロード可能となっています。今回はAltStore PALの全貌を明らかにします。

アプリはガイドラインに則する必要がない

AltStore PALは、安定して動作すると話題のゲームエミュレータ「Delta」の生みの親の開発者ライリー・テスタット氏が立ち上げたサードパーティーアプリストアです。

サードパーティーアプリストアは、EUのデジタル市場法(DMA)によりApp Storeが独占的と判断されたためEU域内でのみ許可されたもので、Appleを介することなくアプリの配布を行うことができます。

ただし、アプリレビューがなくなるわけではなく、自動と人間によるレビューの両方が継続して行われますが、アプリコンテンツやビジネス慣行がApp Storeのガイドラインに則する必要がなくなるため、サードパーティーアプリストアではこれまで掲載が許可されてこなかったようなアプリの配信が可能になります。

年間わずか250円でストアは利用可能

開発者のテスタット氏が公開したプレスリリースによれば、AltStore PALサイドロード可能なアプリであり、Webサイトを介してiPhoneにダウンロードできるとのことです。

AltStore PALでは最初、テスタット氏自らが開発したゲームエミュレータ「Delta」とクリップボードアプリ「Clip」のみが配信されますが、やがては他のユーザーにも開かれるそうです。

気になる料金体制ですが、年間利用料金は1.50ユーロ(約250円)とかなり低く抑えられています。

AltStore PALを通してインストールされるアプリは、年間100万インストールまではAppleへの手数料は発生しませんが、それを超えると1インストールあたり0.50ユーロ(約85円)のコア技術料(CTF)を支払わなければなりません。

ただし、アプリマーケットプレイスアプリに限って例外で、インストールされる度にAppleへの手数料の支払いを求められるため、入念な計算を行った結果年間1.50ユーロという価格設定に決まったそうです。

どのようなアプリが今後配信可能になる?

これまでApp Storeで掲載が許可されてこなかったアプリというのは、何もすべてがギャンブルやアダルトコンテンツを含むものではなく、きわどい線の機能を提供するものが多々あるようです。

例えば、「UTM」というアプリは、iOSとiPadOSのためのバーチャルマシンで、Windowsを動かすことができますが、ガイドライン「5.2 知的財産」の「商標、著作権取得済みの作品、特許取得済みのアイデアなどの保護されたサードパーティ製の素材をアプリで許可なく使用することはできません」という項目に反するため、これまでApp Storeでは配信不可となっていました。

他にも、「OldOS」というiOS4のインターフェースをSwiftUIで作り直したものは、ガイドライン「5.2.5 Apple製品」の「Appleの既存の製品、インターフェイス(Finderなど)、アプリ(App Store、iTunes Store、メッセージなど)、および広告のテーマなどとの混同を招くような、類似したアプリを作成することは認められません」との項目に違反するため、掲載が認められてきませんでしたが、今後は配信可能となるといった具合です。

Source: Introducing AltStore PAL/Riley Testut


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