2024年に入っても人気の完全ワイヤレスイヤホン。アップル、ソニー、ボーズなど大手メーカー製品に注目が集まりがちですが、国内外のさまざまなブランドからも、音質にこだわったハイエンド機種から数千円の低価格機まで、特色のあるモデルが多数発売されています。
そんな大激戦となっている完全ワイヤレスイヤホンから、直近数ヶ月に発売された新作モデルを、オーディオ・ビジュアルライターの折原一也氏がまとめて実機テスト。
今回はAKG「N5 HYBRID」、ゼンハイザー「ACCENTUM wireless」、水月雨(MOONDROP)「夢回 Golden Ages」、ag「COTSUBU mk2」の4モデルをテストしていきます。
■AKG「N5 HYBRID」
モニターヘッドホンやマイクなどで知られるAKGブランド初の完全ワイヤレス完全ワイヤレスイヤホンがAKG「N5 HYBRID」。街中の公共の場などで有効というリアルタイム補正機能付きのアクティブノイズキャンセル(ANC)や、通話音声へのイコライザー、DLC+PEN素材搭載の10mm径のダイナミックドライバーなど独自設計を満載。高音質LDACコーデックにも対応しています。
製品にUSBドングルが付属していて、LC3 PlusコーデックにてデスクトップPC等でも利用可能。もちろんマルチポイント接続も可。なおこのドングル、充電ケースに入れて持ち歩けるようになっています。
サウンドは、ハリとキレのある存在感ある高域と、空気を振動させるようなディープな重低音が強烈な、現代的なドンシャリ。歌声のアタックやシンバルもハキハキと存在感があるし、空間表現の巧みさと中高域の余韻はまさにAKG流。LDACコーデックで聴くと中低域も引き締まり音質面も充実。他に似たサウンドのイヤホンもない、AKGリファレンスサウンドは必聴です。
▼ここが◯
・ハイエンド級のAKGサウンド
・USBドングルが便利。ケース収納も可
・ノイズキャンセルも強力
▼ここが×
・LDACコーデックと一部EQが排他利用
・ドングルとBluetoothの切り替えに迷いがち
AKG「N5 HYBRID」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC、LC3 Plus
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):10時間(ANCオフ)
最大再生時間(ケース込み):40時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:空間サウンド対応
低遅延モード:◯
防水:IP54
ワイヤレス充電:ー
実勢価格:3万8500円
■ゼンハイザー「ACCENTUM wireless」
ゼンハイザーによるミドルクラスの完全ワイヤレスイヤホンが「ACCENTUM True Wireless」。上位モデル「MOMENTUM True Wireless 4」と同じ自社開発7mmトランスデューサー(ドライバーユニット)を搭載。音質をそこなわないノイズキャンセル対応も特徴です。
ゼンハイザーの他機種と比較すると、Sonovaグループの持つ耳の形のデータを元に装着感を一新した形状が特徴。イヤホンサイズは若干大きめですが、耳へのフィット感と密閉感が作り込まれています。
サウンドは、アコギの弦の音が靭やかに響くような質感と空間表現に優れた音色、適度にシャープに立つ歌声など、上質な音楽リスニング体験に向けたサウンドはさすが。低音も量感と引き締まった情報のバランスが見事。サウンドバランスはMOMENTUMシリーズに似ているので、安心して選べるゼンハイザーのミドルモデルの位置づけです。
▼ここが◯
・安心のゼンハイザー音質
・密閉感重視のイヤホン形状
▼ここが×
・aptX adaptiveやLDACは利用不可
・ノイキャン性能はほどほど
・サイズ大きめの装着感は好みが分かれそう
ゼンハイザー「ACCENTUM True Wireless」
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、LC3(アップデート予定)
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):8時間
最大再生時間(ケース込み):28時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:-
低遅延モード:◯
防水:IPX4
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:3万2890円
■水月雨(MOONDROP)「夢回 Golden Ages」
ポータブルオーディオ愛好家の間で人気の高い“水月雨(MOONDROP)”ブランドから登場した「夢回 Golden Ages」。日本のサブカルチャーから影響を受けたアニメキャラ風パッケージが目立つ同社ですが、本機はさらに個性派。充電ケースには“Golden Ages:1979”とプリントされ、レトロなカセットプレイヤー風デザインになっています。
音質面の設計も注目で、現在のイヤホンの先進デバイスである13mmの超線形フルレンジ平面磁気ドライバーを搭載。複数のプロトコルに対応した44dBのアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能など一般的な機能も網羅。LDACコーデック、LC3コーデックのLEオーディオも出荷時から利用可能です。
サウンドは、圧倒的なまでの音情報の豊富さが特徴。男性・女性ボーカルは耳元で歌うようなリアルさだし、音量の抑揚と音分離も克明。低音も強調感なくアタックまで正確に鳴らし切る音は見事。高域の伸びなどに若干の荒削りさもありますが、価格から考えてこの音質ポテンシャルの高さは驚異的です。
▼ここが◯
・価格を超えた音質ポテンシャル
・ユニークなレトロデザイン
▼ここが×
・イヤホンの質感はやや安っぽい
・アプリが正規インストール不可
水月雨(MOONDROP)「夢回 Golden Ages」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC、LC3
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):6時間(ANCオフ)
最大再生時間(ケース込み):24時間
マルチポイント接続:-
3Dオーディオ:-
低遅延モード:◯
防水:-
ワイヤレス充電:-
実勢価格:1万3770円
■ag「COTSUBU mk2」
日本のオーディオブランドfinalの監修による、累計30万台以上の出荷となった完全ワイヤレスイヤホン、ag「COTSUBU」の後継モデル。片側わずか3.5gの極小設計で、耳にフィットするデザイン。7色のカラーバリエーションの提供も特徴です。
ノイズキャンセルにも対応しないシンプルモデルですが、密閉感を高めたデザインを採用し、新機能もシンプル。内部音響パーツを一新したことによる音質向上や、タッチ操作無効モードなどが用意されています。
サウンドを聞いてみると、音楽の空間に包みこまれる臨場感と、リズミの刻みをしっかり再現させる低音が秀逸。頭の回りにピアノやギター、ドラムの音が取りまくような没入感あるサウンドです。1万円以下の価格という事もあり高解像度なタイプではありませんが、特に女性ボーカルの歌声はシャープに立つため歌モノのJ-POPは聞きやすい音質ですね。
▼ここが◯
・臨場感がありバランスの取れた音質
・ケースもイヤホンも手触り質感が◎
▼ここが×
・同価格帯で見ても機能は少ない
ag「COTSUBU mk2」
対応コーデック:SBC、AAC
アクティブノイズキャンセル:-
外音取り込み:-
最大再生時間(イヤホン単体):5時間
最大再生時間(ケース込み):20時間
マルチポイント接続:-
3Dオーディオ:-
低遅延モード:-
防水:IPX4
ワイヤレス充電:-
実勢価格:6980円
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/605110/
- Source:&GP
- Author:&GP
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