医療機器のZeto, Inc.(カリフォルニア州)は6月4日、次世代製品となるEEG(Electroencephalogram=脳波)モニタリング機器「ONE」が米国食品医薬品局(FDA)認証を受けたと発表した。
個人宅や救急車、飛行機内などで活躍するPOC(ポイント・オブ・ケア)機器としてだけでなく、包括的EEGプラットフォームとしてワークフロー管理や患者のスケジューリング、レポート生成など多様なタスクを可能にする。
2014年設立のZetoは、EEGモニタリングおよび診断の進化を主導する医療テック。「Best Neurology Solution 2023」やUSCFによる「Hospital Diagnostics 2021 Award」など、多数の受賞歴を誇る。今後は、うつ病や外傷性脳損傷などの症状についても理解・管理する機能の拡充していく予定だ。ヘッドセットで補則したデータでリモート診断
ONEのデバイス本体は21個のソフトチップ電極から成るヘッドセットで、電極は一般的な国際10/20法に従って配置されている。
このポータブル録画デバイスによって動画と音声の両方で患者の様子を把握でき、表示および録画操作が可能。発作が起きた時や深刻・緊急な場合はAIトリアージツールがリアルタイムで通知する。デバイスで取得したデータはZetoのクラウドにシームレスに配信され、神経科医がリモート診断を行えるというシステムだ。
バロー神経学研究所で神経学科臨床副部長を務めるSusan Herman医学博士は、「Zeto ONEは画期的なEEGシステムであり、緊急時のEEG取得における多くの側面を革新するもの」とコメント。救急やICUの脳を損傷した患者の最大40%に生じる発作は無症状であることが多く、EEGによる診断が必要となる。ONEがあれば、EEGリソースが足りない医療施設でもニーズが満たされるという。「強化されたワークフローにより、重篤な患者に対しても高品質なEEG技術品質と正確な診断を届けられます」と述べた。
遠隔診断が可能なONEで、EEGモニタリングのアクセス民主化
Herman博士も言及しているとおり、訓練されたEEG技術者は恒常的に不足しているため、EEG検査のニーズはほとんど満たされていない。しかし、ONEは医療従事者であれば最小限の訓練を受けるだけで効率的に操作できるようになるという。直感的なLEDフィードバックを伴うため、微調整も簡単だ。
Zetoの設立者兼CEOであるAswin Gunasekar氏は次のように述べている。「革新的な変化というものは、長年積み重ねた改善の集積として生まれるものです。当社の勤勉なチームが8年以上にわたって顧客を中心にした製品開発を続けてきた結果がONEです」
Zetoの第一世代製品であるWrap(WR19)の開発以降、医療現場では短期EEGの導入が増加した。新世代のONEは「継続的なEEGモニタリングと診断へのアクセスを民主化する」という。「ONE により、集中治療や外来、在宅での EEG モニタリングが著しく進歩します」と期待を語った。救急治療室とICUでのニーズに対応
スタンフォードてんかんセンター所長、米国てんかん協会元会長であるRobert S. Fisher医学博士は、「世界の多くの病院はEEG検査を行うことができないが、ONEがあればそれが可能になる。もちろん、すでにEEG検査を行っている病院や診療所にとってもONEは有用だ。医療スタッフはより効率的に脳波を取得できるし、患者にとってもより快適になる」と述べている。
また、ピッツバーグのUPMC小児病院の小児科准教授・てんかんセンター長を務めるChristina Patterson医学博士もONEの利便性の高さを強調した。
「需要の高い診断と治療介入へのアクセシビリティを改善してくれるZeto ONEは、小児患者にとって大きな助けとなるでしょう。特に緊急治療室やICUにおいては、重篤な子供に必要なケアを施すうえで迅速な対応とEEGが結果を大きく左右します」
FutureWiseの分析では、2023年に11億7000万米ドと推定されたEEGデバイスの市場規模は、CAGR約10%で堅実な成長を続け2031年には25億8000万米ドルに達すると見込まれる。また、POC(ポイント・オブ・ケア)診断市場も今後CAGR9.4%での成長が予測されている(Polaris Market Research)。医療分野でのAI活用も進む状況を踏まえると、Zetoの成長は今後も続きそうだ。参考・引用元:
PR Newswire
Zeto, Inc.
(文・せな)
- Original:https://techable.jp/archives/238107
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:芥田かほる
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