ブロックチェーン技術を使って知的財産の保護に取り組む、サンフランシスコを拠点とするスタートアップStoryが、8月21日、8,000万ドルの資金調達と、同社の評価額が20億ドルを超えたことを発表した。
Storyは、生成AI企業がLLM(Large Language Model)のトレーニングと推論のために、クリエイターの知的財産を無断で使用することを防ぐための、ブロックチェーンを活用したプラットフォームの構築を目指している。
AI著作権侵害との闘い

Image Credit: Story
昨年、ニューヨーク・タイムズはMicrosoftとOpenAIに対して、同社の知的財産の不正使用に関する損害賠償を求める訴訟を起こした。訴訟のなかで、タイムズは同紙に掲載されたコンテンツを利用して、GPT-4がテキストを生成した事例をいくつか挙げた。
訴訟に関する動議のなかで、Microsoftの弁護士は、このような主張は根拠がないとした。トレーニングに使用されるコンテンツは作品市場で流通するものではなく、モデルに言語を教えるものだとの主張だ。
今年8月時点で、この訴訟の最終的な判決は出ていない。しかしこの訴訟は、生成AIの著作権問題に関する重要な先例となる可能性があり、業界全体から注目されている。
コンテンツを知的所有権を埋め込んだ“レゴブロック”に変換

Image Credit: Story
Storyが提供するプラットフォームは、クリエイターが自分の作品を創作した後に、その知的財産の所有者であることを証明できる、ブロックチェーンシステムとして機能する。
共同創業者兼CEOのS.Y. Lee氏はこのように述べる。
Storyのプラットフォームによって、クリエイターが創作した作品を、知的所有権を埋め込んだ“レゴブロック”として扱うことができます。もう弁護士を通す必要はありません。代理人を通す必要もなく、長時間を費やすビジネス交渉の必要もありません。ライセンスやロイヤリティ分配の条件を、小さな知的財産レゴブロックに埋め込むだけなのです。
知的所有権の未来

Image Credit: Story
デジタルルネサンスが勃興するなかで、誰もがクリエイターになれるという素晴らしい時代が訪れています。しかし同時に知的財産が適切に収益化されないなら、それは長期的にはAIにとって自滅的な行動になるのです。
(文・五条むい)
- Original:https://techable.jp/archives/243697
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:m.soh
Amazonベストセラー
Now loading...