教職者向け無料Chrome拡張機能「Brisk Teaching」、シード500万ドル調達|オンライン教材をAI学習に変える新機能も

授業計画や採点といった日常業務は、ときに授業そのものよりも多くの時間を要し、教職者にとって燃え尽き症候群の一因ともなっているという。こうした膨大な業務量を日々抱える教育従事者の時短効率化を支援するのが、Brisk Teachingだ。

教育者や学校向けの指導アシスタントツールを、AI搭載の無料Chrome拡張機能として提供するBrisk Teachingは、9月18日、シードラウンドで500万ドルの資金を調達したことを発表した。これにより同社の合計資金調達額は690万ドルに達する。

サンフランシスコを拠点とするBriskは、わずか1年で、K-12*教育技術分野のグローバルリーダーとして急成長。同社の発表によれば、米国の350万人の教師のうち50万人がBriskのサービスを利用しており、彼らは同サービスを利用することによってこれまでに1,000万時間以上の時間を節約できたという。
*K-12…米国などの英語圏における幼稚園から高校卒業までの教育期間を示す言葉

imageCredit:Brisk Teaching

Briskは、教師が利用するプラットフォームをさらに増やすものではなく、すでに利用しているツールや実行しているタスクを自動化する、無料のChrome拡張機能として提供している。Briskのサービスを利用するために新しいツールを導入する必要はなく、Chromeの拡張機能として取り入れることができるため、教師が既存のタスクをそのまま自動化できる点が魅力だ。

教師を時間の逼迫から助けるAI搭載Chrome拡張機能「Brisk」


Briskが提供するChrome拡張機能「Brisk」は、AIを活用し、教師が質の高い授業を効率よく実施することを支援する。具体的には、以下のようなことが可能だ。

生徒一人ひとりに最適化したフィードバックの生成:生徒のGoogleドキュメントを参照し、生徒それぞれに個別最適化したコメントを生成。教師は生徒の考えを深めるための「良い点」「改善点」「気づき」を問うフィードバックを生成することもできる。
指導用教材の作成:授業計画、スライド資料、小テスト、その他の教材を簡単に作成できる。たとえば任意のアイデアや記事、ウェブサイト、動画などからプレゼンテーションを作成したり、任意のテーマについて数学の文章題を作成したりすることができる。
生徒の作文評価:課題の作成過程を記録したデータを再生・評価することで、生徒の思考の軌跡をより詳しく把握できる。
文章レベルと翻訳:文章レベルを生徒の読解力に合わせて即座に調整できる。またテキストをすばやく翻訳し、教室内の多様な学習者に対応する多言語リソースを作成することもできる。

同社公式サイトでは、実際の利用者の声も掲載されている。なお基本的な機能は無料で使えるが、Briskには有料のサブスクプランも用意されており、より高度な評価機能を求めるニーズにも対応する。

新機能「Brisk Boost」ではAI教育アクティビティを簡単に作成

ImageCredit:Brisk Teaching

同社は新たに、オンラインコンテンツからインタラクティブなAI学習教材を作成する新機能Brisk Boostを発表した。教師はこれを使うことで、簡単な操作のみで、オンラインリソースをAI教育アクティビティに変えることが可能となる。

たとえば教師がGoogleドキュメント、YouTubeビデオ、ウェブ記事など、オンライン上の任意の教材を選択すると、Boostがこれらを「アクティビティ」と呼ぶ対話型の教材に変換。アクティビティはディベート、チューター、キャラクターチャットなどから選択できる。

魅力的な教材開発を簡単な操作で実行できるだけでなく、重視する学習目標を設定することで生徒が教材について深く考え、話し合うといった積極的な参加を後押しすることも特徴だ。さらに、生徒の学習進捗状況に関する洞察を教師がリアルタイムで得ることが可能。教師と生徒両方の教育・学習体験を向上させることを目指している。

Brisk Teachingの創業者兼CEOであるArman Jaffer氏はこのように述べる。

教育者には、じつに限られた少ない時間の中で、多くの仕事をこなすことが求められています。Briskでは教師が毎週行う作業の20時間を自動化することで、職業を持続可能にすることに尽力しています。今回、調達した資金は、Boostという新しい学生向けツールの開発に投資します。教師は個別学習に不可欠な生徒ひとり一人に向けた教育を提供でき、これまで時間がかかりすぎてできなかったことが管理できるようになります。そのうえ生徒はブレインストーミングパートナー、理解確認、リアルタイムのフィードバックなどの機能を活用できるのです。

参考元:
Brisk Teaching
Newswire | Press Release

(文・五条むい)


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