インドネシアの貨物・物流市場規模は2024年に1,222億米ドルと推定されており、2030年には1,781億米ドルに達すると予測されている(参考)。なかでもトラック輸送の分野では、ルートの最適化や燃費の削減を目的に、車両追跡システムの導入が進んでいる。ただ、インドネシアは島嶼国家であるため、陸上輸送へのアプローチだけではなく、海上輸送への対応も必要だろう。
今年8月、シリーズA投資ラウンドでの資金調達を完了したPT. Indo Trans Teknologi(TransTRACK)は、車両だけでなく船舶やコンテナも追跡できるプラットフォームを開発し、各社に提供している。
トラックにもバスにも適合可能
TransTRACKは、GPSトラッカーを活用してドライバーの位置や商品の配送状態を追跡する輸送管理プラットフォームを提供している。同プラットフォームを通じて企業は注文のステータスとドライバーのステータス、商品の到着予定時刻を正確に把握できるほか、遠回りや待ち時間による時間ロスを短縮できるという。
また、各車両の走行距離を記録できるため、企業は燃料消費量を監視し、運用コストを見積もり、さらなるメンテナンスが必要な車両を特定することが可能。加えて平均速度、停止時間、使用パターンなどの車両性能に関する情報をもとに、企業が業務効率を評価し、改善点を見つけ出すといった使い方もある。
TransTRACKの特筆すべき点は機器の互換性で、世界に流通している1,000種類以上のGPSトラッカーにプラットフォームが対応するという。オープンAPIセットアップも用意されており、他のシステムとの統合・接続も可能だ。
船舶、コンテナの追跡も可能
TransTRACKのプラットフォームは陸上輸送だけでなく海上輸送にも対応しており、車両だけでなく船舶も追跡可能だ。海は陸とは違い、どこでもネット環境が整備されているというわけではない。何もない海上では、GPSトラッカーの追跡も不安定になる可能性がある。
TransTRACKは強力な衛星システムを活用することで、電波が届きにくい、海岸から遠く離れた公海エリアでの安定した通信を実現。気象データや海の状況にもとづいて、悪天候の地域を避け、有利な海流を利用した効率的な航路を導き出す。
また、TransTRACKの物流管理システムはコンテナにも対応。コンテナにGPSトラッカーと温度センサーを設置し、位置情報だけでなく内部の状態も常時モニタリングする仕組みだ。これは常温コンテナだけでなく、冷蔵コンテナにも対応可能。温度の異常を検知・通知することで即座に問題に対処できる体制を構築し、輸送物品の損傷を減らせるとしている。
ハラール製品と非ハラール製品の分別
TransTRACKは、今年8月にシリーズA投資ラウンドで1,200万ドルの資金調達を完了したと9月に公式ブログで発表した。
公式ブログによると、TransTRACKは現在インドネシアの135都市に進出し、さらに今年3月にはマレーシアとシンガポールへの進出を果たしたという。今回得た資金を生かしてタイ、ベトナム、オーストラリアへ進出する計画だ。
なお、TransTRACKはマレーシアにおいてPerbadanan Islam Johor、YGL Worldと業務提携を結び、倉庫スマートシステムソリューションの開発に着手するとともに、ハラール物流プラットフォームを導入した。
「ハラール」とは、イスラム教の禁忌に触れないモノやコトである。豚由来の食品やアルコールが添加されている食品を、イスラムフレンドリーの食品と同じコンテナに入れるわけにはいかない。インドネシアやマレーシアでは、そうした宗教に由来する配慮も求められる。
そこでTransTRACKは港での追跡から始まる“ハラール物流”を導入し、出荷や梱包、パレタイジングから倉庫保管までのすべてのプロセスでハラール製品と非ハラール製品を区別している。この技術は、マレーシア企業が厳しいハラル・ロジスティクス基準を満たすのに役立っているようだ。
参考・引用元:TransTRACK
(文・澤田 真一)
- Original:https://techable.jp/archives/245988
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:澤田真一
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