ジオラマだから光らせたい!電飾を組み込むために窓を自作【達人のプラモ術<ハーバータグボート>】

【達人のプラモ術】
ドイツレベル
「1/108 ハーバータグボート」

02/06

今回は船体の製作と、ジオラマにするなら光らせたい!ということで、電飾(LEDを使った船内のライト点灯)を組み込んでいきます。

近年はホビー用のLEDやスイッチ付きの電源ボックスなどが発売されており、はんだ付けなどのスキルがなくても電飾を気軽に楽しめるようになりました。今回、窓を点灯したのは操舵室とキャビンです。(全6回の2回目/1回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■操舵室の製作

前回も書きましたが、今回のキットはアメリカの模型メーカーRevell社から1973に発売されたものです。現在でも現行品として発売されているものですが、基本中身は1973年当時のものと変わっていません。国内プラモメーカーでも、50年発売され続けているロングセラーキットは結構あります。半世紀以上同じ商品が販売され続けているのもプラモデルの凄いところだと思います。

とは言うものの、さすがに最新のキットのようにパチピタというわけにはいきません。精度もそれなりなので、パーツの修正、パテを使っての隙間や段差の修正は必須作業になります、まぁそれがまた楽しいのですけれどね。

ハーバータグボートのキャビンは2階建てになっており、上が操舵室で下が船室ですが、キットは残念ながら室内は再現されておらず、というか操舵室も船室も窓ガラスすら省略されています。

今回は電飾で室内を点灯するので、窓ガラスがないのは困ります。そこで、透明プラ板(0.2mm)で窓ガラスを自作しています。室内が再現されていないので透明プラ板をヤスリで研磨してすりガラスにしています。

 

■光漏れ対策がポイント

キットの操舵室は4枚のパーツを組みあわせてカタチにするのですが、パーツの精度が低いので合わせ目に隙間ができてしまいます。

今回のような電飾ではこれが困りもので、隙間は光漏れの原因になってしまいます。なのでパーツをしっかりと擦り合わせて、なおかつ合わせ目は瞬間接着剤パテで隙間ができないように組み立てていきます。

またキットのパーツは赤のプラ材で成型されているので、そのままではLEDの光が透けてしまうため、裏側から黒サーフェイサーで塗装して光が透けいないようにしておく必要もあります。

▲操舵室は透明プラ板をすりガラス状に加工して、裏側から貼り込むことで窓を再現した

▲操舵室の床に5ミリの穴を開けて配線を通しLEDを固定している

▲操舵室の天井は、LEDの光を反射させるためにシルバーで塗装

▲LEDに電源を繋いでテスト点灯

▲窓をすりガラスにしたことでイメージしていたとおりにキャビンの明かりを再現できた

▲LEDは色も豊富に揃っているが、今回は柔らかい光に見えるように濃い目のオレンジ色で塗装して使用している。使用したのは、エルパ「コード付LED 3V用 φ5mm ホワイト」(641円~)

 

■板張りの甲板を再現

前回、リアルさに欠けるロープのモールドを削り落とした甲板は、パテで表面を平滑に整えました。ただ、そのままだとちょっと寂しい。そこで、キットの雰囲気を壊さぬように、ややオーバーディテール気味になるよう意識しながら縦方向にラインを彫りこみ、板張りの甲板を再現してみました。ロープ塗装後に改めて自作して取り付けます。

▲プラ板への筋彫りに使用するPカッターを使い、甲板に板張り風のモールドを彫りこんでいる

 

■煙突のラッタル金属線でディテールアップ

今回、古き良きRevell社キットのイメージを活かしたジオラマに仕立てたいということもあり、細部のディテールアップは控え気味に工作を進めているのですが、ピンポイントでは追加をしています。

甲板のロープ、そして煙突のラッタル(垂直はしご)しかりです。キットでは凸線で表現されているだけなので、いかんせんラッタルに見えません。煙突はけっこう目立つ部分なので、モールドを削り落として0.4mmの真ちゅう線で作り直しました。

▲キットのラッタルは凸線で再現されているが、いかいにもリアリティに欠けるのが辛い

▲0.4mmの真ちゅう線をコの字型に折り曲げてラッタルを自作

▲真ちゅう線を取り付けたことで立体感が大幅にアップ

 

■船体と甲板の組み立て

船体は内側を黒サーフェイサーで塗装し、中央部分にLEDと電源ボックスを繋ぐ配線を通すための穴(直径10mm程度)を開けておきます。

船体と甲板は当然ながら、というか接着部が微妙な曲線で構成されている上に甲板がわずかに船体よりはみ出すので、ピタリとは合いません(泣)。かなりの擦り合わせが必要になります。船体と甲板に隙間が生じないように接着剤が固まるまで輪ゴムなどでしっかりと固定しておく必要があります。

▲船底中央部にLEDの配線を通す穴を開けておく

▲甲板がやや歪んでいるため船体との接着がピタリと決まらないのが辛い

▲キャビンの床がないので、1mmプラ板でLEDのステーを取り付けておく

 

■キャビンの製作

ハーバータグボートは操舵室の下がキャビンになっています。電飾で内部を光らせるので、操舵室と同じく透明プラ板で窓を自作し、内部にLEDを取り付けます。操舵室に比べて広いので、LEDは2個使用します。キャビンには床が再現されていないので、1mmプラ板でLEDを保持するステーを追加する必要があります。

4枚合わせで構成されるパーツの内側は、黒サーフェイサーで下塗りのあと、LEDの光が反射するようにシルバーで塗装しておきます。

キャビンパーツも組み立て後の光漏れに要注意。ここではパーツの合わせ目部分に内側からフィニッシュシート(ミラーフィニッシュ)を貼り込んで光漏れを防いでいます。

▲キャビンパーツは光漏れを防ぐために黒サーフェイサーで塗装

▲そして黒サーフェイサーで塗装後にシルバーで塗装しておく

▲キャビンも前後左右の4枚パーツを組み合わせていくのだが、これがまたパーツが微妙に歪んでいるため、組み立てが一筋縄ではいかない。歪みのあるパーツは、光硬化タイプの瞬間接着剤で接着面を固めて強制固定している

▲プラ板で自作したステーにLEDを固定

▲船底から配線を伸ばして電源と繋いで点灯テスト

▲操舵室を仮組した状態。操舵室はLEDの光漏れ防止のために黒サーフェイサーで塗装している

▲操舵室のLED配線はキャビンを通り船底の穴から電源につなぐ

 

■海面ベースのサイズを変更

今回はアンティークな木箱の中に海面を作り、アートジオラマを製作していきます。前回用意したミミック風の木箱は幅16cm×長さ24cmサイズでした。しかしある程度船体が組みあがって改めて仮置きしたところ、ちょっと小さく、これだとベースとなる海が目立たないと思い、サイズを幅24cm×長さ32cmの木箱に変更しました。現在木箱の到着待ちです。

▲船体が乗っている小さいスタイロフォームが元のサイズ、下の大きいスタイロフォームが改めて購入した木箱のサイズ

 

■オールドタイマーの雰囲気を活かしたジオラマに

というワケでハーバータグボート製作、第2回となる今回はここまで。なんとかLEDを組み込むことができました。にしてもパーツのゆがみや事後変形が多く、ヒーヒー苦労しながら製作を進めています。でも、こうした古き良き時代のキットも楽しいものです。

次回は船体の塗装と海面ベースの製作を進めます。お楽しみに!

 

■タグボート見てきました

先日、横須賀で保存されている戦艦三笠の甲板でプラモデル教室を開催。その際に横須賀の港で使われているタグボートを見てきました。もちろん現代のタグボートですから製作中のハーバータグボートとはかなり違いがあります。でも小さな船体に背が高く視界が良さそうな操舵室など、基本的なスタイルは同じでした。

艦首に取り付けられたタイヤなど参考になる部分も多く、作例に活かせたら面白いかなと考えています。

▲横須賀港で見かけたタグボート長門丸(撮影:長谷川伸二)

▲こちらは昭南丸。操舵室の形状などが違っている(撮影:長谷川伸二)

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

【関連記事】

◆映画『Uボート』公開40周年記念キットの潜水艦「U-96」をリアル再現!【達人のプラモ術<Uボート>】
◆科学×プラモ=男のロマン!? バンダイ「1/48 しんかい6500」をジオラマ化!【達人のプラモ術<しんかい6500>】
◆第二次大戦時のアメリカ海軍空母“ビッグE”を洋上ジオラマで製作!【達人のプラモ術<米海軍空母エンタープライズ>】


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA