呉竹「カラー文鎮 黒」【KREVAの文具PRESS】

【KREVAの文具PRESS】

文具コーナー巡りをライフワークとするラッパー・KREVAが、愛する文具と共に過ごす日々を、写真と文章で語るコラム。

KREVA●2004年9月08日(クレバの日)に「音色」でソロデビュー。現在は楽曲プロデュースを始め、多岐にわたり活動を展開中。今年9月08日にソロデビュー20周年を迎え、20周年イヤープロジェクトが一挙解禁。2025年初頭には、初の直筆リリックの展示「原書展」が開催決定! 現在発売中のアナログ盤3タイトルに加え、ニューデジタルシングル「Forever Student」も絶賛配信中。さらにナビゲーターを務めるラジオ番組『PILOT THE ORIGINAL』(J-WAVE 81.3FM)も毎週金曜23時〜から好評放送中。

 

 

 

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#005
呉竹「カラー文鎮 黒」

■最後はいつ? ってか、そもそもある?

話を聞くだに、書くという行為から遠ざかっている人が多い。こちらは相変わらず、毎朝文章を書いている。厳密なルールではないのだが、朝起きたらそのまま、スマホをいじったりテレビをつけたりせずに机に向かうことにしている。そこからリングタイプのA4方眼罫のノート1ページに、頭の中にあることを吐き出していく。前日からの考え事の続きだったり、その日に選んだペンのこと、たまには思いついた韻など、誰に見せるためでもなくひたすら書き続ける。時間にして30分。

▲適度な重さと品格のあるデザインを基準に制作されているとか

ノートのページ数によって書き味はだいぶ異なる。最初の1ページ目の気持ちよさは永遠だし、ちょうど真ん中と思われる位置の興奮も捨て難い。ただそれよりは毎回同じように書ける、つまり紙を一枚机の上に拡げたようにして書くのが好きだ。縦では無くて横使い、リング部が左右どちらかではなく上部にくるように置いて、木製のテーブルの上で書く。

数カ月続けたところで、紙のずれを気にしている自分に気付くことが増えてきた。こうなると必要なのはペーパーウェイト、いや、文鎮だ。そこで改めて思う。「俺が最後に文鎮を買ったのはいつだ? ってかそもそも買ったことあるのか?」と。

小学校低学年の時には習字教室に通っていたし、そうでなかったとしても学校の授業でつかっていたあの文鎮。それを自分で購入したという人は少ないのではないだろうか。用意してくれた親に感謝せねば。例え自腹だったとしても、あの時のそれはセットで売られていたものの一部であって、単体では購入していなかったはず。そうなってくるとこれは人生初の買い物ということになる。

文鎮1本の相場。全く見当がつかない。ガラス製の洒落たペーパーウェイトなら3000円くらいか。自分が使っていた銀色の、延べ棒のようなアイツは重さなどから考えて1000円くらいか。それが本当に欲しいのか。ノートの表紙も、それを入れておく袋も、なんならそこに付けている鍵も黒で統一している。天然石や何らかの高価な素材でできたものなら、黒が存在するのか。存在したとしてそれを大事に扱えるのか。想像は止まらなかった。止める方法は単純にして最善。検索しろ。

あった。普通に欲しいものがそこに。他人とは思えない会社「くれ竹」のカラー文鎮ブラックなるものが存在するではないか。潜在的な願いまで叶うほど便利な世の中になったのか。違う。ニーズがあっただけ。落ち着け。ただ落ち着いていられないのはその値段のせいでもあった。Amazonで1本、449円。安すぎる。良心的な価格設定に対する感謝の印として数本いきたくなる気持ちを抑えて1本購入。使用感も素晴らしいし、モノとしても非常に美しいと感じた。目立たぬように隅にある「Made in  Japan/Japon」の文字が誇らしい。

>> 連載【KREVAの文具PRESS】

※2024年11月6日発売「GoodsPress」12月号121ページの記事をもとに構成しています

<写真・文/KREVA 写真(キービジュアル)/藪内 努 ヘアメイク/結城 藍 スタイリスト/藤本大輔(tas) 構成/TOMMY>

 

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