【スマホAIの使い方】
続々と登場するスマートフォンのAI機能ですが、主要な機能だけでも、その使い勝手をじっくり確かめていきたいところ。第一弾として、Google製の「Pixel」シリーズをピックアップし、主要なAI機能の使い勝手について、じっくりチェックしていきます。
前編では
(1)かこって検索
(2)一緒に写る
(3)Gemini Live
(4)レコーダーでの文字起こし
(5)ズーム画質向上
(6)消しゴムマジック
を紹介しました。
>> 使わなきゃ損!「Google Pixel」で使えるAI機能をまとめてチェック<前編>
後編では引き続き、(7)〜(12)までの機能をチェックしていきましょう。
※本稿での機能検証はAndroid 15の「Pixel 9 Pro」を用いて行いました。機種やOSバージョンによっては、対応状況や手順詳細が異なることがあります。
7. ボケ補正
まずは、撮影時に動いてブレてしまった写真を補正できるのが「ボケ補正」機能です。「せっかくシャッターチャンスだったのに…」という瞬間を無駄にせずに済むのが魅力。
操作手順も、「Googleフォト」アプリのなかから「ツール」→「ボケ補正」と選択するだけなので、サッと使えて便利です。
▲「Googleフォト」アプリで画像を開き、「ツール」→「ボケ補正」を選択(左)。スライダで補正具合を微調整できる(右)
わざとカメラを動かしながらボケさせた写真で試してみると、かなりマシな仕上がりになりました。前編で紹介した「ズーム画質向上」よりは使い勝手も良い気がします。
筆者個人としては使用頻度はそこまで高くないのですが、ペットや子どもなどを撮影する際など、被写体側が動きがちなシーンが多い人には、恩恵も大きくなりそうですね。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★☆☆
・使いやすさ:★★★★★
・実用性:★★★★☆
・自分で使いたい度合い:★★★☆☆
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
ペットの写真がブレちゃう人は試してみると良いかも
8. 空
同じくGoogleフォト内にある機能として、背景の雰囲気をガラッと変えられる「空」があります。例えば、せっかくの旅行先の記念撮影で、残念ながら曇り空だったといったシーンを青空に変える、といった使い方をします。
操作はこちらも「ツール」から「空」を選んで、フィルターのように種類と度合いを調整するだけ。使い方で悩むことはおそらくありません。
▲「ツール」から「空」を選ぶと、空の色味を調整できる。こちらはあえてガラッと変えた場合の失敗例。どうしても輪郭が複雑な写真だとこのように合わないエフェクトもある(シンプルな被写体ならもっと綺麗に仕上がる)
使ってみて気づくのは、背景の空だけでなく被写体の色味も結構連動して変わるんだな、ということ。また被写体の輪郭が複雑な場合には、あまり上手く仕上がらないこともありました。
基本的には変なことはせず、おとなしく人が立っている記念撮影などで、空の具合を曇り空から青空に寄せる…くらいの微調整するに使うのがベターでしょう。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★☆☆☆
・使いやすさ:★★★☆☆
・実用性:★★★☆☆
・自分で使いたい度合い:★★☆☆☆
・人に勧めたい度合い:★★★☆☆
▶︎ひとこと
写真の空を盛れるけど、上手くハマる構図とエフェクトを選ぶ必要あり
9. 編集マジック
続いて、被写体の位置やサイズを調整できる「編集マジック」もチェック。こちらも「Googleフォト」内から使う機能です。対応機種はPixel 8シリーズ以降。なお、この機能を使うには、データをGoogleフォト上にバックアップしておく必要があります。
手順としては、アプリ内の左下にあるアイコンをタップして、編集したい被写体を指で囲み、選択箇所を調整してからドラッグやピンチイン・アウト操作でサイズと位置を調整していきます。
▲左下のアイコンをタップしてから、バックアップがされていない場合には「バックアップ」を実行(左)。被写体を囲む(中)。必要に応じて「選択範囲を改善」をタップ(右)
▲「追加」か「除去」を選択して、画像を拡大しつつ、細部を調整(左)。ドラッグやピンチインアウトで位置とサイズを調整(中)。編集が実行された(右)
使ってみた気になったのは、認識範囲が一発で綺麗にならなかった場合の調整がどうしてもスマホだと面倒くさいということ。Adobe Photoshopのような一般的なPC向けのデザインツールと比べると、微調整をする際に誤タッチでのやり直しが多くなるので、細かい調整で疲れます。
また上記の画像のように、移動後の影の処理が必要になった場合、さらに編集を行うのはスマホの画面だとちょっと疲れるかなぁ、という印象。こちらもハマるシーンと手間がかかる構図とが分かれるのでしょう。
と、ここまでは辛口ですが、同機能の本領は範囲を選択したあとの「イマジネーション」の方なのかもしれません。対応機種は「Pixel 9」以降に限られますが、こちらを使うと選択した範囲の被写体の雰囲気を画像生成を使ってガラッと変更できます。
▲選択後に「イマジネーション」をタップ(左)。たとえば「モザイクタイル」と入力してみる(中)。画像生成で花瓶のデザインがガラッと変わった(右)
この「イマジネーション」機能を含めると、筆者としての評価も結構変わってきます。これなら選択範囲が粗くても使いやすいですし、楽しさも伴いますからね。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★★☆
・使いやすさ:★★★☆☆
・実用性:★★★★☆
・自分で使いたい度合い:★★★★☆
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
位置とサイズの変更は範囲選択の手間が大変だけど、「イマジネーション」機能は結構楽しい!
10. 動画ブースト
「動画ブースト」は、「Googleフォト」でクラウドにアップロードしたデータに対して、明るさや色を自動的に調整しつつ、細部を鮮明にした高画質の動画を作成できる機能です。
撮影時にカメラアプリの設定項目から「動画ブースト」をオンにしておき、撮影後にGoogleフォトからバックアップを実行すればOK。時間が経つと、ブーストを適用した動画を再生できるようになり、その旨が通知されます。
▲「カメラ」アプリの設定から「動画ブースト」をオンにして撮影(左)。「Googleフォト」アプリで撮影した動画を開き、下部右側にあるサムネイルをタップしてバックアップ操作を行う(中)。処理が完了するのをしばらく待つと、「動画ブースト」の印が表示された状態で、動画が再生できるようになる(右)
使ってみて思ったのが、あらかじめ「動画ブースト」をオンにして撮影しておかないといけないため、撮影後の動画に使えないのが惜しい、ということ。そして短い動画でも、機能を実行したり、コンバートした動画を再生したりするのに待ち時間がめちゃめちゃかかるということです。
生成された動画は確かに解像感が上がって綺麗にもなっているのですが、大画面での表示を前提にするような用途でもなく、スマホ上で確認できればいいという場合は、フィルタを変えるだけで十分です。動画クリエーターでもなければ使う必要はないだろうと思います。
実際、対応機種も、上位の「Google Pixel 8 Pro」や「Google Pixel 9 Pro/Pro XL」に限られているので、「ちょっとマニアックな動画機能がある」くらいの理解で問題ないでしょう(というかこのレベルの処理になるとPCでやる人の方が多いかもしれません)。
一方、「夜景モード」を選択した際にも、この動画ブーストを適用して画質をクリアにできます。こちらはシーンによってはクリエーターじゃなくても恩恵があるかもしれませんね。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★☆☆☆
・使いやすさ:★☆☆☆☆
・実用性:★★★☆☆
・自分で使いたい度合い:★☆☆☆☆
・人に勧めたい度合い:★☆☆☆☆
▶︎ひとこと
はっきり言ってクリエーター向け機能なので人を選ぶ。一般向けのレベルなら動画ブーストを使わなくても十分綺麗に撮れる
11. 音声消しゴムマジック
むしろ、筆者が動画関連機能で使いやすいなと思ったのは「音声消しゴムマジック」の方でした。こちらは撮影した動画に対して、簡単な操作でノイズ等をサッと低減できるのがポイント。Pixel 8シリーズから使えます。
Googleフォトアプリの動画の編集画面で「音声消しゴムマジック」を選び、「ノイズ」等を選んで、スライダを調整するという流れになります。
▲「音声消しゴムマジック」をタップ(左)。「ノイズ」をタップ(中)。スライダを調整(右)
例えば、電子ピアノでの演奏をスマホで撮ると、ガチャガチャという打鍵音が大きく入ってしまいがち。しかし、同機能でノイズを低減させれば、完全に打鍵音がゼロになるわけではないものの、さほど気にならないレベルまで調整することができました。これをスマホの操作だけで完結するのはやはり驚きです。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★☆☆
・使いやすさ:★★★★★
・実用性:★★★★☆
・自分で使いたい度合い:★★★★★
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
「楽器の音」と「ノイズ」を分けられたのには感動!
12. ベストテイク
集合写真に写っている人の表情を、それぞれAIで選択して合成できるという「ベストテイク」も使ってみました。こちらも撮影後にGoogleフォト内の編集機能として実行できます。
2人以上で撮影した同じ構図の写真が、2枚以上あると、「ツール」の欄に「ベストテイク」のアイコンが表示され、これをタップすると使えるという仕組み。人の顔をタップして選んで、さらに候補を選びましょう。
うっかり1枚しか撮影していないと使えないので、何枚かパシャパシャっと撮っておくのがコツですね(というか、公式ブログ等の情報を読まずに、普通に使っているだけだと、このルールに気づかずに混乱することもあるかも…)。
▲「ベストテイク」機能(画像出典:Google Japan Blog)
使い勝手は良いと思います。「Pixel 8」シリーズから使えますし、友人や仕事仲間との飲み会で記念写真を撮る機会が多い人には便利かもしれません。一方、親族が集まるような集合写真だと、意外とみんな表情決めて崩さないので、別の表情選んでもほぼ変わらない…みたいなことも多々。たまに目を瞑ってしまった人を、ほかの表情にカバーしてあげられるくらいの機能だと思っておいてもよいかもしれません。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★☆☆
・使いやすさ:★★★★☆
・実用性:★★★★☆
・自分で使いたい度合い:★★★☆☆
・人に勧めたい度合い:★★★☆☆
▶︎ひとこと
たまの記念写真で失敗しても、すぐカバーできる良機能。ただし、撮影時に同じ構図で何枚か撮っておくのを忘れずに
* * *
いやぁしかし、AI機能はやはり数が多いですね。当然、今回の前後編で紹介しきれなかったものもまだあるはずですし、「AI」と看板に掲げておらずとも実はAIを使っている機能もあるはずです。例えば、今回はピックアップしませんでしたが、ド定番の「Googleレンズ」の翻訳機能を、AI機能として扱うべきか、なども悩ましい。
さらに、今後も続々AI機能は増えていきます。例えば、2025年3月のPixel Drop(Pixelシリーズ向けの機能アップデート)でも、「Pixel スタジオ」、「Pixel スクリーンショット」、 天気アプリのAI 生成を使った天気予報、録音の文字起こし(日本語)の要約などが、追加されるとわかっていますので、こうしたアップデートに対しても、引き続きアンテナを広げておきたいところです。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/664584/
- Source:&GP
- Author:&GP
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