牛と格闘する兵士フィギュアを配置してPACVジオラマ完成!【達人のプラモ術<米海軍PACV後期型>】

【達人のプラモ術】
ゲッコーモデル
「1/35 米海軍 パトロール エアクッション ビークル(PACV)後期型」
08/08

いよいよPACVジオラマの完成です! 前回ほぼ完成させたPACV本体ですが、ホバー部分にさらに細かなウエザリングを加えて仕上げました。また疾駆するPACVから停泊中の情景に設定変更したことに合わせて、水面には岸辺に打ち寄せられた枯れ木と落穂とジャングルの植物を追加。さらにさらに兵士と格闘する牛を追加したことで、戦闘の合間で休息する兵士たちの情景を再現することができました。(全8回の最終回/1回目2回目3回目4回目5回目6回目7回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■牛を活かした情景

前回書きましたが、知人のモデラーからゲッコーモデルからリリースされているベトナムの牛のフギュアを貰ったので、それにタミヤ「1/35 アメリカ海軍 PBR31 Mk.II ピバー」のフィギュアのポーズを改造したものを組み合わせて岸辺に追加しています。

シチュエーションとしては<PACVの停泊地点に興味津々で近寄ってきた牛をどけようと牛の首を掴んで格闘する兵士>といったところでしょうか。

緊迫感のあるシーンも良いのですが、PACVに乗せた兵士フィギュアが休息ポーズなので、こういったシチュエーションもアリだと思いますよ。

疾走しているPACVという設定から停泊状態、いうなれば静の情景へと設定を変更したので、水面もそれらしく。さらに水草が浮島のように密集している場所でも進めるPACVらしさを強調するために、停泊地の水際に打ち寄せられた枯れ木や落穂といったテクスチャー(粒状のコルク素材)を追加しています。

流木は天然素材(公園で拾ってきた枯れ枝)を使用しています。枯れ枝は電子レンジで一度加熱消毒して使用します。でないと後々カビたり虫が湧いたりするので要注意。

両素材を水際に配置して、アクリル絵の具用クリアーメディウムで接着固定すると同時に濡れた質感を再現しました。

▲追加したフィギュアはタミヤ「1/35 アメリカ海軍 PBR31 Mk.II ピバー」のガンナーを流用。腕の角度を牛の首に合わせて変更している

▲塗装を済ませたガンナーフィギュア

▲牛は荷車と組み合わせる仕様なので首の後ろに凹がある。そのため、パテで埋めて単体で使用できるようにしている

▲ベースの地面に牛とフィギュアを組み合わせた状態。足に真ちゅう線を埋め込んでベースに接着

▲もともとのガンナーの射撃ポーズを活かし、腕の取り付け位置の変更のみで「こっちにこいって!」といった感じで牛の首を抱えて踏ん張るポーズを再現

 

■ジャングルの植物も追加

鉄道模型用のテクスチャーを使って岸辺の下草を製作していますが、さらにもう一工夫ということで、ジオラマ用の植物を数多く販売している紙創り「ジャングルC」を製作して追加しています。

同ブランドの植物は、紙製で植物の葉がレーザーカットで精密再現されています。木の幹や枝を作って葉を着色すればリアルな植物が再現できるというものです。今回は東南アジアのジャングルに群生する植物を再現できる「ジャングルC」を使用しました。

実際のところ、ジャングルというならもっと植物を密集させたいところなんですが、予算の都合…ではなく、追加したフィギュアが見えなくならないようにしたといったところです。

▲水面に浮かぶ落穂にはYNAKから発売されているジオラマ素材「枯葉/粒」を使用

▲YNAKジオラマ模型用情景用素材「落ち葉(枯葉/粒 50ml)」(1250円)

▲岸辺に打ち寄せられた枯れ枝や落穂を追加。クリアーメディウムで固めることで濡れた質感を再現している

▲和巧「紙創り ジャングルC」(1151円) “紙創り”の植物は、精度の高いのレーザー加工で形状カットされている紙を塗装し台紙から切り離すことで、リアルなミニチュア植物が完成する。ジャングル植物のセット「ジャングルC」は1/35のアレカヤシ、ヘゴ、シダがセットになっている。キット数(制作可能数): ヘゴ1本、アレカヤシ1本、シダ5株

▲塗装には水性アクリル塗料を使い、エアブラシで多肉植物風に鮮やかめのグリーンに塗装している

▲幹はプラ棒に木綿糸を巻いて製作。枝は付属のワイヤーを使っている

▲ベースのスタイロフォームに穴を開け、製作した植物を接着

▲下草は追加した木とのバランスを考えてもう少し刈り込んでも良い感じかも。フィギュアとのバランスは良い

▲牛とフィギュア、植物を追加したことで、また雰囲気が変わったジオラマベース

 

■PACVジオラマの完成!

フィギュアと牛、植物に打ち寄せられた倒木等を追加して、PACVジオラマの完成です。ホバークラフト(エアクッションビークル)の特徴を生かす水上ジオラマですが、なかなかに面白い雰囲気の情景モデルとなりました。

キットは精度が高いもののパーツ分割が細かく、製作には手間がかかりますが、ストレート組みでも雰囲気良く仕上がります。乗組員のフィギュアが付属していないのが残念ですが、別売りのフィギュアを組み合わせることでキットの魅力はよりアップします。

そして水陸両用軍用ホバークラフトという特徴を強調したいのであれば、ジオラマ仕立ては必須ですね。同じブラウンウォーターネイビーに所属するタミヤ「1/35 アメリカ海軍 PBR31 Mk.II ピバー」と組み合わせても良いでしょう。

近年製作したキット中では一番のボリュームがある作品となりました。見栄えも良いです。機会があれば改めて、疾駆するPACVのジオラマにも挑戦してみたいですね。

▲艇の右舷デッキにはロープを追加。フィギュアの足元にはタミヤのピパーボートに付属していたラジカセを配してみた

▲左舷デッキのフィギュアにはヘルメットと双眼鏡を追加している

▲完成したPACVジオラマ。水面ベースと相まってボリュームのある作品に仕上がった

 

■PACVジオラマギャラリー

というワケで今回はこれで終了です。さて次回は何を作りましょうか? 乞うご期待です!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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