&GPでは、これまでいろんなタイプの防犯カメラを試してきました(まとめはこちら)。そんななか、今回目をつけたのは、最近Amazonから登場したばかりの「Ring Battery Doorbell」(1万4980円)。いわゆる“スマートドアベル”という製品です。日本風に言うとインターホンと防犯カメラが一体になったような製品ですね。
これ、案外理にかなっているんですよね。防犯カメラで一番欲しい機能って「玄関に誰が来たか」を記録すること。インターホンなら玄関に付いていて自然だし、今どき録画機能付きのインターホンって珍しくないので、防犯目的で録画していてもさほど気にしませんよね。ということは、録画・通知・音声通話ができるドアベルがあれば、実は防犯カメラ以上に理想的なのでは?
しかもこの「Ring Battery Doorbell」、配線工事不要でマグネットで玄関に貼るだけ。これはちょっと面白そうだなと思い、試してみることに。
▲「Ring Battery Doorbell」
▲「Ring Battery Doorbell」のパッケージ中身
早速、実機を取り寄せてみました。本体サイズは高さ12.8cm、幅6.2cm、奥行き2.8cmとスリムで、重さは約200g。
設置については、過去にレビューしてきたどの防犯カメラよりも簡単。玄関ドアの素材が金属なら(日本の玄関ドアはほぼ金属製です)、付属のマグネットマウントをペタッと貼るだけ。3分もあれば設置が終わります。ちなみに今回選んだベネチアンブロンズのカラーは高級感もありますね。
▲まず付属のマグネットマウントをドアに固定
▲ドアベル本体は引っ掛ける形。ただ実はこのままマグネットごと外せます
注意点として、「Ring Battery Doorbell」は名前の通りバッテリー式で、ソーラーパネル接続も想定していません。つまりバッテリー残量は減っていく一方なので、定期的に取り外して充電する必要があります。公式には通常一度の充電で数か月間使用できるとありますが実際は…。これは後でレポートします。
マグネット設置のおかげで充電の際の取り外しは簡単。ただこれは良し悪しもあって、本体ごと盗難に遭うリスクも。クラウド録画なのでデータは残るし、盗難補償があるので一台は無償交換が可能ですが、防犯として万全を期すならネジ止めでの固定を推奨します。
それでは実機の撮影映像や使い勝手もレビューしていきます。
■中身は実質Ringのカメラ。Echo連携も強力でした
まずはセットアップの流れを紹介します。
最初に背面にUSB-Cケーブルを接続して内蔵バッテリーを充電しつつ、スマホに“Ringアプリ”をインストール。本体背面のQRコードを読み込めば登録完了。2.4GHz帯のWi-Fiに接続する形式で、設定は数分で完了します。
▲Ringの防犯カメラ製品と同じ「Ringアプリ」に登録
また、あらかじめ理解しておきたいのが、「Ring Battery Doorbell」には内蔵メモリやSDカードスロットがなく、すべてクラウド録画だということ。録画にはRingのクラウドサービス「Ring Protect(ベーシックプラン月額350円〜)」への加入が必須(30日の無料体験期間あり)。録画映像はすべてAmazonのクラウドに保存され、スマホから過去のイベントを確認・ダウンロードできます。
ただし、Wi-Fiの電波途切れがあると録画データも残らないため、電波の安定への重要度が他の防犯カメラよりも高めです。
設置については先に紹介した通り、玄関ドアに貼るだけ。地面から1.2m程度の高さが最適な設置位置で、これは一般的なドアノブの位置(1m前後)より若干高い程度ですね。なお「玄関ではなく家の門に付けたい」という場合にはネジ固定必須のこと。Wi-Fi電波が安定して届くかをよく確認しましょう。
▲ドアノブより少し高めの位置にマグネットで貼り付けて固定
さて実際に接続して「Ringアプリ」からアクセスしてみます。実はこのアプリ、中身はRingシリーズの防犯カメラ製品と共通。そしてセットアップをしていて気付いたのですが、アプリにデバイスを登録すると家中にあるスマートスピーカー「Echoシリーズ」と自動的に接続されています。
▲「Ringアプリ」からはカメラとしての機能設定ができる
試しにドアを付けた「Ring Battery Doorbell」を押してみると、ドアベルとして音が流れる、そしてスマホアプリに通知が届くと同時に、ディスプレイ付きスマートスピーカー「Echo Show」の画面がライブビューに切り替わります。画面なしのEchoでは「玄関の前に誰かがいます」と日本語で音声が流れて、家中に教えてくれます。
▲インターホンとして「Ring Battery Doorbell」を活用
▲EchoShowの画面は自動的にライブビューを表示(最初は全画面表示でスタート)
本体にはマイクとスピーカーが内蔵されており、来訪者との双方向通話にも対応。インターホンとしての機能はさほど意識せず設置したのですが、Echoシリーズユーザーにとって家中のEchoスピーカーを子機にできるのは便利。
ベルが鳴らされた時には録画機能も動作します。「Ring Battery Doorbell」搭載のカメラは1440×1440ピクセル、画角は水平方向・垂直方向ともに150度とスクエアで超広角。人がドアの前に立った時、顔から足元、さらには置き配された荷物までまるごとフレームに収まるのが特徴です。ベルを押すとドアに近づくこともあり顔も確実に見えるほど。
▲ベルを鳴らした時の録画映像
さて、ここまではインターホンとしての機能ですが、「Ring Battery Doorbell」はモーション検知機能もあり、ベルを鳴らさなくても録画できます。モーションは“スマートアラート”を設定可能で、人物、車、その他モーション、荷物検知ゾーンを設定できて、さらに録画のみ、アラートのみ、両方といった設定を個別に設定可能です。
検知は設定で変更できて、検知感度は最大5mほどの距離までをカバー。ただしクラウド録画の影響か、素早く移動していると録画スタートが数秒遅れて上手く映らないことがあるので注意。
▲日中の録画画質
▲夜間の録画画質。明るさによってはカラーナイトビジョンも設定可能
そしてユニークな機能が“荷物”。玄関に置き配などで荷物が置かれたタイミングを、人物等とは別のイベントとして認識します。
▲あらかじめ荷物検出エリアを設定
▲宅配便の到着を認識していた
録画イベントはタイムラインで遡れて、イベント単位でのチェックも可能。ただイベントは日付単位の管理になっていない点がやや扱いにくいところです。
▲デバイス単位での録画データ視聴。検出イベントもタイムライン上に表示
▲イベント単位での録画データ確認。複数カメラ設置の際に特に便利
そして気になるのが、バッテリーの持ちです。
僕は「Ring Battery Doorbell」をインターホンではなく防犯カメラとして使いたいので、ドアベルを押さなくても全てのイベントを録画するに設定。さらに検知の感度を最も録画頻度の高い最大に設定して一週間ほどテスト。合計112件のイベント(=録画件数)で、バッテリー残量は16%減少。概ね6週間持つ計算です。正確なバッテリー残量表記はアプリ内の「デバイスの状態」欄にしかないので、見やすい場所に常時表示してほしいところです。
* * *
今回「Ring Battery Doorbell」を試してみて感じたのは、「インターホンにカメラがついている」ではなく、「カメラにインターホン機能を持たせた」製品だということ。その発想の逆転が、すごく理にかなっているなと感じました。
人が必ず通る玄関、そこにドアホンが設置してあることは当然のことですよね。今どき録画機能付きインターホンなんて珍しくもないけれど、そう見せかけながらも、ベルを押されなくても録画しているというのが面白い。
しかも設置も管理も手軽でわかりやすく、Echoシリーズとの連携もスマート。価格も1万4980円(税込)でお手頃ではあります。が…、Ring Home サブスクリプションの月額料金がかかるのは好みが分かれるところです。ただし機能面で考えると「とりあえず1台防犯カメラを入れてみたい」という人にとっての入り口として、非常にいい線を突いてくる一台だと感じました。素直に、気に入りました。
▲防犯効果とご近所へのお知らせのためシール告知も
最後に防犯の観点から言うと、「Ring Battery Doorbell」に録画機能があるということは、むしろ積極的に知らせた方がいいかもしれません。ご近所へのプライバシー配慮も含めて録画中シールを準備しておくのもアリですね。
>> Amazon.co.jp「Ring スマートホームセキュリティ」
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年よりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
【関連記事】
◆日本メーカーで低価格で常時録画対応!アトムテックの「防犯カメラ」2台を試してみた
◆SwitchBotの「防犯カメラ」はソーラーパネルで設置もカスタマイズも自由度MAX!
◆即完売の防犯カメラ、パナソニック「VL-CV100K」の実力を試してみた
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/670532/
- Source:&GP
- Author:&GP
Amazonベストセラー
Now loading...