「スニーカー通勤」で注目すべきは色?それともデザイン?“アリ”な条件を徹底解剖!

【2025年春のファッション特集 #4】

ここ数年で急速に広がった「スニーカー通勤」。リモートワークの浸透やビジネスカジュアルの定着により、これまでフォーマル寄りだったオフィススタイルにも、徐々に柔軟さが求められるようになってきました。革靴に代わる選択肢として、動きやすく快適なスニーカーを取り入れる人が増える一方で、「どこまでがOK?」と悩む声も少なくありません。

スニーカーと一口に言っても、スタイリッシュなものからスポーティ、カラフルなデザインまでその幅は多彩。では、ビジネスの場で“アリ”とされるスニーカーには、どんな共通点があるのでしょうか?今回は、「ビジネススニーカー」を選ぶ際に押さえておきたいポイントを整理してみます。

執筆・監修/宇田川 雄一
ファッション&モノ情報誌で活躍するスタイリスト。ビジネスからアウトドア、インテリアまで守備範囲が広い。ウェアを始めバッグや靴、雑貨に至るまで最新トレンドを把握

◾️スニーカーでも好印象。「きちんと×カジュアル」の“黄金比”とは

▲ジャケット 1万6990円、パンツ 1万1990円/アンフィーロ(オンワード樫山)、カットソー 2290円/ジーユー(ジーユー)、バッグ 1万6500円/インケース(インケースカスタマーサポート)

ビジカジスタイルをおしゃれに見せるには、「きちんと感」と「ラフさ」のちょうどいいバランスがポイント。

ちなみに、スーツに革靴を合わせるようになったのは19世紀のイギリスがはじまり。当時は、身だしなみや階級意識の象徴として革靴が根付き、やがて「信頼感を与える大人の靴」として定着していきました。

こうした背景を踏まえると、現代の“スニーカー通勤”も、ただラクだから、おしゃれだからという理由だけでなく、きちんと見せる工夫が求められてくるのも納得です。そこでカギとなるのが、「カラー」「デザイン」「素材感」の3つのポイントです。

【ポイント1】好印象の鍵は「色」にあり。選ぶならモノトーン&ニュートラルカラーがベター

まず意識したいのが「カラー」。基本は、黒・白・グレー・ネイビーといった落ち着いたトーンを選ぶのが正解です。スーツやジャケパンなど、ビジネス定番の装いにもすっと馴染み、全体をスマートに引き締めてくれます。

一方、ビビッドなカラーリングや目立つロゴが入ったタイプは、カジュアル感が強くなりすぎることも。TPOに合わせて、控えめでシックな色合いを選ぶのが、大人の足元にふさわしい一歩です。

▲スニーカー 3万5200円/ヨーク(HEMT PR)

中でも黒は、もともとフォーマルな場にふさわしいカラーとして定着しており、スーツやジャケットとの相性も抜群。革靴に多く使われていることからもわかるように、“黒”というだけで自然と落ち着いた印象にまとまります。

スニーカーでもカジュアルに見えすぎず、全体を引き締めて見せてくれるのが特徴。加えて、清潔感や信頼感を与えられるうえ、汚れが目立ちにくいという実用面でも優秀です。“迷ったときは黒を選べば間違いなし”そんな安心感と万能さを兼ね備えた一足です。

▲スニーカー 3万8500円/ヨーク(HEMT PR)

カジュアルスタイルの定番である白スニーカーは、ビジネスウェアにもすっとなじむ使い勝手のよい一足。クリーンな印象を与え、足元から好感度を高めてくれます。スタイリングにほどよい抜け感を加えることで、軽やかで若々しい雰囲気に仕上がるのも魅力のひとつ。

ネイビーやグレーなどのベーシックカラーとも相性が良く、かたくなりがちな着こなしに柔らかさをプラスしてくれます。さらに、革靴では出しづらい軽快なムードを演出できるのも嬉しいところ。ただし、白は汚れが目立ちやすいため、日々のケアで清潔感をキープすることが大切です。

▲スタイリスト私物

ビジネススニーカーが定着した今、すでに白や黒を取り入れている方も多いはず。そんな中、次なる選択肢として注目されているのが「グレー」です。

主張しすぎず、どこか洗練された印象を与えるグレーは、スーツやジャケパンとも相性抜群。白ほどカジュアルにならず、黒よりも軽やかという、ちょうどいいバランス感が魅力です。絶妙なトーンが大人の足元にこなれ感を添えてくれるので、仕事終わりに会食やプライベートの予定がある日にもぴったり。周囲と差をつけたいときこそ、グレースニーカーを選んでみてはいかがでしょうか。

【ポイント2】シンプルなデザインが好印象をつくる

次に意識したいのが「デザイン」です。ビジネススタイルに取り入れるなら、過度な装飾は避け、主張の少ないシンプルなモデルを選ぶのが基本です。

中でもおすすめなのが、「ローテクスニーカー」と呼ばれるコート系デザイン。無駄のないフォルムは、落ち着いた印象と今っぽさをほどよく両立でき、ビジネスカジュアルとの相性も抜群です。

また、履き心地を重視したい人には、クラシックなランニングスニーカーもおすすめ。シャープなシルエットで程よく抜け感があり、ジャケットやスラックスとも自然に馴染みます。

▲スニーカー 4万4000円/ヨーク(HEMT PR)

一方で気をつけたいのが、「ハイテク感の強いスニーカー」や「ボリュームのあるスニーカー」です。ファッション性が高くおしゃれに見える反面、ビジネスシーンでは派手すぎる印象を与えてしまうこともあります。

ビジネススタイルで大切なのは、足元で目立つことではなく、“信頼感”を演出すること。シンプルで控えめなデザインを選ぶことで、安心感や誠実さが伝わり、相手との信頼関係にもつながります。控えめながら洗練された足元は、スタイリング全体の印象を引き締め、好感度の高いビジネスカジュアルを完成させてくれるはずです。

【ポイント3】足元に“品”を足すなら素材で差をつける

最後に意識したいのが「素材」です。基本はレザーや合皮など、上品さを感じさせるものがおすすめ。ジャケットやスラックスとも相性が良く、足元から全体の印象を引き締めてくれます。

また最近では、高機能なセットアップと相性の良い“テック素材”にも注目が集まっています。見た目にクリーンさがあり、通気性や軽量性などの機能性も備えているため、快適さを重視する人にはぴったりです。

一方で、キャンバス地のようなコットン素材はラフな印象が強くなりすぎるため、ビジネスシーンでは避けたほうが無難。迷ったときは「足元に品を足す」感覚で素材を選ぶと失敗しにくいでしょう。

■「スニーカー通勤」で最初に選ぶべき一足はこれ!オフィスに馴染むおすすめモデル6選

動きやすさと快適さはもちろん、きれいめな印象もキープできる“通勤OK”なスニーカーを厳選。スニーカー通勤デビューを考えている人にも安心な、バランスの取れた一足がきっと見つかるはず!

【アイテム1】迷ったらまず試したい一足。雨にも強い黒の「スタンスミス」

adidas Originals(アディダス オリジナルス)
「スタンスミス GORE-TEX」(1万7600円)

▲カラーは写真のCore Blackの他、Cloud Whiteの2色展開

ビジネススニーカー選びに迷ったら、まず試してほしいのが、アディダス オリジナルスの名作「スタンスミス」。1970年代の登場以来、時代を超えて愛され続けてきた理由は、タイムレスなデザインと快適な履き心地にあります。

つま先に無駄な装飾がないミニマルなルックスは、スーツやジャケパンとも好相性。ビジネスシーンでも自然になじみます。さらに、ゴアテックス仕様のモデルなら雨の日も安心。機能性と上品さを兼ね備え、オン・オフ問わず活躍してくれる一足です。

スタイル、快適さ、実用性──そのすべてを備えた「スタンスミス」は、ビジネススニーカーデビューにも最適です。

>> adidas Originals

【アイテム2】革靴に見えて実はスニーカー。今年の本命“ドレスニ”はこれ

YOAK(ヨーク)
「DERBY」(4万5100円)

▲カラーは写真のBLACKのみ

YOAK(ヨーク)は、ミニマルで上質、そして程よくエッジの効いたデザインが魅力の東京発スニーカーブランド。都会的な日常にすっとなじみ、オン・オフ問わず活躍するプロダクトを展開しています。

なかでも注目なのが、スニーカーブランドが手がける“革靴顔”のドレススニーカー。YOAKの「DERBY」は、定番のダービーシューズを艶のある牛革と厚底のビブラムソールで再構築した一足です。

ブラックのアッパーは、ジャケットやセットアップにもマッチし、ビジネスにも街にも自然になじみます。約6cmの厚底ソールは、足元にボリュームをもたらすだけでなく、グリップ性も高く雨の日も安心。さらに、足をやさしく包み込む豚革のインソールと低反発フォームが、快適な履き心地を実現しています。

>> YOAK

【アイテム3】クラシカル顔なのに疲れない。Onが手がけた“大人の新定番”

On(オン)
「THE ROGER Clubhouse」(1万6500円)

▲カラーは写真のWhite | Ivoryの他、White | Evergreen、White | Midnightの3色展開

Onの「THE ROGER Clubhouse」は、クラシックなテニスシューズのデザインに最新テクノロジーを融合した一足。内蔵されたCloudTecとSpeedboardにより、長時間履いても疲れにくい快適な履き心地を実現しています。

同ブランドの「Cloud」も、スタイリッシュなビジカジ向けスニーカーとして人気ですが、スポーティで個性的なデザインのため、コーディネートにはやや慣れが必要です。その点、「THE ROGER」はタイムレスなシルエットと上質なディテールで、スーツやジャケパンにも違和感なくマッチ。履くだけで上品さと清潔感を演出でき、誰でも取り入れやすい万能スニーカーです。

>> On

【アイテム4】抜け感×上品さ。都会派ビジカジに効く一足

CLAE(クレイ)
「ジョシュア」(2万6400円)

▲カラーは写真のホワイトネイビーの他、ホワイト、ブラック、ブラックベージュの4色展開

2001年にロサンゼルスで誕生したCLAE(クレイ)は、上質でエコフレンドリーな素材を使用し、控えめで洗練されたスニーカーを展開するライフスタイルフットウェアブランド。派手な装飾を避けたミニマルなデザインが特徴で、レトロなランニングスタイルをベースにした端正なシルエットは、スラックスやジャケットとも自然にマッチします。

「真っ白だと学生っぽく見えてしまう…」と感じる人には、ネイビーやグレーなどを組み合わせたコンビカラーがおすすめ。落ち着いた印象と奥行きのある表情を足元に添えてくれます。

さらに、通気性の高いリサイクルメッシュ素材と安定感のあるソール構造により、長時間の移動や外回りも快適。都市生活にフィットし、ビジネスカジュアルにもすんなり溶け込む一足です。

>> CLAE

【アイテム5】「ちょうどいい」を極めた一足。機能美で魅せる日常スニーカー

MOONSTAR(ムーンスター)
「810s STUDEN」(7700円)

▲カラーは写真のSILVER/GRAYの他、DARKBLUE、CHARCOALの3色展開

“8/10=腹八分目”の考え方から名付けられた「810s(エイトテンス)」は、過不足のない心地よさを追求するシューズライン。プロユースで培った機能性を日常に落とし込んだ、無駄のないデザインが魅力です。

「STUDEN(スチューデン)」は、かつて学校用の運動靴として使われていたモデルをベースに、ヒールカウンターによるかかとのサポートや、視認性に配慮したリフレクターを搭載。現代の街に合うよう、洗練されたシルエットに再構築されています。

シンプルでありながら存在感のあるフォルムは、ジャケットやスラックスにもなじみやすく、ビジネスカジュアルとの相性も抜群。さりげない上品さと歩きやすさを兼ね備えた一足です。

>> MOONSTAR

【アイテム6】悪天候も長時間移動もOK。アシックスの機能派スニーカー

ASICS WALKING(アシックスウォーキング)
「ゲルライドウォーク GORE-TEX」(2万2000円)

▲カラーは写真のダークグレーの他、ライトグレーの2色展開

こちらは、外回りの多いビジネスパーソンや、日常的に歩く機会が多い人にぴったりの一足。

足への負担を軽減する構造と、歩行をサポートする安定設計により、長時間の移動でも快適に過ごせます。さらに、防水透湿性に優れたゴアテックスが、悪天候の日でも足元をドライにキープ。アッパーには耐水性と耐久性を備えたリップストップ素材を採用し、上質でミニマルな印象に仕上がっています。

品のあるダークグレーは、ブラック感覚で使える汎用性の高さに加え、重くなりすぎない抜け感も魅力。雨の日も晴れの日も、快適さと洗練を兼ね備えた足元を演出してくれます。

>> ASICS WALKING

*  *  *

革靴と比べたスニーカーの魅力は、なんといっても“ラク”なこと。足が疲れにくくなる分、仕事中の集中力もキープしやすくなります。ただし、快適さだけを重視して適当に選ぶのではなく、細部まで意識して取り入れることが大切です。

「ファッションは足元から」と言われるように、靴はスタイル全体の印象を左右する重要なパーツ。だからこそ、ビジネススニーカーを上手に活用して、自分らしい“セルフプロデュース”を強化してみてはいかがでしょうか?

>> 2025年春のファッション特集

<メイン写真/田中利幸>

 

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