今年2月に発売されたパナソニックのデジカメ「LUMIX DC-TZ99」(実勢価格:6万4000円前後)。いわゆるコンパクトデジカメ(コンデジ)の最新モデルになります。
最近発売されるカメラのほとんどはレンズ交換式の一眼カメラ。そんななか、少々異彩を放つ「TZ99」の存在。でも思い返してみると、ひと昔前は多くの人がレンズ一体型の小さなデジカメを持っていました。スマホのカメラが今のように高性能になる前の話ですね。
ちょっと気になって「TZ99」の商品サイトを見てみると、“旅先の思い出をキレイに残せる。”と書いてありました。ふむふむ、旅のおともにコンデジって懐かしいかも。ちょうどベトナム・ハノイに行く予定があったので、その時に連れて行き、ひさびさのコンデジを試してみることにしました。
■あえて何も設定せずに撮影
パナソニックから借りた実機が届き、手にした第一印象は「結構大きい」。サイズは約幅112.0×高さ67.8×奥行き43.1mm(突起部を除く)で、SDカードとバッテリーを含む重さは約322gです。
▲そこそこ重量級だった
ズシリとくる重さと、厚さは予想外でした。iPhone 16の倍近い重さで、塊感があります。
とはいえ、よく考えたら光学30倍ズーム。だから厚さは致し方なし。
▲電源を入れるとレンズが自動的に出てくる。全体の奥行きは実測約75mm。電源オンの時は常にレンズが出ている状態になる
▲最大望遠の720mm(35mm換算)にすると奥行き約100mmまで伸びる
レンズがボディに格納される沈胴式、かつ30倍ズームとなると、どうしてもこうなります。が、これはなかなかの存在感。
そして、街ブラしながらスナップ撮影となると、ハンドストラップはあったほうがいいかも。ということで、手元に余っていたものを取り付けました(付属品にもハンドストラップがあります)。
▲少々大きめだが、カメラ全体をちょうど握れるいいサイズ感
街をぷらぷらしている時に、手首に掛けてぶら下げておけば、撮りたい時にすぐに撮れます。カバンの中にしまう際もジャマになりません。一眼カメラだとさすがにこうはいきません。
ちなみに背面モニターは縦に180度回転するタイプ。
▲広角24mm(35mm換算)はかなり広く撮れるので、手持ち自撮りでも背景はしっかり写る
自撮りや、同行者と自分を一緒に撮りたい、なんて時に便利です。が、今回は使いませんでした。だって、おっさんひとりで自撮りしてもしゃーないもの(笑)。
▲モバイルバッテリーからも給電できるUSB Type-C端子付き
ということで、ハノイの旧市街をプラプラした時に撮った作例をずらっと掲載してみます。作例はすべて、プログラムオートモードで何の設定もせず、画像サイズはS。掲載しているものはすべてJPEG撮影しリサイズだけしたものになります。一切補正してません。
撮影時に触ったボタンは「電源」「ズーム」「シャッター」の3つだけ。でもこの気軽さが思いの外、良かったんですよ。
■ハノイ旧市街スナップ
▲フランス人街の中心に建つオペラハウスをかなり遠めから望遠で
▲旧市街のランドマークのひとつ、ハノイ大教会(セント・ジョセフ教会)
▲教会中央の十字架の右上角を最大ズームで撮影。画像のデータを確認すると光学+デジタルで焦点距離2133mm(35mm換算)となっている。これだけ寄っても粗くならず壁の素材感がわかる
▲ライトアップされた夜の大教会。夜景モードなども使わず手持ちで撮影。ISO1600で絞りは開放のF3.3、シャッタースピードは1/10だからブレちゃいました…
あくまで素人が、何も考えず、何も設定せずにシャッターを切っただけの写真ですが、案外良く撮れてるなって自分で自分を褒めてやりたいです。いや、カメラのおかげなんですが(笑)。
▲早朝の旧市街
あらためて見てみると、LEICA DCレンズと高感度センサーの恩恵は大きいなと感じます。晴れた日の明暗差が大きい場所や、曇りの日の建物のディテールなど、素人ながらに空気感を切り取れているのではないかと思ったり。
▲ロンビエン橋
▲橋のたもとにあるロンビエン駅
そして最大のメリットが一眼カメラとも、そしてスマホとも違う、カメラを構える時の感覚です。
一眼の場合、「よし写真撮るぞ」と心も体も撮影モードになります(そしてあわよくば良い写真を撮ってやろうとか下心が出たり)。一方、コンデジの場合、もっと気軽な感覚です。
「あ、この風景いいな」と思ったら電源ボタンを押し、カメラを顔の前に持ち上げてさっとシャッターを押す。「いいな」と思ったその気持ちがなくならないうちに、そして雑念が湧かないうちに撮影し終えている気がします。
スマホの場合は、コンデジよりさらに気軽ではありますが、むしろその気軽さゆえに、街のスナップだと“記録”として撮っちゃうような気がします。そして撮ったらすぐにSNSにアップしたりとか。
「TZ99」もBluetoothでスマホに簡単に転送できるから、SNSにアップするのも簡単です。でもね、そんなのあとでいいよなって思うんです。撮りたいと感じた景色を感じているうちに切り取って保存する。その時はそれだけ。1日ぷらぷら巡り歩いて、宿に戻って夜、寝る前に、カメラのモニターで確認してみたり、帰宅後に「どんな写真撮ったっけな」と振り返ってみたり。その、ちょっとした距離感がいいなと感じたんです。
せっかく旅に出たんなら、カメラで良い写真を撮ろうなんてことは考えず、自分の五感でその土地ならではの音や空気感を味わう。コンデジは、そういった体験をちょっぴり補うツールとして使う。このジャマにならなさ具合がいい。
もちろんスナップシューターと呼ばれる単焦点のコンデジもアリですが、旅先でどんな写真が撮りたいかなんてわからないから、スマホじゃ無理な30倍ズームがあるってもの、備えあれば憂いなしです。
あくまで素人が思うがままにシャッターを切っただけの写真なので、技術的なことはご勘弁を。でも帰国して見てみたら、その時の蒸し暑い空気とかクラクションの音とかが自分の中で蘇ってくる。それで十分だなと、今はそう感じています。
<取材・文/円道秀和(&GP)>
円道秀和|&GP編集部所属。担当ジャンルはITデジタル、オーディオビジュアル、ホビー他。好きなものはコーヒー、旅行、キャンプ、乗り物全般、カレー、ラーメン、アジア料理、小さいギア。好きが高じてSCAJコーヒーマイスターの資格を取得。
【関連記事】
◆頑張らず、軽やかに旅したい人に「キャビンゼロ」という選択肢はアリ
◆プロ並みの本格的画像&動画も撮影可能!アツすぎる「高級コンデジ」3選【“旬モノ”BEST BUY大捜査】
◆1億200万画素! レンズ一体型! 実勢価格80万円超! 富士フイルムが「GFX100RF」でディテールにこだわりまくる理由
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/677078/
- Source:&GP
- Author:&GP
Amazonベストセラー
Now loading...