人気のミニに、走りが一段と楽しい「ジョン・クーパー・ワークス」(JCW)なる仕様が追加されました。3ドアとコンバーチブルに設定。2024年10月に発売されて、そろそろ納車が始まる頃。25年5月に英国でひと足お先に乗りました。
■新型は3ドアとコンバーチブル
▲ブラックアウトされた大型グリル、ボンネットストライプ、各所への赤の挿し色などがJCWモデルの特徴
ミニといえば、誰もがすぐ思い浮かべるのはミニ・クーパー。本来は、1959年に登場したオリジナル・ミニをベースに、レーシングカー設計者ジョン・クーパーがレースやラリーでも戦えるスポーツ仕様に仕立てたのがミニ・クーパー、あるいはクーパー・ミニであります。
そのミニ・クーパーの出来の良さに、当時ミニを作っていたBMC(のちにローバーになります)が市販車バージョンとしてラインナップに追加したのが61年。以来、世界中でミニといえばミニ・クーパーとまで定着しました。
今のミニでも、ある時期に名称が変更されています。ベースモデルも、たんなる「ミニ」から「ミニ・クーパー」へと変わりました。現在のラインナップでは「ミニ・クーパー3ドア」「ミニ・クーパー5ドア」「ミニ・クーパー・コンバーチブル」という具合。
■JCWの名にふさわしい、見事な加速と操縦性
ジョン・クーパー・ワークスは、F1マシンにミドシップレイアウトをもちこんで革命を起こしたジョン・クーパーの衣鉢を継いで、息子と孫が起こしたレーシングファクトリー。さまざまなレースで、ミニで戦ってクラス優勝など好成績を残しています。
今回は冒頭で触れたとおり、ジョン・クーパー・ワークスの名が象徴するスポーツイメージを盛り込んだミニの新型車が2モデル登場。3ドアの「ミニ・ジョン・クーパー・ワークス」(以下ミニJCW)とフルオープンの「ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・コンバーチブル」(同ミニJCWコンバーチブル)です。
どちらのモデルも、1998cc4気筒ガソリンエンジン搭載。どれだけパワーが上がったかというと、「ミニ・クーパーS」が150kWの最高出力と300Nmの最大トルクであるのに対して、ミニJCWは170kWと380Nmとなっています。
体感的な速さもたいしたもの。私は英国の湖水地方近くの道をあれこれ、2台のJCWモデルで走りました。ひとことでいうと、活力があふれていて、ドライブしているこちらまで元気になる楽しさです。
2台とも2495mmのホイールベースは同一。車重が80kgほど思いJCWコンバーチブル(それでも1430kgと比較的軽め)のほうが、自動車専用道ではよりしっとりした印象です。一方、ドライブモードで「ゴーカートモード」を選ぶと、ジョン・クーパーの名から期待するとおりの走りを堪能させてくれます。
▲ゴーカート・モードを選ぶと瞬間パワーとトルクを表示させることも可能
オリジナル・ミニ(いまのミニのスタッフはクラシック・ミニと呼んでいます)のようにトグルスイッチを使うのも、うれしい遊び心。それでゴーカート・モードを選ぶと、楽しい効果音とともに、中央の円形モニターがぱっと変化。ドライバーのやる気を鼓舞する、スポーツムードに溢れた表示になります。
■開放的なコンバーチブルで走る気持ち良さ
アクセルペダルの踏み込みに敏感で、かつステアリングホイールを動かしたときの反応はクイック。開発者が「ジョン・クーパー・ワークスでもっとも大切にした部分」という、くいくいっとカーブを曲がっていく感覚に、おみごと、とうれしくなりました。
しかも、というか、たんに速く走るだけでなく、JCWコンバーチブルは爽快感も抜群です。ミニのコンバーチブルのいいところは、前席の頭上40cmだけ開けられるサンルーフモードをそなえていることと、フルオープンにしたときの大きな開放感にあります。
世のなかには、オープンではあるものの、乗員の頭上までウインドシールドが達していて、風の巻き込みを極力抑えているクルマも存在します。そこはブランドの考え方によるものですが、ミニの場合は、どうせオープンで走るなら風に当たったほうが気持ちいいんじゃないって、いい感じのコンセプトが感じられます。
ウインドシールドは立ちぎみで、かつ上下幅は短めなので、運転席からちょっと視線を上に上げると空が見えます。初夏の英国のカントリーロードには最適なクルマでした。もちろん、日本にだって、いい道はいっぱいあります。風の巻き込みを抑えたいときは、サイドウインドウを上げてしまえばいいし、ウインドディフレクターも装備されています。
▲赤ストライプとチェッカーフラッグをイメージしたアイコンを備えた専用シートは座り心地もよく疲れにくい
車内の居心地もよく、ミニOS9なるコクピットOSで動くインフォテイメントシステムを使いこなすのも、オーナーのたのしみでしょう。隠しコマンドも用意されていて、憎い演出がそこかしこにあります。
価格は、「ミニ・ジョン・クーパー・ワークス」が536万円、「ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・コンバーチブル」が585万円。楽しい相棒になりそうなクルマです。
【Specifications】
Mini John Cooper Works(カッコ内はConvertible)
全長×全幅×全高:3876×1744×1452(3880×1795×1435)mm
ホイールベース:2495mm
エンジン:1998cc4気筒
駆動:前輪駆動
最高出力:170kW
最大トルク:380Nm
7段デュアルクラッチ変速機
乗車定員:4名
価格:536(585)万円
>> MINI
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/678851/
- Source:&GP
- Author:&GP
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