カーキットは光沢が大事!せっせとクリアー塗装&研ぎ出し【達人のプラモ術<ルノー5ターボ ラリー仕様>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/24 ルノー5ターボ ラリー仕様」
03/04

前回、ボディのデカール貼りが完了しました。1980年代のラリーマシンらしいグラフィックが良い感じです。今回はデカールの保護、そしてボディの光沢アップのためのクリアー塗装、そして3日間乾燥させています。今回はボディの光沢アップのためのクリアー塗装、さらに仕上げの砥ぎ出し作業、そして内装の塗装と工作を進めました。(全4回の3回目/1回目2回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■クリアーはエアブラシで塗装

さて、デカール貼りが完了したボディを光沢を出すためにクリアーを使ったオーバーコート塗装を進めます。

今回は塗料の入手しやすさ、扱いやすさを考慮してタミヤラッカー塗料LP-9クリアーを使用エアブラシで塗装しています。

エアブラシを使った光沢塗装において大事なのが塗料の希釈です。塗料が濃いと、ゆず肌になってしまい綺麗な光沢は出せません。

クリアーの希釈率はメーカーによって異なります。今回使用しているタミヤラッカー塗料の場合、塗料1に対して溶剤1に希釈して使用(エアブラシの口径0.3mm)しています。

希釈したクリアーでいきなり光沢を出そうと厚吹きすると塗料が垂れてしまうので、2回ほど砂吹き(吹き付けの際、距離を離すことで塗装面をざらつかせる)で、まず下地を作ります。

この状態で1時間ほど乾燥させて、光沢を出すための本塗装を行います。本塗装はボディが濡れてテカって見えるようにボディ全体に一気にクリアーを吹き付けていきます。

達人の場合、エアブラシをボディから5cm前後の近い距離で吹き付けるというよりも、塗料を浴びせるといった感じでイッキにクリアーをボディ全体にのせていきます。

こうすることで吹き付けたクリアーがボディ表面でジワリと伸びて均一でキレイな光沢塗膜が作れます。

塗装は吹き付け→乾燥(常温で1時間前後)を2回重ねています。塗装が完了したボディは最低でも1日以上乾燥させます(←これ大事)。

▲クリアーの砂吹き。エアブラシは20cmほど離して、あえて塗装面をザラつくように吹き付けていく(厚吹きはNG、ボディ表面にクリアーをふわりと乗せる感覚で吹き付ける)

▲砂吹きしたボディ。あえて塗膜をザラつかせることで凹凸を作り、この後のクリアーの本吹きで食いつきが良くなり塗料が垂れるのを防いでくれる。砂吹きは2回重ねている

▲クリアーでの本塗装1回目が完了したボディ。1時間ほど乾燥させて2回目を吹く

▲クリアー塗装を完了させたボディ。良い感じの光沢が出た。この状態で24時間以上乾燥(塗膜内の溶剤をとばす)をさせる。今回は時短のために乾燥ブースで24時間乾燥

▲「タミヤカラー ラッカー塗料 LP-9 クリアー」(220円)

▼タミヤ 基礎からのプラモデル講座【磨き編】

 

■より光沢を求めてボディの研ぎ出し

以前製作したポルシェ935マルティーニでも紹介していますが、今回ルノーサンクでもボディの砥ぎ出しを行うことで、均一かつキレイなボディの仕上げを目指します。

希釈したクリアーで塗装した塗装面を見ると、光沢は出ているものの塗膜が微妙に波打っているのが分かります。これを砥ぎ出しすることで均一なクリアーの塗装面に仕上げていきます。

しっかり乾燥させたボディを砥ぎ出していきます。乾燥が不十分だと、研ぎ出しの際にボディカラーの塗装面やデカールまで削ってしまうというトラブルの原因になるので要注意です。

砥ぎ出しを行うことで、クリアー塗膜を均一仕上げる、そしてデカールの厚みで生じる塗装面の段差も平滑に仕上げられます。

 

■新製品の布ヤスリを使用

今回、砥ぎ出しはタミヤから先日発売された布ヤスリ(本物のクルマ塗装でも使用されているコバックス製の研磨シート)を使用しました。使用したのは布ヤスリ2000番と3000番の2種類です。

達人的には以前からコバックス製の研磨シート(スーパーバフレックス)を使用していたのですが、タミヤメイクアップ材としてから発売されたことで入手しやすくなりました。カーモデラー製作にはお勧めの研磨アイテムです。

▼タミヤ布ヤスリ

▲#2000(グリーン)

▲#3000(グレー)

柔軟性に優れた布をベースとしているため複雑な三次曲面にも使いやすい布ヤスリ。研磨粒子の目が揃っていることに加えて、折れ目が付きにくく、空研ぎ、水研ぎ両方に対応。耐久性にも優れている。研磨面にスクラッチ傷が付きにくく空研ぎ、水研ぎ両方に対応。番手によって色分けされているのもポイント。サイズ170mm×130mm。各440円

▲研ぎ出しに際しては、凸部分に力がかかるといったトラブルを防ぐためボディの凸部分(矢印の部分)を細切りのマスキングテープでカバーしておく

▲ボディのサイドシル付け根やバンパー部分は形状的に研磨しにくい。そこで竹串に小さくカットした布ヤスリを巻き付けることで作業がやりやすい

▲布ヤスリの2000番を使い。ボディのクリア面を丁重に砥ぎ出していく

▲より目が細かい3000番で研磨(水砥ぎ推奨)してクリアーの塗装面を平滑に仕上げていく

▲クリアーでのオーバーコート塗装は光沢を出すことはできるが、そのままではデカールの厚み分、塗膜に段差が生じてしまう。砥ぎ出しを行うことでデカールの段差も消して、均一なクリアーの塗装面に仕上げられるが、研磨の際にデカールまで削ってしまうことがあるので、砥ぎ出し作業には細心の注意が必要だ

 

■コンパウンドでの仕上げ

2000番と3000番布ヤスリで砥ぎ出したあと、ボディを水洗いして研磨カスを洗い落し、今度はコンパンウンドを使って仕上げていきます。使用したのはタミヤコンパウンド仕上げ用とハセガワ製セラミックコンパウンドです。

▲コンパウンドで研磨後、コーティングポリマーで仕上げていく

▲ボディの研ぎ出し完了!

▲タミヤコンパウンド(仕上げ用)とハセガワ製セラミックコンパウンドで研ぎ出しの仕上げをしたボディ

▲研ぎ出し完了後に、ボンネットのルーバーを半艶の黒で塗装

▲「タミヤコンパウンド(仕上げ用)」(715円) プラスチックモデル用に開発されたペーストタイプのコンパウンド。粒子が非常に小さく均一な研磨材を使用しており、みがき傷を残さずに深いツヤのある鏡面仕上げができる。研磨後に残ったコンパウンドは水で洗い流せる

 

▲ハセガワ「セラミックコンパウンド」(1320円)セラミック超微粒子を使用した研磨用コンパウンド。 削りカスがほとんど出ない。 光沢塗装面の仕上げや透明プラスチックの研磨に適している

 

▲ハセガワ「コーティングポリマー」(1320円) 塗装面に塗布することで表面に薄いコーティング層を形成、光沢もアップする。塗り重ねることで光沢アップ。研磨傷なども目立たなくなる。クリアパーツの透明感アップにも効果があり擦り傷なども目立たなくなる

 

■インテリアの製作

インテリアは、ノーマルシートをバケットシートに変更(タミヤ・カストロールスープラより流用)し、同じくノーマル仕様のステアリングもスープラのMoMoタイプのステアリングに変更しました。シートは改造せずピタリと取り付けられます。シートはドライバーシートが赤、コドライバー側が青となります。

またキットの指定ではメーターコンソールは黒となっていますが、写真を見る限りガンメタに近い色のようなので、それらしい色で塗装しています。

元がモーターライズキットなので、シート後部がシンプルな作りのカバー(電池ボックスとモーターを隠すため)で再現されていますが、ロールバーも再現されており、ボディを被せてしまえばあまり見えないので省略も気になりません。

▲左側がキット付属のシート(ノーマルのルノーサンクのシート)、右側がスープラからトレードしたバケットシート。交換するとラリーカーらしい雰囲気が大幅アップ

▲塗装したバケットシートを取り付けた状態。改造なしで装着できるのはありがたい

▲キット付属のドライバーフィギュアを仮組みしてみた。腰回りを若干削るだけでスープラのシートにすんなりと収まってくれる。ただしメーターコンソールとハンドルを先に取り付けてしまうとドライバーを乗せられなくなるので、一旦取り外している

▲ドアの内張りは赤×オレンジ×黒で塗り分けて、ボディ側に接着しておく。シートともども半艶で仕上げておく

 

■ルノー5ターボ ラリー仕様、次回完成!

以上、今回はここまで。ボディは研ぎ出しにより、良い感じの光沢仕上げとなりました。

残すはドライバーフィギュアの塗装、バックミラーなどのパーツを取り付け、そしてどうしても気になった車高(タイヤとホイールアーチの隙間)を調整して完成を目指します。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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