サムスンが折りたたみスマホの最新モデル「Galaxy Z Fold7」と「Galaxy Z Flip7」を発表。どちらも8月1日に発売されます。ドコモ、au、ソフトバンクが取り扱うほか、サムスン直販モデルも同日に発売されます。発売に先駆けてサムスン電子ジャパンから端末を借りて試用できたので、率直な使用感をレビューしつつ、特徴を紹介していきます。
■閉じた状態でフツーのスマホのように使える「Galaxy Z Fold7」
Galaxy Z Fold7は横開きタイプの折りたたみスマホ。折りたたんだ状態で6.5インチのディスプレイを利用でき、開くと8.0インチの広いスクリーンを使える趣向。
▲閉じた状態でも6.5インチのディスプレイを利用できる
▲開くと8.0インチの大画面を利用可能。地図やドキュメントの見やすさがグンと向上する
▲3つのアプリを分割表示して、さらにもう1つのアプリをフローティング表示させることもできる
今回の最大のトピックは “薄い” こと。折りたたみ時の厚さは8.9mm。前モデルのFold6(12.1mm)から3.2mmも薄くなり、手にした印象はほぼフツーのスマホと同等に。開いた状態での厚さは前モデルから1.4mm薄くなって4.2mmに。SIMスロットやUSB接続口を搭載できるギリギリの細さに達したという印象。薄くなった分、若干開けにくくなったように感じましたが、2日ほど使っていると慣れました。ですが、閉じた状態での使用感が非常にいいので、従来モデルに比べると開く回数が少なくなるかもしれません。
▲折りたたんだ状態での薄さは、わずか8.9mm
▲USB Type-Cポートやスピーカーをギリギリ搭載できる細さだ
▲開いたときの印象は “極薄タブレット”
▲上からiPhone 16 Pro(厚さ8.25mm)、Galaxy Z Fold 7(厚さ8.9mm)、Google Pixel 9 Pro XL(厚さ8.5mm)。折りたたんでも一般的なスマホより、わずかかに厚い程度
薄型化は主にヒンジの改良によって実現。具体的には、従来は一体化していたディスプレイの支持部と回転部が分離され、回転に必要な空間を小さくしたとのこと。サムスンは「Armor FlexHinge」と呼んでいます。折り曲がる部分は従来通り、緩やかに曲がるので、折り目は気にならず、耐久性も確保されています。
▲新たに開発された「Armor FlexHinge」によって薄型化を実現
ただし、薄型化とのトレードオフとして、従来モデルで対応していたSペンは非対応に。また、従来はメインディスプレイの下に目立たぬように搭載されていたインカメラがパンチホール型に変更されています。薄さを最優先したディスプレイ仕様になっているためです。
■2億画素カメラを搭載し、カメラ性能もトップクラスに
アウトカメラは広角(2億画素)+超広角(1200万画素)+望遠3倍(1000万画素)という構成。広角カメラは前モデルの5000万画素から2億画素へと進化し、特に暗い場所での撮影性能が進化しているとのこと。
▲2億画素をメインとする3眼カメラを搭載
実際にいろいろな被写体を撮影してみたところ、ナチュラルな色合いで写りました。最近のスマホは夜景が明るく写りすぎる傾向がありますが、 Fold7は暗い部分はちゃんと暗く、夜らしい雰囲気を生かした写真が仕上がります。
▲超広角(0.6倍)で撮影。ナチュラルかつ鮮やかな色で写る
▲広角(1倍)で撮影。デフォルトでは1200万画素で記録される
▲広角(2倍)で撮影。光学2倍ズーム相当のクッキリとした画質で撮影できる
▲望遠(3倍)で撮影。広角カメラとさほど変わらない色調で写った
▲デジタルズームは最大30倍。そんなに画質は粗くならない
▲夜景もバランスのよい明るさで撮影できる
なお、端末を開くと、高性能なアウトカメラで自撮りができることも折りたたみスマホの利点です。
Galaxyは昨年来、クラウドとオンデバイスのハイブリッドなAI機能「Galaxy AI」に注力しています。前モデルからの進化点としては、自分に最適化した情報が表示される「Now Brief」が利用可能に。また、Googleの「Gemini Live」の利用時に、カメラを起動して画像を共有しながら質問できるようになったのも便利。撮影した動画のノイズを除去できる機能は他のアプリにも拡張され、「ボイスレコーダー」で録音した音声などでも利用できるようになっています。8.0インチの大画面は画像生成や画像編集にも重宝。AI機能を存分に活用したい人には非常に魅力的な端末といえるでしょう。
▲ホーム画面の設定されたウィジェットから起動できる「Now Brief」(左)。「Gemini Live」ではカメラを起動して、共有した画像について質問したりできる(右)
▲ウェブを表示したままで「Gemini」を起動し、内容を要約したりもできる
▲他メーカーを一歩リードする多彩なAI機能を搭載。いずれも無料で利用できる
▲画像編集時に元の画像と並べて表示できるのも便利
ただし、価格はそれなりに高額です。サムスンのオンラインストアでの価格は、12GB+256GBモデルが26万5750円、12GB+512GBは28万3750円、16GB+1TBが32万9320円となっています。各キャリアでの価格は、サムスン直販と同等もしくは若干高いですが、次の機種変更時に返却する端末購入サポートを利用することで、実質的な負担額を抑えられます。
■カバー画面がフルスクリーン化した「Galaxy Z Flip7」
Galaxy Z Flip7は縦開きタイプの折りたたみスマホです。コンパクトに折りたたんで携帯でき、開くとフツーのスマホとして使えます。また、半分まで開いて卓上に置いて動画を見たり、ビデオ通話をしたりできるのも利点。
▲卓上に立てて撮影することも可能。その場合、画面表示が最適される
最新モデルの最大の利点は、折りたたんだ状態で利用できるカバーディスプレイがフルスクリーン化したこと。前モデルのFlip6はカメラ部を避けて、3.4インチの画面を利用できましたが、Flip7のカバーディスプレイは4.1インチで、画面の上にカメラがある形となりました。より多くの情報を表示できることはもちろん、カバーパネル全体に好きな画像を表示でき、より愛着を持って使えるようになったとなっています。
▲カバーディスプレイが4.1インチのフルスクリーンに進化
▲開くと6.9インチの大画面スマホに
▲カバー画面の壁紙はAIで作成することもできる
Fold7と同じくヒンジの改良によって、折りたたみ時の厚さは前モデルの14.9mmから1.2mm薄くなって13.7mmに。開いた状態でも6.9mmから6.5mmへと薄くなっています。ただし、重さは前モデルの187gから1g増えて188gに。しかし、開いた状態で利用できるメインディスプレイが6.7インチから6.9インチと広くなり、バッテリー容量は4000mAhから4300mAhと増えています。にもかかわらず1gしか増えていないのですから、大きな進化と捉えることができるでしょう。
▲折りたたみ時の厚さは13.7mm。隙間なく折りたためる
■しっかりハイエンドだが、Fold7よりはお買い得
Flipシリーズは、コンパクトでかわいい印象から、スペックはそんなに高くないと思われがちですが、実際にはFoldシリーズに近い性能を備えたハイエンドモデルです。Flip7は広角(5000万画素)+超広角(1200万画素)のカメラを搭載し、ハンズフリーでの自撮りも可能。「Galaxy AI」の多彩な機能も使え、「Gemini」は閉じたままでスピーディに起動できます。
▲閉じたままで電源ボタンの長押しで「Gemini」を起動可能。Fold7と同じようにカメラを起動して画像の共有もできる
サムスンのオンラインストアでの価格は、12GB+256GBが16万4800円、12GB+512GBが18万2900円。高いとはいえ、Fold7と比べると割安感があります。各キャリアで端末購入サポートを利用すれば、さらに安く入手することもできます。
筆者はGalaxyの折りたたみスマホは初代モデルから触れて、試用したことがあります。最新のFold7は劇的に薄くなったものの、機能面での進化は小幅になった印象。Flip6もカバー画面の使い勝手は大きく向上していますが、それ以外は正常進化のみという印象。技術進化が落ち着き、「そろそろ折りたたみスマホを使ってみたい」という慎重派の方にも買い時のタイミングが訪れたようです。また、初期のモデルから機種変更すると、多彩なAI機能を含め、使い勝手の向上に驚くこと請け合いです。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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