戦略自衛隊の超兵器「陽電子砲」の製作と塗装【達人のプラモ術<エヴァ初号機“ヤシマ作戦”>】

【達人のプラモ術】
海洋堂
「ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」
03/04

さて今回は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』に登場した、本キットのもうひとつの主役でもある「大出力型第2次試作自走460mm陽電子砲」の製作と塗装を進めます。

テレビ版に比べて圧倒的なディテールが追加された劇場版の陽電子砲は、第5使徒ラミエル(※)との決戦において登場します(テレビ版では「ポジトロンスナイパーライフル」)。戦略自衛隊が極秘試作開発中だったものをNERFが徴用、劇中では赤城博士に「急造品だけど理論上は問題なし」と言われる陽電子砲ですが、これがまた実にメカとして魅力的で、完成すると全長360mmという実にプラモデル映えするメカです。

(※)第5使徒ラミエル
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』に登場する第5使徒。テレビ版では第伍話・第六話に登場。名前の由来は、ユダヤ・キリスト教伝承における「雷」を司り、復活を待つ魂を管理し、幻視を司る天使。正八面体の姿をした使徒で、劇場版では複雑に形態が変化。内部中心にコアを持つ。強力なA.T.フィールドを展開し、一定距離内に侵入した敵を高威力の加粒子砲で攻撃する。

© カラー

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。タミヤ公式YouTubeチャンネルなどでもハウツーレビューを配信中。

 

■陽電子砲はパーツ単位で塗装

キットのエヴァ単体でもカッコ良いのですが、初弾を命中させながらも、ラミエルからの加粒子砲のよる反撃を受けて吹き飛ばされつつ、第2射のために片膝をついて陽電子砲を構えた迫力あるポーズは、実に魅力あふれるものとなっています。本キットの元になっているオリジナルモデルの製作(2016年発表)した谷明氏のセンスに脱帽です。

キットは陽電子砲の複雑なディテールをブロック単位で分割することで再現しています。組み立てにはエヴァ本体同様に接着剤が必要です。塗装も細かい塗り分けが多く、手間がかかるのは事実ですが、パーツ分割は塗装も考慮されたものになっており、塗り分けのマスキングも最小限で済ませられます。陽電砲の各パーツの塗装は、ほんど調色しなくてはいけません。キットの塗装図ではMr.カラーが指定されています。作例では航空機用色をベースに調色、やや彩度を抑えた色調で仕上げています。

▲ブロック単位で組み上げた塗装の前の陽電子砲パーツ。パーツ数はエヴァ本体より多い

▲左右合わせの砲身はパーツの接合線はほとんど目立たないが、丁寧に消しておく

▲陽電子砲の本体。接着剤を使わなくてもパチンとパーツを組み合わせられる

▲仮組み状態の陽電子砲をエヴァ本体と組み合わせてみる。陽電子砲の砲身長が36cmあるので迫力満点

▲組み上げたパーツを個々に塗装していく。塗装は色数も多く、調色も必要となる

▲塗装して仮組みした状態の銃身部分

▲銃身部分と本体を接合する

▲本体下部パーツはライトグレーとイエローで塗り分ける必要がある。イエロー部分は発色を良くさせるため下地に白を塗装しておくこと

▲イエローパーツはまとめて塗装する

▲銃本体とストック部分。シルバーラインの部分はデカールで再現

▲陽電子砲の下部に装備されるクローラー。塗り分けは必要だが、履帯部分は別パーツ化されているので塗装後に組み合わせればOK

▲履帯パーツはランナーについた状態で艶消し黒に塗装。その上からライトガンメタルでドライブラシを入れている

▲クローラーは4基装備される

▲塗装を完了した陽電子砲のパーツ。左上はエヴァ本体に取り付けるの電源ソケットパーツ

 

■陽電子砲を組み上げる

ブロックで塗装したパーツで陽電子砲を組み上げます。パーツの嵌合性も良いので、パチパチと立体パズル感覚で組み上げられます。

ただ、インストの工程40と工程42で組み立てる後部クローラーのアーム部分の説明が分かりにくく、特に基部となるE-25とE-2、E-24とE-3は取り付け角度が決まっているので、仮組みをして位置関係を把握してからの接着をお勧めします。

また前回も書きましたが、トリガーを握るエヴァの右手は陽電子砲のグリップ側に取り付けて接着してください。エヴァ本体に接着してしまうと陽電子砲を持たせられなくなってしまうので要注意です。

▲トリガーを握る右手はグリップを握らせて別パーツ化されている指を接着して固定

▲組み上げがほぼ完了した陽電子砲

▲後部クローラーは本体との連結部部が稼働する

▲組み上がった陽電子砲は、このあと細部のタッチアップ、スミ入れとウエザリングを入れていく

 

■エヴァに陽電子砲を持たせる

組み上げた陽電子砲を、エヴァ本体に持たせてみました。固定は左右の掌に大きめの凸タブが設けられているので、しっかりと固定できるのがありがたいです。手動照準で第2射のために陽電子砲を抱え上げるポーズがばっちり決まります。

▲陽電子砲でラミエルを撃つ!

▲手動小銃照準のため初号機が担ぎ上げたことで、後部のクローラーが浮き上がった状態の陽電子砲。細部まで再現されたディテール。組み上げて分かったのだが、どの角度から見ても劇中の緊迫感を感じ取れる

 

■もう一味追加でエヴァを光らせました

というでワケでエヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”の組み立てと基本塗装が完了しました。このあとスミ入れ、ウエザリングを入れて。展示ベースも製作していきます。

そして組み上げたモデルを眺めながら「いいねぇ〜絵になるねぇ〜」などと思いつつ、もう一味加えたいと思い立ち、ガイアノーツの「エヴァンゲリオンカラー・エヴァネオングリーン」を、作例のエヴァグリーンの上から塗装しました。この塗料はブラックライトを当てることで、発光する蓄光塗料です。

劇場版のエヴァは機体のグリーンの部分が発光しているので、照明を落としてブラックライトで光らせると、夜戦!という雰囲気が楽しめます。

詳細は次号紹介にて、次回完成編をお楽しみに!

▲通常のライトでの撮影

▲ブラックライトを当てての撮影

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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