“ダウン一強時代”だからこそ知っておきたい。メリットだらけな「中わたジャケット」最新モデル5選

【やっぱり“ダウン”が好き!】

冬アウターといえば、今や“ダウン”が大人気。街を見ても、多くの人がダウンウエアを羽織っています。だからか、ふかふかもこもこしたウエアを見ると、つい「ダウンだ」と思ってしまいますが、実はすべてがダウンウエアではありません。

内部に封入されている中材が、ダウン(Down)=ガチョウやアヒルなどの水鳥の綿毛であれば「ダウンウエア」ですが、化繊で作られた中わた(Synthetic)の場合はダウンウエアとは言いません。

この化繊を使った“中わたウエア”がいま、かなり進化していることを知っていますか。アウトドアブランドを中心に、各社が独自の技術で新たな中わたを開発しています。

そもそも、ダウンと化繊中わたにはどんな違いがあるのでしょうか。

以前は、それぞれ以下のような特徴がありました。

ダウン 軽くて保温性が高いが、濡れると保温力が低下する
化繊中わた 水に強く濡れても保温力が落ちないが、重くかさばる

しかし近年はダウンと遜色ない暖かさを持つものも増えてきています。もともと雨に濡れたり汗をかいたりしても問題がなく、手入れしやすいという特徴を持っている中わたウエア。そこに各メーカーが持てる最新技術を投入し開発されたものは、はたしてダウンに代わる選択肢になるのか。

そんな最新中わたウエアの注目5モデルを見ていきましょう。

 

■ブランドを代表するエクスペディショングレード

パタゴニア
「メンズ・DAS パーカ」(6万4900円)

パタゴニアの化繊中わたウエアの中で、最もハイエンドなモデルとなる「メンズ・DAS パーカ」。雪山や冬季のトレッキング、ビレイなど厳しい環境化でも使える高い保温性が特徴です。

中わたに使われているのは「プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコ」。

“プリマロフト”とは、米軍の要請でALBANY社が1980年代に開発した素材で、ポリエステル繊維で作られた中わたになります(その後、ALBANY社から独立したプリマロフト社が事業を継承)。現在は世界中のスポーツブランドやアウトドアブランド、アパレルブランドにも採用されています。

パタゴニア日本支社 PR&コミュニケーションズの担当者は「プリマロフトは濡れや湿度に強く、濡れても高い保温性を維持できることが最大の特徴です(汗をかいた状況でも同様)。耐久性、耐風性にも優れており、天候が変わりやすい環境や長期のアクティビティでも安定した保温性能を発揮します。またお手入れが容易で、メンテナンスも簡単です」と、その機能性を説明してくれました。

「ダウンじゃないから暖かさは…」なんて言葉が当てはまらない、アルパインクライミングや極地探検といった、生命を脅かすような低温環境下での使用を想定して設計された、ブランドを代表するエクスペディショングレードの「メンズ・DAS パーカ」。

「寒冷地でのクライミングや雪山でのビレイなど、コンディションの変化が大きいシーンでも頼れる一着です。コンパクト性に優れているのも特徴です」

>> パタゴニア

 

■全社員が1枚は持っている定番シリーズ

アークテリクス
「アトム SV フーディ」(5万9400円)

アークテリクスの数あるインサレーション(中わた)ウエアでは定番となっているアトムシリーズ。アークテリクスの社員全員が1枚は持っていると言われているほどのシリーズですが、その中でもこの「アトム SV フーディ」は最も保温性の高いモデルになります。

中わたとして使われているのは独自素材「Coreloft」。疎水性の高いシリコン加工を施した太さが異なる2種類のポリエステル繊維を組み合わせて、ロフト(嵩高)を維持。保温性と通気性を確保します。現在、「Coreloft」としては3種類あり、厚みを半分にしたものやストレッチが効いたものも使われています。

「アトム SV フーディ」には、最も保温性が高い「Coreloft」が使われていますが、ダウンと比べて膨らみは抑えられているため、寒い季節の登山や強風が想定される森林限界を超えた場所でも、熱を閉じ込め暖かさを保ってくれます。また、厚さが控えめなので、この上からハードシェルを着やすいのもポイント。

アークテリクス担当者が「アウトドアアクティビティにおいて必要不可欠な代表的なアイテム」と話すのも納得のスペックです。

>> アークテリクス

 

■ブランドのDNAが宿るサステナブルなジャケット

マムート
「クラッグ インサレーション フーデッド ジャケット」(3万1900円)

マンモスのロゴで有名なスイスのマムート。現存するアウトドアメーカーとしては最古のブランドです。そんな歴史あるマムートの最新化繊中わたウエアが「クラッグ インサレーション フーデッド ジャケット」になります。

中わた素材として使われているのは「ループインサレーション(LOOPINSULATION)」。ロープの製造工程で出る端材を繊維状に戻し、再生プラスチックと混紡して中わた材に再利用しています。マムートは1862年にロープメーカーとして誕生したという経緯から考えると、ロープはまさにブランドのDNA。そのDNAを、環境に配慮したカタチで余すことなく使った素材というわけです。

マムート・スポーツグループジャパンの宇津木さんは「サステナブルと機能性を融合するマムートらしいプロダクトです。ご自宅での洗濯が可能で、水濡れに強い。そして環境に優しい。ロープを原材料として使用しているのでマムートらしさを感じられる1着です」と話します。

氷点下でも保温性と快適さを確保する断熱ジャケットである「クラッグ インサレーション フーデッド ジャケット」ですが、実は中わただけでなく耐風性や撥水性を備える表側の素材にもリサイクル素材が使われていて、100%リサイクル素材で作られたウエアなんです。

>> マムート

 

■中も外も独自素材のモンベルを代表する化繊ウエア

モンベル
「サーマラップ パーカ」(2万1450円)

コスパ=コストとパフォーマンスという意味で考えると外せないのがモンベル。高い開発力を誇り、化繊中わたウエア「サーマラップ パーカ」も独自開発の素材をこれでもかと投入した1着になります。

中わた材として使われているのが「エクセロフト」。適温を保持する嵩高性、快適さを保つ透湿性に加えて、耐久性や軽さ、コンパクトさを実現した、モンベルを代表する独自素材になります。

「サーマラップ」シリーズはエクセロフトをたっぷり封入し、さらに表地にはストレッチ性と透湿性を兼ね備えた独自のシェル素材「バリスティック エアライト」を使用したモンベル化繊ウエアのフラッグシップシリーズです。

▲リバーシブル仕様になっている

モンベルの長井さんが「ダウンに比べ水に濡れても保温性を維持できるため、手入れがしやすいことや、雨や雪、湿気や汗蒸れで濡れる可能性があるシーンにおいてはより適しています」と話すように、アウターとしてだけでなく厳冬期にはミッドレイヤーとしても活躍してくれますよ。

>> モンベル

 

■ユニクロの冬の定番になる予感

ユニクロ
「パフテックジャケットノンキルト」(6990円)

ダウンではなくもこもこウエアで多くの人がまず思い浮かべるのが、ユニクロのパフテックではないでしょうか。今や売り場でも大きな存在となっているパフテックシリーズ。ダウンと比べても暖かさは遜色ありません。

もちろん中わた素材は「パフテック」。ユニクロの担当者が「極細の中空繊維を使い、空気をため込むことで、ウルトラライトダウンジャケットと同等の暖かさを実現しています。手洗いが可能なことに加えて、ダウンよりも湿気に強く、高湿度の環境下でも暖かさを維持できます」と話すように、ダウンにはない利点は多いようです。

このノンキルトは、パフテックらしい幾何学なデザインとシンプルなシルエットで、羽織ものとして使いやすい仕上がり。小雨程度であれば弾く撥水加工に加え、2枚の生地を織り合わせる特殊素材は針穴がないため、雨や風が入りにくい構造になっています。

これまで、ユニクロの冬の定番といえばウルトラライトダウンシリーズでしたが、手入れのしやすさや湿気に強い点などからも、今後はこのパフテックが定番になりそうな予感。ジャケット以外にもパーカーやベスト、コートなどラインナップは豊富にそろっているので、1着は持っておいて損はないかも。

>> ユニクロ

*  *  *

ダウンより水に強く、ダウンと変わらない軽さで、ダウンより手入れがしやすい。そして最新モデルは暖かさも遜色ない。天然素材のダウンウエアと比べると、進化の余地はまだまだあり、さらにリサイクル素材を活用すれば環境にも配慮したプロダクトになれる。袖を通した瞬間に暖かさを感じるダウンは魅力的ですが、日本のような湿度の高い地域でも保温性を維持できる中わたウエアにもぜひ注目を。

>> やっぱり“ダウン”が好き!

<文/円道秀和(GoodsPress Web)、写真/湯浅立志(Y2)>

 

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