23万円超えでも買い? 全部入りハイエンド「Xperia 1 VIII」に向いている人とは

5月13日にソニーの最新フラッグシップスマホ「Xperia 1 VIII」が発表されました。6月11日に発売されます。ソニー直販のSIMフリーモデルの価格は23万5400円(12GB+256GB)〜29万9200円(16GB+1TB)と、かなり高額。はたして、それだけの価値はあるのか? ソニーから発売に先がけてお借りして、じっくり使ってみました。

 

■背面パネルのデザインを一新

ディスプレイは約6.5インチの有機ELディスプレイ。前モデルから大きな変更はありませんが、ソニーのテレビ「ブラビア」の高画質技術が応用されていて、画質はクッキリ鮮明。従来は正面だけにあった照度センサーが背面にも追加され、環境に応じて明るさが自動調整される機能が進化しました。晴れた日の屋外でも、画面が見やすいことが利点です。

▲約6.5インチのディスプレイは2340×1080ドット。高コントラストで、小さな文字もクッキリと表示される

▲2世代前のモデルとの比較。明るい場所では自動で輝度が上がり、視認性が確保される

デザインのコンセプトは「ORE(原石)」。自然界にある磨かれる前の天然石や鉱石をモチーフにしたとのこと。背面パネルはガラスで、サイドフレームはアルミですが、どちらもマットで、鉱石のようなザラザラとした質感。シームレスで一体感のあるデザインに仕上がっています。色によって、かなり印象が異なるので、店頭で実機に触れてから選ぶことをおすすめします。

▲カラバリは4色。左上から時計回りにグラファイトブラック、アイオライトシルバー、ガーネットレッド、ネイティブゴールド。ネイティブゴールドはSIMフリーモデル限定色だ

大きく変更されたのはカメラのレイアウト。従来モデルは3つのレンズが縦に並んでいましたが、カメラバンプがスクエアになり、広角と超広角が横に並び、広角の下に望遠レンズを配置。望遠カメラのセンサーが大きくなったことが、デザイン変更の最たる理由のようですが、背面パネルの上辺とカメラバンプのスペースが広くなり、レンズに指がかかりにくくなったのは利点。3つのレンズの距離が近くなり、レンズの切り替えた際のフレームのズレが少なくなったことも利点と言えるでしょう。

▲ボディはザラついた質感で、カメラバンプは少し出っ張っている

▲カメラバンプの内部。望遠カメラはペリスコープ(潜望鏡)型だ

▲別売の純正ケース(5500円)を付けると、カメラ部の出っ張りが相殺される

 

■センサーの大型化で望遠画質が向上

リアカメラは超広角(4800万画素)+広角(4800万画素)+望遠(4800万画素)という構成。前モデルの望遠カメラは1300万画素でしたが、Xperia 1 VIIIでは、他のカメラと同じ4800万画素に。画像センサーは前モデルの1/3.5インチから1/1.56インチへと約4倍も大きくなりました。望遠でも明るく、精細な画質で撮影できるようになったわけです。

▲夜間に望遠(2.9倍)で撮影した作例。ノイズがほとんど気にならない画質で写った

▲望遠(2.9倍)で愛犬を撮影。輪郭が明瞭に写り、背景はナチュラルにぼけた

前モデルの望遠カメラは85mm〜170mmの可変式光学ズームでしたが、Xperia 1 VIIIでは、残念ながら可変ズーム機能はなくなりました。しかし、センサーの大型化により、70mm(光学2.9倍)に加えて、センサー内の切り出しズームによって140mm(5.8倍)も光学ズーム相当の画質で撮影可能。70mm〜140mmの範囲でのズーム撮影においても画質の劣化はさほど気にならなかったので、従来モデルから乗り替えたとしても不便を感じることはないでしょう。

▲超広角(0.7倍)で撮影。広角とは若干色味に差が出た

▲広角(1倍)で撮影。肉眼で見えるままのナチュラルな色調で写った

▲広角(2倍)で撮影。光学ズーム相当の画質で写る

▲望遠(2.9倍)で撮影。波光もきれいに写った

▲望遠(5.8倍)で撮影。5.8倍も光学ズーム相当の鮮明な画質で写る

▲デジタルズームは最大17.5倍。画質はそれなりに粗くなる

 

■新機能「AIカメラアシスタント」はライトユーザー向け?

Xperia 1 VIIIには「AIカメラアシスタント」という新機能が追加されています。フルオートの「写真」モードで撮る際に、AIが被写体を認識し、4つのクリエイティブな表現を提案してくれるというもの。Xperiaにはデジタル一眼カメラ「α」から受け継いだ「クリエイティブルック」という画作りのための機能が搭載されていますが、それをベースにした機能です。

▲デフォルトで撮影した料理写真

▲AIカメラアシスタントに提案された4つの表現

▲夜景もAIカメラアシスタントでアレンジできる

▲空の色調を変えるなどの表現が可能

Xperia 1 VIIIのデフォルトの画質はナチュラルで、肉眼で見える色調に近い印象。AIカメラアシスタントを使うことで、よりエモーショナルな映える写真になったり、メインの被写体を強調する写真になったりと、表現の幅を広げてくれるわけです。

▲AIカメラアシスタントはプレビュー画面の右下に表示される候補から選ぶだけ。詳細な設定を確認して微調整したり、その設定を保存したりすることも可能

Xperia 1 VIIIはスマホとしてはトップクラスのカメラ機能を搭載し、ユーザーが自由に設定できる「プロ」モードも備え、RAWで撮影することもできます。それらを使いこなせる人には「AIカメラアシスタント」は必要ないかもしれません。

▲手動で細かい設定を行える「プロ写真」「プロ動画」モードを搭載

▲半押しでピントを固定できるシャッターボタンも健在

▲フロントカメラは1200万画素。ノッチやパンチホールはなく、黒枠部にスッキリと搭載されている

 

■スピーカーの音質はついに極みに

内蔵スピーカーの音質が向上したことも大きなトピックです。Xperiaはオーディオ機能に注力していて、とくにフラッグシップのXperia 1シリーズにおいては、スマホとしてはトップクラスの高音質を実現し、お気に入りの有線ヘッドフォンで聴きたい人のために3.5mmのオーディオジャックも搭載。前モデルでは、オーディオジャックにウォークマンの最上位モデルと同じ部材を用いるなど、徹底的に音質にこだわっています。

▲最近は搭載する機種が減っている3.5mmのオーディオジャックも搭載

そして、Xperia 1 VIIIではついに内蔵スピーカーが左右同一に! そもそもステレオスピーカーは左右同一であるべきですが、スマホにおいては、左右不均等が当たり前で、左右の音のバランスが悪い機種も少なくありません。そんな中で、Xperia 1シリーズは早くからフロントスピーカーを搭載し、音が均等に響く設定がされていましたが、完全に均等とは言えなかったわけです。それが、今回のデザイン変更によって、スピーカユニットのサイズを合わせることを実現。主に低音域と高音域の音質向上も図られています。

▲デザイン変更により、左右同じスピーカーユニットの搭載が実現。ディスプレイの左右から音がバランスよく広がる

メディア向けの体験会で、前モデルと聴き比べさせてもらいましたが、音質はすぐにわかるほど向上していました。低音が響く、高音がクリアで伸びやかといったことだけではなく、ジャンルによって聴こえ方が異なり、楽曲への最適化が進化したようにも感じました。

今や音楽専用のプレイヤーではなく、常にスマホで音楽を聴く人が増えています。されど、音質に不満を感じている人も少なくないでしょう。Xperia 1 VIIIは、音にこだわる人も試してみる価値があるでしょう。

▲自分好みの音質に設定できる機能に加えて、動画撮影時に風ノイズを除去する機能も備えている

 

■全部入りだが、流行りのAI機能は控えめ

Xperia 1 VIIIは「Snapdragon 8 Elite Gen 5」という、現行機種向けでは最高峰のチップを搭載。RAMは12GBと16GB、ストレージは256GB、512GB、1TBから選べます(キャリア向けは12GB+256GBのみ)。最大2TBのmicroSDを装着して、ストレージを拡張することも可能。バッテリーは5000mAhで、ワイヤレス充電や、バッテリー寿命を長くする「いたわり充電」にも対応。

もちろん、防水・防塵、おサイフケータイ、eSIMにも対応。前モデルのSIMフリー版は5Gミリ波に対応していませんでしたが、Xperia 1 VIIIはSIMフリー版とキャリア版のどちらもSub6、ミリ波の両方に対応しているので、5Gのポテンシャルをフルに活かせます。ズバリ “全部入り” と呼んで差し支えないでしょう。

▲指で開けられるスロットにはnanoSIMとmicroSDを装着可能

▲もちろんeSIMにも対応しており、2回線を併用できる

強いて弱点を挙げるとすると、他社に比べるとAIを用いた機能は少なめです。ソニーが「Xperia Intelligence」と呼ぶ独自のAIを搭載し、カメラやディスプレイ、オーディオ機能に生かされていますが、文章や画像を生成したり、翻訳や要約をしたりといった機能は見当たりませんでした。ですが、GoogleのAIは利用でき、端末の基本性能が高いので、自分が使いたいAIアプリをインストールして使う上でも優位性があります。

 

■1台で大きな満足を得たい人にオススメ!

半導体やメモリの価格上昇などから、今年はスマホの値上げは避けられないと言われていました。Xperia 1 VIIIは前モデルから着実に進化しており、値上げは致し方ないといったところ。ですが、前モデルのXperia 1 VIIは18万9200円(12GB/256GB)~だったので、 4万6200円も上がっています。世界シェア上位のメーカーに比べると値上げ幅が大きいのは否めません。正直に言えば、コスパを最重視する人には向かないでしょう。

しかし、Xperia 1 VIIIがあれば、デジカメも音楽プレーヤーも不要。microSDスロットや3.5mmオーディオジャックを備えていることも他社のハイエンド機とは異なるアドバンテージと言えます。“これ1台で満足できる” ということに魅力を感じるのであれば、買って損はないでしょう。

キャリアではドコモ、au、ソフトバンクが取り扱い、分割払いで購入して、1〜2年使った後に返却するプログラムを利用して、実質負担金を安く抑えることもできます。予算に応じた入手方法を検討しましょう。

>> ソニー「Xperia 1 VIII」

<取材・文/村元正剛(ゴーズ)

村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。

 

 

 

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