第64回静岡ホビーショーでプラモの達人が“斜め目線”でこれは買い!だと思った新作キット5選

第64回静岡ホビーショーが大盛況の内に終了して、早いもので三週間、いやまだまだその興奮冷めやらず、といった今日この頃。会場で発表された新製品も早いものはすでに店頭に並んでいたりと、模型的物欲に溺れている身としては、毎日がパラダイスといった感じです。

さてこのタイミングではありますが、ホビーショーにおいて発表された魅力あふれる新製品の中から、またかよ!ではありますが達人が注目の新製品をピックアップして紹介しましょう!

▲一般公開日初日の5月16日(土)、朝8時の段階で長い会場待ちの入場者の皆さん

▲小中学生招待日の5月14日には、岸田元首相が来訪してました

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。タミヤ公式YouTubeチャンネルなどでもハウツーレビューを配信中。

 

■これは買いだ!その1

海洋堂
「ARTPLA SCULPTURE WORKS キングギドラ Re:イマジネーション」(9900円)
2026年8月予定

海洋堂は昨年の静岡ホビーショーでも“Re:イマジネーション”で、1945年に公開されたゴジラを新規で造形化してくれましたが、今回もやってくれました!

今回新たに“Re:イマジネーション”シリーズでキット化されたのは1964年に公開された映画『地球最大の決戦』に登場した宇宙怪獣キングギドラ! 金色の体に3本の首を持ち、口からは反重力光線を吐き、遠い過去には金星文明を滅ぼしたという…。それはさておき、ゴジラ並んで人気の高い東宝特撮怪獣であります。

原形製作は生物造形の第一人者、松村しのぶ氏。劇中のテイストを踏襲しつつ、部位ごとに鱗のサイズを変えるなど、生物的な説得力を高めています。ベースは手前に橋を配し、劇中にも登場した神社の境内を再現しており、キングギドラの圧倒的なスケール感を再現。体を覆う鱗はディテールを優先してパーツを分割しながら組み立てやすさも優先。圧倒的な造形密度を誇る究極の怪獣プラモ! いや発売が持ちどおしいです!

▲鱗をはじめキングギドラの特徴的なディテールを再現しつつ、パーツの接合線が目立たな分割と精度を実現している

▲海洋堂ブース

>> 海洋堂

 

■これは買いだ!その2

海洋堂
「ARTPLA SCULPTURE WORKS メカゴジラ(1975) Re:イマージネーション」(価格未定)
発売時期:未定

海洋堂には、今回やられましたね、Re:イマジネーション・キングギドラは事前情報で大いに楽しみにしていたのだけれど、ブースにはなんと、同じくRe:イマジネーションの新作でメカゴジラが! それも達人が愛してやまない昭和のメカゴジラ(1974年公開の『メカゴジラ対ゴジラ』、1975年公開『メカゴジラの逆襲』に登場した銀色スペースチタニウムで覆われた体にメカメカしいリベットが凛々しいメカ怪獣)であります。

キットは『メカゴジラの逆襲』を再現。BH第3惑星人のメカなのに腕には英語でMG2の文字が!

それはさておき今回、会場発表、展示されていたメカゴジラは開発中の原形で、発売時期は未定となっていました。いやキングギドラと併せて発売が待ち遠しい限りです。

▲ポスターもチラ見せ

>> 海洋堂

 

■これは買いだ! その3

ベルファイン
「ブレードランナー2049 デッカード・ブラスター」(9900円)
2026年9月発売

SF映画アイテムが続きます。

サイバーパンクSF映画の金字塔『ブレードランナー』に登場し、続編の『ブレードランナー2049』にも登場、ハリソン・フォードが演じた伝説のブレードランナー“デッカード”の愛銃「デッカード・ブラスター」がついに1/1スケールでプラモデル化!

昨年のホビーショーで発表されたアイテムですが、今回はよりブラッシュアップされていました。

リボルバーフレームをベースに造形された2049版のデッカード・ブラスターのディテールを余すところなく再現。劇中では登場しないシリンダーのスイングアウト機構も再現しているんですね(弾丸の発射はできません)。ブレードランナーの退廃的な世界観を体現、精密なディテールで再現したデッカード・ブラスターのスケールモデル、これは欲しいです!

▲ポスターもシブい!

▲ベルファインブース

>> ベルファイン

 

■これは買いだ! その4

エクスプラス
「宇宙水爆戦 昆虫型人工生物 メタルナ・ミュータント」(8800円)
スケール:1/8
2026年9月末発売予定

まだまだ続くよSF映画アイテム

1955年に公開されたユニバーサル映画製作のSF映画『宇宙水爆戦』(原題:This Island Earth)に登場する昆虫型人工生物メタルナ・ミュータントを、モンスターの造形に定評があるエクスプラスが1/8スケールでキット化してくれました。

人工昆虫生物メタルナ・ミュータントの脳髄むき出しの頭部や顔の造形、長い腕など、クリーチャーデザインのインパクトは絶大でしたね。後のSF映画のクリーチャーデザインにも多大な影響を与えています。まぁ宇宙水爆戦の映画ポスターやスチールでは主役みたいに扱われていますが、劇中では正直あんまり活躍してくれません。それでもユニバーサルモンスターの1体として時代を超えた人気を誇っているんですねぇ。

キットは高身長で腕の長い独特なプロポーションはもちろん、浮き出た血管やスーツのシワなどのディテールも細かく再現されてます。

これは是非にSFクリーチャーコレクションに加えたいアイテムであります!

▲ユニバーサルモンスターとしての雰囲気溢れまくるメタルナミュータントボックスアート

▲エクスプラスブース

>> エクスプラス

 

■これは買いだ!その5

タミヤの本気!クイックロック1/35恐竜シリーズ No1フクイラプトル

タミヤ
「クイックロック1/35恐竜シリーズNo1 フクイラプトル」(価格:未定)
発売日:未定

今回、タミヤが会場発表したのがフクイラプトルです。同社はこれまでもティラノサウルやステゴサウルス、ブラキオサウルスなどの恐竜プラモを1/35で販売しています。今回のフクイラプトルは、同社の恐竜プラモとしては32年ぶりの新製品となります。

新企画のきっかけは、昨年9月に急逝された田宮会長の言葉だったそう。今回発表された新製品となる木製の「楽しい工作シリーズ」開発中の木製恐竜を見た田宮会長は「スケールモデルの恐竜が見たい」と開発を指示したとか。“本物より本物らしい”恐竜モデルを目指したということです。

また従来のシリーズは接着剤が必要でしたが、フクイラプトルは接着剤を使用しないスナップキットとなっているんですね。会場には第2弾フクイサウルスも参考出品されていました、フクイラプトルそして新しい恐竜シリーズの展開が大いに期待です。

▲少ない少ないパーツ構成、なおかつ接着剤を使わないスナップキットでフクイラプトルの躍動的なポーズを再現している

▲タミヤブース

>> タミヤ

 


>> 静岡ホビーショー

■ナフサ不足によるホビー業界への影響(達人の私見レポート)

盛況のうちに終了した2026年の静岡ホビーショー。懸念されていた、ホルムズ海峡封鎖の影響による原油不足と、それに由来するナフサ不足といったネガティブなイメージはほとんど感じられず、来場した多くのユーザーは例年にもましてホットなホビーショーの楽しんでいたようです。

しかしながら、各方面にじわりと影響は出ている模様。5月初旬頃からネット上で「ナフサ提供不足から一部店舗で特定メーカーの塗料の溶剤が生産できなくなる」といった出どころ不明の情報が広まり、店頭において特定メーカーのツールクリーナーが品薄になっていたとか。実際、都内近郊の模型店、大手量販店を見て回りましたが、確かに品切れの店舗が多かったのは事実です。またメーカーよっては大幅な値上げも発表しています。

しかし正直なところ「溶剤がなくなる」という情報が先走りして、一部ユーザーがまとめ買い物に走ったため、店頭から消えていたという感じでした。普通に在庫ありますという店舗も多かったですね。

しかし、ホビーショー以降の5月下旬あたりになると、店頭での溶剤の品切れが目につくようになり、ジワリとナフサ不足による影響は出ているのは間違いないと思います。買い占めを懸念し、購入個数に制限を設け始めている販売店もありました。

政府は「ナフサの備蓄はある」と公言していますが、ナフサが流通してもそれが製品に反映されるまで、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。模型用塗料を販売している大手メーカーでは、原材料の調達難を受け、4月から生産調整を実施。人気の低い一部の塗料や薄め液の生産を減らし、人気の高い製品を生産するよう切り替えることで品薄に対応しています。消費者には「過度な買い占めは控えてほしい」と呼び掛けもしています(現在は生産調整は解除されています)。

5月末の時点では各メーカーともキットの生産、販売に関しては、企業努力により大きな影響は出ていません。しかしキットの素材となるポリスチレン樹脂、ABS樹脂、さらには製品の箱の印刷、ビニール袋等すべてが石油由来ということもあり、今度もナフサの供給が不安定になり価格が高騰する状況が続けば、影響が出てくるだろうとは思います。さらには物流費や生産工場での電気代といったコストも想定以上に上昇しており、これがボディブローのようにじわじわと効いてきている模様。もちろん各メーカー、現状維持の努力は続けてくれていますが、企業努力だけでは維持できない状況にきているのもまた事実です。

ホビー関連では溶剤、塗料のみならず、ジオラマでベースの製作に使用するスタイロフォーム(発砲ポリスチレン)がホームセンターなどで入手できなくなりました。もともと断熱材として住宅の内装用に使用されるものということもあり、同じくナフサ不足が直撃している建築関係が押さえているためで、ホビー用サイズでも大手の通販では10倍くらいの価格になっています。

ホビーユーザーにとっても、溶剤等の品不足、そして値上げはなかなか厳しいところがありますが、当面は成り行きを見守るしかないのが現状です。長期化の懸念もありますが、なにより品不足を煽るような不確実情報に惑わされることなく、事態の沈静化を待つしかないと思います。

>> [連載]達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人 メーカーブース撮影/西田洋一>

 

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