Greg Leung(グレッグ・レオン)氏はApple(アップル社)での長年の勤務の後、スマートロック会社であるOtto(オット)に所属していたが、Connect Homes(コネクトホームズ)からの話が持ち上がったときには、すでにOttoを退職をしていた。
市場に出回っているプレハブ工法の住宅よりもずっと安い費用で、都心部へのアクセスが良好な場所にスターターホーム、つまり初めて住宅を購入する人のためのお手頃価格の住宅を建設するというConnect Homesの売り込みは、彼の心を捉えた。
「これは美しい製品でありながら、従来の住宅建設の概念を覆し変革するような方法で作られています」とレオン氏は語る。
住宅は14の標準化された構成で成り立ち、460平方フィート(約42.7m²)から3200平方フィート(約297平方m)まで拡張可能だ。Connect Homesが競合他社とは決定的に違うのは、6日間で完全な住宅を建設できるスピードだとレオン氏は言う。
さらに、住宅は通常の配送ネットワークで輸送可能で、列車で国内のどの場所でも持ち運べるという。「輸送コンテナに合うサイズのモジュールを建設しているので、輸送のためにユニットを組み変える必要がなく、通常のインターモーダル輸送ネットワークが使えるのです」と同氏は説明する。
Connect Homes製の小さいほうの住宅は、すべて込みで17万4000ドル(約1800万円)、297平方メートルの住宅は82万5000ドル(約8600万円)だ。これは現在の注文住宅の費用の約半額に相当する。
「きれいでモダンな住宅を従来の注文住宅の半額で提供しています」と同氏は言う。
「現在は、新しいトラクトハウス(同じ業者が作った住宅団地)、集合住宅そして高層ビルの3種類の新築住宅を建設しています。ベイエリアやLAにある70%の建物は70年代に建てられたものです。つまり小さすぎて時代遅れかつ、エネルギー効率が悪い住宅が大多数であるので、既存の土地を利用して開発を行うインフィル開発の機会はあります。住宅建設には、100万ドル(約1億円)から150万ドル(約1臆5千万円)かかるため、私たちを除き、誰も都市のインフィル市場に手を付けていません」と続けた。
レオン氏の関心は、新規住宅所有者のために竣工した88のプロジェクト以外にも向けられている。カリフォルニア州のサンバーナーディーノ市に工場を持ち、ロサンゼルスに本社を構える同社は、地方自治体や政府の一時シェルターや住む家がない人に向けた暮らしの場に対する考え方を変えようとしている。
建築家であるJared Levy(ジャレッド・レヴィ)氏と Gordon Stoddard(ゴードン・ストダード)氏は、Marmol Radziner(マモールラドジナー社)のプレハブ建築部で勤務していた。Connect Homesは、彼らによって設立され、プレハブの未来のビジョンを作るため2700万ドル(約28億円)の資金を調達した。
その資本には、最近確保した500万ドル(約5億2000万円)ラウンドが含まれ、会社の再建、住宅工事と平行して展開型シェルターを建設できる建設技術の見直しに当てられる。これは北カリフォルニアでの経験によって国が住宅問題に直面している事実を敏感に理解していたレオン氏にとってもう一つの魅力となった。
同社が開発したシングルモジュールシェルターは、輸送可能で1日で現場に設置できる。自社開発の12メートル×2.4メートルのモジュールに発電機を追加するわけだが、これはそのシェルターがトレイラーのような柔軟性を備えていることを意味する。それでも住居としての準備は24時間で完了する。
「私たちは、地方自治体や第三者のサービスプロバイダーにこれを販売して、消費者に入居してもらうよう設計しました」と同氏は言う。
新製品の顧客には、オーハイ市のタチャー高校やLife Moves(ライフムーブズ)との提携で実現したカリフォルニアのマウンテンビューのプロジェクトが挙げられる。
シェルターの価格帯は、1ベッドルームあたり2万ドル(約208万円)から3万ドル(約312万円)またはモジュールあたり(約834万円)だ。この価格は、恒久的支援住居の1ベッドルームに地域が支払う50万ドルから100万ドル(約5200万円から1億400万円)と比べて信じられないほど有利だとレオン氏は述べる。
しかし、仮設住宅に対する同社の豪華な代替住宅をもってしても、依然として、国内の都市が抱える住宅問題を解決できているわけではない。
「私たちは注文住宅を問題の一部と認識しており、この対極を行こうとしています。シェルターは緊急のニーズに対してとった対応でした。私たちには問題を解決するための革新的な能力があったのです。私はこの問題に対して素晴らしい人材や新しい工夫が適用されているとは思いません。そしてそれは多くの人の幸せと健康に影響を及ぼしています。この問題に一生取り組んでいくことになるかもしれません」とレオン氏は述べる。
Brick and Mortar Ventures(ブリック&モーター ベンチャーズ社)の創設者兼経営者であるDarren Bechtel(ダレン・ベクテル)氏によると、建設業界の再建のための新しい成功例を作ろうとするこの試みこそが、Brick and Mortar Venturesの関心を引きつけ、同社が現金500万ドル(約5億2000万円)でConnect Homesの資本増強を行うための交渉の席につく要因となったとのことだ。なお、この500万ドルは最近Connect Homesが確保したものだ。
Bechtelエンジニアリングおよび建設グループの跡継ぎであるベクテル氏は、業界に関して深い知識を有しており、Connect Homesを従来の建設概念を壊すことができる最高の賭けだと認識している。
ベクテル氏は、建設業界についてこう語る。「現在は、既存のものよりも安い費用で住宅を建設することはできません。しかし建設を製造として再考することにより、費用を効果的に削減できる環境が生み出されると考えています」。
「建設は長い間、原始的な製造方法にのっとっていました。従来の製造や自動車製造との違いは、住宅がある程度の規模に達したら、その住宅を効率的に製造場所から最終目的地の現場に輸送することが難しいことです」と同氏は続ける。
同氏はこれを主要な問題として認識する一方で、これこそConnect Homesが解決できる問題だと期待している。「使用できる道路は限られており、インターモーダル輸送を利用できるよう標準化するか、走行許可を得る必要があります。輸送問題を解決できるよう本物の部品キットを作成しているのであれば、現場で仕上げるための技術者が必要となるでしょう」と同氏は語る。
多くの場合、住宅建築業者は垂直的な統合を目指している。しかしベクテル氏によると、Connect Homesは、製品のライフサイクルと顧客体験を監視するAppleのようなアプローチを取っているという。「これが製品を世界規模で届け、住宅界のVWやアウディを製作するやり方です。住宅は最も高価な買い物です。ですがほとんどのケースが注文住宅であるというのは理にかなっていません」と同氏は言う。
ベクテル氏は、主にカリフォルニアのアクセサリー住居ユニット(Accessory Dwelling Unit:ADU)市場をターゲットにしている企業と、より大きな志を持つConnect Homesを違うものととらえている。
「ADUの売買を行っている多くの人は、もう一軒ゲストハウスを持っています。彼らは自分自身のためにより広いスペースを欲しいと思っているのです」と彼は述べた。「中密度または高密度エリアにある敷地面積の広い古い物件の区画を取得でき、そこに新しく2つまたは3つの住宅ユニットを作成できれば、はるかに大きな規模で住宅の品質と数量の両方を劇的に改善することができます」とベクテル氏は述べる。
同氏は、これがConnect Homesの最終的な目標で、市場が回復する準備ができているのと同じように、同社も市場に戻ってくるだろうと述べた。
さらに同氏は「住宅のニーズが大きく回復すると確信しています。また1世帯の家族向けの住宅市場も回復します」と続けた。これが現実のものとなったら、Connect Homesは新しい需要を満たすためのスケールアップに取り組む予定だ。
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カテゴリー:その他
タグ:住宅 資金調達
[原文へ]
(翻訳:Dragonfly)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/12/09/2020-11-19-with-new-cash-and-a-former-apple-exec-now-at-the-helm-connect-homes-is-ready-to-reconstruct-homebuilding/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Jonathan Shieber
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