障害者手帳をスマートフォンに表示することで利用できるアプリ「ミライロID」が、2019年7月にリリースされました。今回は、アプリを手がけたミライロに開発したきっかけなどをお伺いしました。
アプリ版の障害者手帳「ミライロID」
「障害者手帳」は、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の総称、または、手帳の表紙に書かれる名称から精神障害者保健福祉手帳のみのことを指します。今回の記事では、総称としての「障害者手帳」の意味で使用します。
「ミライロID」は、アプリ版の障害者手帳です。アプリに障害者手帳を取り込むことで、参画施設では手帳(またはカード型)の障害者手帳を提示しなくても、アプリの画面を提示することで、障害者向けのサービスを受けることができます。
官民問わず全国の企業が参画
2019年7月にリリースされた「ミライロID」ですが、2020年6月より、政府が提供する「マイナポータルAPI」との連携を発表しました。
これにより、ユーザーが希望する場合は、障害者手帳記載の情報に加え、マイナポータルAPIから取得した情報もミライロIDに登録可能に。またAPI連携により情報の信頼性が高まることから、ミライロIDに対応する協力事業者の拡大が期待できます。
2021年3月には日本全国の鉄道会社が参画したことで、利用できる鉄道会社が大きく増えました(4月1日現在の参画鉄道事業者は142社)。
ミライロIDが利用できる場所は、鉄道に限りません。航空・バス・タクシー・フェリーといった交通機関のほか、多くのレジャー施設が参画しているほか、自治体でも参画する自治体が増えています。
そのほか、NTTドコモ、au、ソフトバンクの携帯大手3キャリアでは、店頭でミライロIDを用いて、障害者向けの割引サービスを申し込むことができます(本人確認書類が別途必要な場合あり)。
アプリ誕生のきっかけは「手帳を取り出す手間、人前で見せる心理的な負担を解消したい」
多くの企業が参画し、より利用しやすくなった「ミライロID」について、アプリを開発したきっかけやセキュリティ対策などの気になるポイントを、ミライロ広報の方にお伺いしました。
現在の利用ユーザー数はどれほどの規模でしょうか
これまでは実証段階に近い状態で運営してきましたが、鉄道事業者での導入などを受け、これからまさに本格化していくところです。
アプリを開発したきっかけを教えてください
また、障害者手帳は都道府県、政令市、条例によっては中核市がそれぞれ発行しているため、手帳のフォーマットは265種類もあり、事業者側の確認の負担にもなっていたました。
そこでポケットからさっと取り出すことができ、フォーマットを一つにまとめることができるアプリの開発に至りました(2018年夏から構想開始、2019年1月から開発開始)。
現在、参画する事業者数は何社でしょうか
うち、参画する鉄道事業者数は「142社」です。
今回、鉄道会社が数多く事業に参画することになりましたが、今後もこのような大型の参画案件はあるのでしょうか
運営で気をつけているのは「個人情報の取り扱い、不正防止」
アプリを運営する上で気をつけていることはなんでしょうか
情報の取り扱いについては、ユーザー情報へのアクセスを制限し、暗号化通信を必須とする等の対策を取っています。また、第三者機関である専門業者によるサーバー脆弱性診断を定期的に受診し、対策しています(全て国内のサーバーで管理しています)。
不正の防止については、障害者手帳の登録時にAIによる判別に加え、目視確認を行なっています。発行元の形式に合致しているか、鮮明な顔写真が登録されているか、有効期限が切れていないかなど、さまざまな審査項目を設け、審査しています。
手帳をデジタル化できることのメリットの一方で、個人情報を写真に撮って送信することに抵抗がある方がいると思いますが、どのように考えていますか
また、手帳をデジタル化すれば、万が一スマホを落としてしまった時でも、アプリにロックがかかっておりますので紙の手帳よりも安心な部分もございます。
今後の展開について何か予定がありますか?
これにより、ミライロIDが手帳の代替手段という枠を超え、窓口にわざわざ行く必要がなくなるという新たな役割となります(ICカードとの連携や、オンラインでチケットを購入できる 等)。
ミライロIDが使える場所は日々増えています。今後は、手帳を持ち歩くことなく、どこでもスマートフォンで完結する未来が、すぐそこまでやってきているのかもしれません。
参考情報:ミライロID
(藤田尚眞)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-363005/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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