オフロードデビューに最適! エントリーモデルなのに完成度の高いマウンテンバイク「トリガー」

スポーツタイプの自転車の世界では一時期のロードバイク人気がひと段落し、未舗装路を走るグラベルバイクやマウンテンバイク(MTB)の人気が高まっています。舗装路だけでなく、自然の中を走ることでアウトドアアクティビティとしても楽しめることが魅力です。

これからMTBデビューを考えている人にうってつけなエントリー向けモデル、クロスセクションの「トリガー」に試乗することができました。7万9200円というハードルの低い価格の割に性能やバランスに優れていて、文字通りオフロード遊びの“トリガー(引き金)”になりそうなモデルでした。

 

■オフロード好きが作ったMTB

未舗装路を走ると楽しいのは、舗装路と違って路面が刻々と変化するから。そして山道(トレイル)に入れば、アップダウンに加えて木の根や大きめの石を乗り越える“縦の動き”が加わるということもあります。舗装路を走るのが2Dだとしたら、3D的な動きが楽しめるのがオフロードの魅力。一度その楽しさを味わうと、実は普段走っている街中にも段差や荒れた路面など3D的なシチュエーションがあることに気付きます。

そうしたシーンを走る自転車には、縦の動きに対応するサスペンションだったり、車体をコントロールするための幅広いハンドル、そしてギャップにも音を上げない強靭なフレームなどが必要となります。MTBにはさまざまなモデルがありますが、前後にサスペンションを装備した“フルサス”と呼ばれるものは、高性能なものだと100万円を超えるモデルも少なくなかったりします。

「オフロードの楽しさを味わってみたい」というエントリーレベルなら、フロントだけにサスペンションを装備した“ハードテイル”と呼ばれるカテゴリーで十分。「トリガー」は、そのハードテイルに分類されるモデルです。

スポーツ自転車の価格は基本的に、付いているパーツのグレードに比例しますが、一番重要なのは基本設計。サスペンションなどのパーツは後から交換してアップグレードできますが、フレームを替えたら他の自転車になってしまいます。「トリガー」のフレームは、エントリーモデルにしては洗練された形状で、上部をストレートなシルエットとして高さを抑えつつスッキリしたデザインに仕上がっています。

ヘッドアングルと呼ばれるフロントフォークの角度は68°。ハンドリングを決める重要な要素ですが、荒れた山道を下っても、街中の交差点を曲がってもクセのない自然なものに仕上げられています。クロスセクションは、オフロードバイクのパーツなどを手掛けるダートフリークというメーカーの自転車ブランドですが、オフロードを走るのが好きな開発者が繰り返し試走した上で決めたこだわりの数値だとか。

ブレーキやシフターなどのケーブルは、極力曲げる必要がないようにストレートな取り回しとされていて、自然な操作感に貢献。ドロッパーポスト(乗ったままサドルの高さを変えられる機構)を取り付ける際にはフレーム内にケーブルを通される構造も採用されています。

 

■基本設計の良さを実感

フロントのサスペンションは100mmのストローク量を持っていて、大きめのギャップを乗り越えるのに十分な性能を持っています。トレイルで“3D”の走りを体験すると、その恩恵を感じられるだけでなく、街中の段差などでも効果を発揮してくれるでしょう。

ブレーキは前後ともに機械式のディスクブレーキを採用。制動力が高いだけでなく、コントロール性も優れているので、グリップの安定しない未舗装路でも速度を制御しやすくなっています。フロントには制動力の高い180mm径、リアにはコントロールしやすい160mm径のディスクを装備するなど、細かい配慮もされています。

変速ギアはリアのみの8速。段数は少ないですが、大きい方のチェーンリングは42T、小さい方は12Tと変速の幅は広いので激坂から速度を維持する巡航までカバーできるギアが用意されています。フロントのチェーンリングは“ナローワイド”と呼ばれる作りで、チェーンが落ちるのを防ぐ構造です。

実際に街中やトレイルに持ち込んで試乗してみましたが、舗装路でもノブの低いタイヤを履いていることで軽快に進む感覚を味わえます。タイヤ径は前後とも27.5インチで、少し太めのタイヤなのでクッション性も良く快適な乗り心地でした。

オフロードに足を踏み入れても、路面のグリップ感がしっかりと伝わってきて安心してライドを楽しめます。操作に対する反応も良好で、ちょっとフロントを上げて段差を乗り越えたり、荷重を抜いたりするアクションも簡単にできました。エントリーモデルなので、高価なパーツは付いていませんが、基本設計が優れていることを感じさせます。

初心者だと、ちょっと躊躇してしまうような荒れた坂道を下ったりもしてみました。木の根などの段差を乗り越えながら下ってみても、特に恐怖心を感じることはありません。装着されているサスペンションは決して高価なものではありませんが、重心が低く抑えられたフレームのおかげか、体の下で車体を扱いやすく、段差にも対処できます。設計の良さが感じられたので、サスペンションなどのグレードをさらに上げればベテランを満足させるハードテールMTBに進化させることもできそうです。

*  *  *

リーズナブルな価格のエントリーモデルながら洗練されたシルエットと、しっかりとオフロードを走れる性能を持つ「トリガー」。普段は街乗りや通勤などに使い、休日にはオフロード遊びに連れ出すような楽しみ方が似合います。一度、オフロードでの3Dな走りを味わうと、街中のちょっとした段差や荒れた路面も楽しく感じるようになるので、体験してみることをおすすめします。

■SPEC
サイズ:XS(26インチ)、S(27.5インチ)、M(27.5インチ)
重量:約14.5kg(XS)、約14.7kg (S)、約14.9kg(M)
カラー:ホリデーブルー、イエローパンチ、マイティブラック
フレーム:6061アルミ
フロントフォーク:SRサンツアー XCE28
コンポーネント:マイクロシフト ACOLYTE 8速
価格:7万9200円

>> クロスセクション「トリガー」

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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