懐中電灯ライターのHATTAです。今回はマルチツールの元祖LEATHERMAN(レザーマン)の「WAVE+」をご紹介します。
ロングセラー商品「WAVE」の正式な後継モデルです。変更点はプライヤーのワイヤカッターが交換式になったことくらいですが、長年愛用することが前提であるレザーマンユーザーにとっては、待ちに待った仕様変更と言えるでしょう。
アウトドア、DIY、その他さまざまなシーンで確実にその仕事をこなせるマルチツールとして、レザーマンを代表するモデルですが、近年さまざまな専用シーンに合わせたモデルが登場することで、やや影の薄い存在になっていたのも事実。しかし、改めて触ってみると、その堅実かつ使いやすいツールの塊であることが分かりました。
詳しく見ていきましょう。
▲(左)プライヤーを出した状態(右)STREAMLIGHT「PROTAC 1L1AA」と並べたところ
レザーマンがマルチツールである以前に、プライヤーが確実に使えることに触れておきたいと思います。
いわゆるペンチと表現されることが多いツールであるプライヤーは、何かをつかみ、それを把持するのが仕事です。スプリングの付いたニッパーのように頻繁に開け閉めを行うものではありません。ワイヤーをつかんで捻ったり、細かなパーツをつまんで引き抜いたり、カシメたりするためのモノになります。これらの作業をする時は、プライヤーの先端部にしっかりと力を伝えられることが重要。「WAVE+」のハンドルを強く握ると、その力が先端部に伝わっていることが分かります。日本人の手には充分なサイズのハンドル長とステンレスのシナリ具合が見事にマッチします。
全長は折りたたんだ状態で約10cm。重さは241g。手のひらの工具箱と呼ばれるほどコンパクトで充分に軽量。STREAMLIGHTの「PROTAC 1L1AA」と比べても、そのサイズが如何に小さいかが分かります。
「WAVE+」はハンドルを閉じた状態で“切る” “研ぐ”といった仕事をこなせるツールが付いています。最も使われるであろうナイフも、もちろん外側についています。右利きの人であれば、ワンハンドオープンが可能で、「ロックマーク」が完全に露出し、「カチッ」と音がするまで開くとロック完了。閉じる際は「ロックマーク」を下に押し下げながらナイフを畳みます。
ナイフの隣にはノコギリがあります。ナイフを開いた時とは逆さまにハンドルを持って爪で引っかけるようにして開きます。刃の全長は65mmほど。粗く立ったノコギリで細かな作業にはあまり向いていません。枝やロープを切るのには充分使えます。
ナイフの裏側には、同じく切ることを仕事とする波刃ナイフがあります。同様にワンハンドでオープン可能。この波刃ナイフは、木材などを細かく削れる他、ある食品を切るのに最適です。それはパン。パンを直刃のナイフで切ると切り口がグズグズになってしまったという経験はないでしょうか? 特に柔らかなパンでは上手く切れないハズです。そんな時役立つのが波刃。パン切り包丁と同じようにキレイに切れます。キャンプの朝食にパンを食べるときに使えば役立つこと間違いなしです。
ハンドルの外側にある最後のツールがヤスリ。波刃の隣にあります。表裏で仕様が異なり、片側は斧や鉈などを研ぐ時に使う細かなヤスリ。シャープナーとまではいきませんが、斧や鉈であれば充分に研げます。反対側は木工ヤスリ。目が粗く詰まりにくい感じ。刃の部分にもヤスリが付いており、切る作業も可能です。
続いてハンドルの内側。主に絞める、緩める、ナイフ以外の切る機能が詰まっています。
ナイフ以上に使うかもしれないのがドライバー類。ラージビットドライバーは両端がプラスとマイナスになっており、装着方向を変えることで使い分けられます。このビットは別売りのビットキットを買うことでさらに使用の幅が広がります。
そして、眼鏡をかけた人や時計の電池を交換するときに便利なのが、スモールビットドライバー。自分もメガネとコンタクトを使い分ける派ですが、メガネは使っているうちに折り畳む部分のネジが緩むことがあります。これを定期的に絞めることになるのですが、工具がないとメガネ屋さんに行かなければなりません。同様にクオーツ時計の電池もそう。自分で直せるなら自分でやる。アメリカンブランドならではの発想です。個人的にはこの思想はとても賛成で、上手くできるか否かは別にして、とりあえず自分でやってみるのが好きな人にとってはワクワクするツールだと思います。
そして評判が良いんだか悪いんだかのミニハサミ。衣類のホツレを切ったりするのに便利。ナイフを使うまでもない紙や、ちょっとしたものを切るのにはハサミが必要。期待するほどのものではありませんが、あったら使うかな? って感じです。
缶切り&栓抜き。アメリカでは無くてはならないこの2つのツール。日本人にはもう馴染みがなくなりつつあるものですが、海外では未だ現役。たまーに缶切りが必要な時にヒーローになれるアイテムです。
個人的には、「WAVE+」の内側のツールを使う時は、ハンドルを折り畳んで使うよりも、このように半分開いた状態で使ったほうが握りやすい気がします。特に絞める、緩める仕事を行うドライバー類の時は力が入りやすいと感じました。
専用のナイロンケースが付属します。レザーマンのケースはシッカリしているから良いですよね。あまりこだわりはありませんが、長年使うものだけに、ケースも良いものだとテンションが上がります。
ワイヤーカッターが取り外し可能になったこのモデル、とても良いですね。交換の刃も取り寄せることが可能です。これで心配することなくガンガン使えます。プライヤー部には、配線の被膜をちぎるクリンパーの機能もあります。電工にも使えるのでアウトドア以外でもその活躍の場は広いと思います。
これまで多くのレザーマンを見てきましたが、やはり「WAVE+」は安心感があります。マルチツールというジャンルを確立したモデルの1つと言っても過言ではありません。レザーマンにも1万円以下で買えるリーズナブルなモデルはたくさんありますが、1つ1つのツールが確実に使え、その動作、質感どれをとっても十二分に満足できるアイテムは、やはり「WAVE+」くらいからになるかと思います。
今年こそソロキャンデビュー、なんて考えている人はぜひ手にしてほしい一本です。
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(文・写真/HATTA)
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