アフリカ人は大画面がとにかく大好き! 超巨大7インチスマホにアフリカ大陸が震えた

2020年4月にアップルが発表した新型「iPhone SE」にがっかりした人は多かっただろう。誰もが求めていた手のひらサイズの小型iPhoneではなく、3年前に出た「iPhone 8」のマイナーチェンジ版だったからだ。スマホの大型化が年々進む中で小型モデルを望む声も聞かれる。だが、ついに7インチを超える大型スマホが登場しており、その夢は叶いそうにない。

片手で持てるギリギリサイズ
7インチの巨大スマホにびっくり

アフリカで一番メジャーなスマホをご存じだろうか。それはアップルやサムスンやファーウェイでもなく、テクノ(Tecno)というメーカーだ。テクノは中国Transsion(伝音)が手掛ける新興国向けのスマートフォンブランド。IDCの調査では2019年第4四半期に東アフリカでシェア約5割と圧倒的な強さを誇っている。テクノのスマホは1万円以下の低価格モデルが多く、アフリカの消費者が手軽に買える製品ばかりが揃っている。そのテクノの最新モデル「Spark 5 Air」にアフリカ人たちが注目しているのだ。

アフリカでブレイク中のテクノの最新スマホSpark 5 Air。

Spark 5 Airのディスプレイサイズは7インチ。一昔前ならタブレットが採用していた大きさだ。ここまで大きい画面サイズならばSNSのタイムラインに流れる写真や動画を友人同士で楽しみながら見ることもできるし、YouTubeなどのストリーミング動画も迫力あるサイズで見ることができる。また地図検索すれば細かい部分も見やすく表示してくれるし、写真を撮るときのプレビューも四隅までしっかり見ることができる。セルフィーする人は顔の肌色をしっかり確認できるだろう。今の時代のスマホの使い方に、大型ディスプレイは適しているのだ。

基本性能は最近のスマホとしてはそれほど高くはなく、ディスプレイの解像度は1640×720ピクセル、CPUは低価格スマホによく使われるメディアテック製のオクタコア、RAM3GB、ROM32GBも先進国では一昔前のスペックだ。カメラは1300万画素にシーン判定などに利用するAIカメラを合わせた2つ、フロントカメラは手抜きせず800万画素だ。バッテリーが5000mAhと大きいのはアフリカの電力事情を考えてのこと。価格は未定だがクワッドカメラの上位モデル「Spark 5」が124ドルなので、おそらく99ドルくらいになるだろう。1万円程度のスマホと考えればスペックも納得だ。

1300万画素+AIという謎のデュアルカメラ。

アフリカやインドなど新興国ではパソコンやテレビも持たずに、スマホだけで情報収集からテレビ視聴までをこなす人も多い。7インチの画面サイズがあれば電子書籍を読んだりメモの入力もしやすい。つまり教育用途に使うことも十分できる。本体サイズは174.6 x 79.3 x 9.1 mmで片手で持つにはやや大きいものの、日本のような満員電車に詰め込まれることもなければ、このサイズも十分許容できる。Spark 5 Airの売れ行きが良ければ他のメーカーもこぞってアフリカで巨大スマホを投入するに違いない。

低価格大画面スマホとしてアフリカで人気になるだろう。

5Gやゲーム利用も大画面
2020年は7インチが増える

実は7インチを超えるディスプレイサイズのスマホはすでにいくつか登場している。いち早く投入したのはファーウェイで、2018年9月に発表した「Mate 20 X」は7.2インチディスプレイを搭載していた。本体サイズも174.6 x 85.4 x 8.2 mmとかなり大きい。しかし、ここまで大きいスマホを投入した明確な理由がファーウェイにはあった。それは新製品発表会でMate 20 Xをニンテンドースイッチと比較したのだ。

つまりMate 20 Xはゲームマシンとしての利用も考えたスマホだったのだ。本体に取り付けるゲームパッドも提供されており、のちに登場した5Gモデルなら外出先でもギガビットの超高速通信速度で対戦ゲームも自在にできる。スマホでゲームを楽しむ人は多いだろうが、画面サイズはTVに比べれば小さいしゲーム専用機には操作性で負けてしまう。しかしMate 20 Xならばニンテンドースイッチよりも1インチも大きいディスプレイを搭載しており、プレイ中の画面も見やすい。ファーウェイにとってもはやアップルなどライバルではなく、次のターゲットはニンテンドーなのだ。

7.2インチ画面のMate 20 Xはゲーム用途も考えたスマホ。

ファーウエイに続き2020年3月には7.1インチディスプレイを搭載するシャオミの関連会社がゲーミングスマホ「Black Shark 3 Pro」を発売。やはりゲームをするには大画面が優位なのだ。一方新興国に低価格スマホを出している電池メーカーブランドのEnergizerが2月に発表した「Ultimate U710S」は7.12インチディスプレイを搭載。ディスプレイ解像度は2244×1080ピクセルとSpark 5 Airより高解像度だが、1300万画素+VGAカメラの搭載などスペックはやはりエントリークラス。大手メーカーにスペックや価格でなかなか勝てないことから、7インチ超えの大画面で勝負に挑む。

大手メーカーとの差別化で大画面を選んだUltimate U710S。

これら7インチを超えるスマホは画面の縦横比を20:9などワイド化することでディスプレイを縦方向に長くし、横幅を片手でもなんとか持てる大きさに抑えている。しかしもはやこのクラスの製品は片手利用するものではないし、購入者も両手でしっかり握って使うことを考えているだろう。つまり今までのスマホユーザーの中でも、ハンドリング性や収納性を重視する層ではなくコンテンツを見ることを最優先するユーザーのことを考えた製品なのだ。そもそもハイエンドゲームを片手で行うユーザーなどいないだろう。

ハイスペックゲームは両手持ちが当たり前。画面は大きいほうがいい。

折りたたみスマホも登場
小型スマホはどうなるか

考えてみれば雑誌だっていろいろなサイズがあるし、書籍だって文庫本から新書、ハードカバーまで大きさは様々だ。小さいスマホが欲しい人がいれば、もっと大きいスマホを求める人もいるだろう。そしてスマホで利用されるコンテンツがリッチになっていけばいくほど、大きい画面を求めるユーザーが増えていると考えられる。もはやスマホで動画を見ることは当たり前であり、動画を楽しむなら画面サイズは大きいほうがいいに決まっている。

しかし人間の手のひらサイズは決まっているから、大きくすればいいというものではないのも事実だ。そこで2019年は折りたたみ型のスマホがいくつか登場したが、まだディスプレイの単価が高いために誰もが買えるレベルの価格にはなっていない。2020年も折りたたみ型スマホは出てくるだろうが、安くなっても20万円を切る程度だろう。むしろ三つ折りスマホなど新しい形のスマホが登場し、さらに高い価格になるかもしれない。

さらなる大画面化は折りたたみスマホを生み出した。ファーウェイMate Xsは開くと8インチになる。

大画面スマホのメリットはメモなどが書きやすいと前述したが、ファーウェイのMate 20 Xは別売のペンが利用でき紙のノートのように使うこともできる。ディスプレイサイズが大きければ細かい文字や図形の書き込みも楽に行えるから、デジタルノートとして紙の手帳を完全に代替することができそうだ。サムスンのペン付きノートの現行モデル「Galaxy Note10+」は6.8インチディスプレイを搭載しているが、2020年モデルはおそらく7インチにサイズアップするだろう。

大画面スマホでペンを使えば紙の手帳はいらなくなる。

2020年は大きいスマホばかりが出てくることになり、片手持ちできる小型スマホの登場はあまり期待できそうにない。しかし楽天の超小型スマホ「Rakuten Mini」のように、簡易スマホレベルまで機能を落とした製品はこれからも出てくるかもしれない。ドコモなどが出している子供向けスマホが片手サイズであることからわかるように、子供のスマホ利用が進めば小さいスマホもまだまだこれから出てくる。ただしメジャーな製品ではなくニッチ向けの製品となりそうだ。

大画面の行きつく先は結局折りたたみスマホになるだろうが、たたんだ状態では厚みもあるためまだまだ誰もが使う製品にはならないだろう。人間の手のひらの大きさは限られているためスマホのディスプレイサイズの大型化にも限界はある。とはいえ大画面を要求するコンテンツが出てくれば、ディスプレイをさらに縦方向に伸ばすことで7.5インチや8インチといったさらなる巨大なスマホが出てくるかもしれない。2020年のスマホは一体どこまで、そしてどうやって大きくしていくのか。各社の工夫が見ものになりそうだ。

大画面化が進むとシャオミのMi Alphaのようにディスプレイが裏面に回り込んだ製品も出てくるかもしれない。

 


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