ペットフードのD2Cブランドを展開するオネストフードは5月11日、XTech Venturesとbasepartnersを引受先とする第三者割当増資により総額6000万円を調達したことを明らかにした。
オネストフードは国産・無添加のグレインフリーペットフード「レガリエ」を展開するスタートアップだ。2019年2月にキャットフード、同年7月にドッグフードの提供をスタートし、これまでに累計で40万食以上を販売している。
代表取締役CEOの佐藤淳氏はオイシックス(現オイシックス・ラ・大地)でEC事業本部の販売推進室責任者などを担っていた人物。自身が保護猫を飼う際に「疑いのある添加物がない」「怪しい食材を使っていない」「猫にとって適切な栄養バランス」という条件を満たすフードを探したものの、買いたいと思える商品が見つからなかったことをきっかけにペットフード領域で事業を立ち上げた。
「アメリカやヨーロッパに比べると日本はペットフード後進国で品質の高い商品が少ないのが現状だ。一方で海外の高品質な商品は輸送費などによって現地の倍程度の価格になるものもあり、価格面で購入のハードルが高い上に、鮮度の課題も出てくる。国内で消費するのであれば国産ブランドを立ち上げて良いものを作るのが1番で、それならば自分の猫のために購入したいと思えるような商品を自らの手で開発しようと考えた」(佐藤氏)
オネストフードが手がけるヒューマングレードのペットフードは無添加であることに加え、穀類を一切使わない穀類を一切使わないグレインフリーレシピや食材本来の味わいや栄養素を残す製法が特徴だ。
佐藤氏によるとグレインフリーレシピのフードには特殊な設備とノウハウが必要なため、国内で作れる工場がかなり限定されるのだそう。その設備を持つ工場とタッグを組むことで国産のグレインフリーペットフードを安定的に生産し、消費者に直接届けられる体制を整えている点が同社の強みにもなっている。
主なターゲットはフードへのこだわりが高いユーザー。ホームセンターなどで販売されているものを購入しているが保存料や穀物アレルギーの面が気になる、もしくは海外産のグレインフリーフードを購入しているけれどもう少し手頃な価格のものがあれば嬉しいといったニーズに対して「国産かつ高品質なフード」を提案する。
ビジネスモデルはD2C×サブスクリプション型が軸で、キャットフードの場合は1.5kgの定期便が4280円だ(初回は160g / 500円のお試し便で2回目以降の価格)。
今後は組織体制を強化するとともに商品ラインナップの拡充と海外展開に向けた準備も進める。商品については年齢別に特化したフードやウェットタイプのフードも開発する計画。パーツを組み合わせるような感覚で「複数の選択肢の中から、愛犬・愛猫の年齢や性別、体系、食の好みなどを踏まえて最適なフードを提案できる仕組みを目指していく」(佐藤氏)という。
またグローバルで見ると東アジアは日本と同様にペットフード市場の変革が進んでいない状態であり、アップデートできるチャンスがあるとのこと。今回の調達資金は東アジアへの事業展開に向けた体制整備にも用いる方針だ。
海外ではThe Farmer’s DogやNomNomNow、ollieなどペットフード×D2C領域で1000万ドル以上の資金調達を実施しているプレイヤーがすでに複数社存在する。日本でも過去に紹介したバイオフィリアやシロップを始め関連するスタートアップが登場してきているので、オネストフードやこれらの企業が国内外のペットフード市場をどのように変えていくのかに注目だ。
オネストフードは2018年5月の創業。過去には2019年8月にシンクロ(オイシックス・ラ・大地 執行役員の西井敏恭氏が代表)、Engagement Commerce Lab.(オイシックス・ラ・大地 執行役員の奥谷孝司氏が代表)、松本浩平氏(オイシックス・ラ・大地取締役)をはじめとした複数の個人投資家から2520万円の資金調達を実施している。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/05/11/honestfood-fundraising/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:masumi ohsaki
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