経済の不確実性にも関わらず7月6日にハイテク株が新記録更新

新型コロナウイルス(COVID-19)の記録的な感染拡大にも関わらず、米国時間7月6日の米国株は上昇した。すべての主要な指数が取引時間中に上昇し、その中でもハイテク株はさらに良かった。

ナスダック総合株価指数は6日に過去最高値を記録し、10462.0に達した後10433.65で取引を終了し同日2.21%上昇した。同様にテクノロジーの比重が大きいSaaS・クラウド企業バスケットは乱高下し、一時は1952.39に達したものの、午後は1908.30で終了した。こちらも過去最高値だった。

これがハイテク企業の健康状態に関するウォール街の雰囲気だ。強気心理がハイテク株を押し上げていることは容易に想像できる。本日垣間見えた熱狂をいくつか例に取って描いてみよう。

  • Yahooファイナンスによると、最近IPOしたLemonade(未訳記事)の時価総額は現在47億ドル(約5100億円)だ。この株価と年換算した第1四半期の売上高に基づくマルチプルは約45倍となる。SaaS企業としてはぎょっとする数字だ。ただし、以前書いたようにLemonadeの粗利益はSaaS企業らしくないところがあり(未訳記事)、解約率も高い。同社の株価は明確な理由もなく今日約17%上昇した。
  • テスラの株価は今日13%以上上昇し1371.58ドルとなった。同社の時価総額は2500億ドル(約26兆9000億円)を超え、(株価と時価総額という)2つの面で大きく躍進した日となった。Yahooファイナンスによればアナリストによる直近四半期の売上高予想は48億3000万ドル(約5200億円)だ。これは2019年4-6月四半期に計上した売上高63億5000万ドル(約6800億円)を下回った(Teslaリリース)。2019年7月1日以降、テスラの株価は450%を超える上昇をみせたが、市場は同社の売上高は減少すると予測している。
  • Amazon(アマゾン)とNetflix(ネットフリックス)もまた、今日新記録を樹立した会社として名を連ねた。

SaaS株が記録的なバリュエーションマルチプルで取引されていることや、一方でさまざまな会社が実際に十分長い期間にわたって合理的に評価されていることの理由がわからなければ、すっきりとした気持ちにはなれない。

これが合理的な投資家の考えることだと思われている。だが断っておきたいのは、そういう思考は筆者が株式市場で見せつけられてきたものとまったく整合しない。つまりそれは、ひどく短期思考で、長期的な価値創造などはたわ言だ。上場はゴミだと筆者はいわれたことがある。求められるのは3カ月ごとの報告で、数年先など誰も見ていないと。

さて、筆者はおおむね同じ人達から、足下の市場の振る舞いがこれまでとは異なるといわれている。つまり現在、市場を動かしているのは直近の実績ではなく将来の業績予想だというのだ。正直どちらでも構わないが、どちらの話が正しいのかが知りたい。

幸いなことに我々は、こうしたすべてのハイファイブと熱狂が本物がどうかをもうすぐ目の当たりにする。

決算報告のシーズンが到来し、多少は明らかになることがあるはずだ。デジタルトランスフォーメーションが十分に進み(未訳記事)、ハイテク企業のほとんどが短期的に価値を大幅に高めることができた場合、彼らに対しては脱帽であり、同様の売上高増加から恩恵を受けるはずのスタートアップにとっては意地悪な結果になる。

だがそうなるとは限らない。1カ月前にSlack(スラック)が学んだように、決算の内容によっては投資家がハイテク株の投げ売りに走る可能性もある。

これらすべての背景にあるのは、現在の米国経済の健全性について疑問を抱くのに十分な理由があるということだ。確かにほとんどの人は株式市場と国内の景気が完全に連動しているわけではない(少なくとも部分的には真実だ)と進んで認めるはずだ。しかし、毎日株式市場は上昇する一方で、新型コロナウイルスの感染が再び拡大して再び全国で活動が閉鎖されれば、これがすべて真実なのか疑問に思うはずだ。

決算シーズンはもうすぐだ。確認してみよう。

画像クレジット:Andrew Brookes / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi


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